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2 閉ざした気持ち。言えなかった言葉。叶わぬ想い。止まった時間が動き出すまで
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しおりを挟む「良かったら運転席に乗ってみませんか?」
私は運転席に乗ってみた。
不思議な事に、その時私はこの車は私のものだと確信した。
「買います!」
いきなりそう言うと、店員さんは驚いていた。
他の車も見てみますか、と言われたが、私の気持ちは揺ぎ無かった。
お金ならある。
就職してから生活費以外はほとんど貯めてある。
別に貯蓄意識がそんなに高い訳では無かったけど、買いたい物も無かったし、したいことも無かったから、貯まりっぱなしだったのだ。
私はその車を現金一括で買った。
ちょうど私のマンションの駐車場に空きが出ていたのを思い出して、不動産屋に連絡すると、運よく借りられることになった。
全てスムーズにいった。
やはりこの車は私の元へ来る運命なのだ。
「お買い上げありがとうございます! ナビはサービスで付けさせていただきますね。」
「え、いいんですか? ナビってけっこうするんじゃないですか?」
「いいんですよ。このナビはあなたの元へ行きたがってますから。」
店員は笑顔で変な事を言った。
よく愛情が溢れて物を擬人化してしまうたぐいの人なのだろうか?
そういえば私もカメラをやっていた時、カメラの事を「この子」って言ってたな。
ナビが来たがってるって言い方…それと同じようなことなのかな…。
納車は三週間後に決まった。
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