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2 閉ざした気持ち。言えなかった言葉。叶わぬ想い。止まった時間が動き出すまで
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しおりを挟む創立100年を越すその高校は、桜並木を抜けた丘の上にある。
校舎の中からは私たちの住んでいる街並みが一望出来る。
本当は桜のトンネルを抜けて入学式に向かいたかったけど、昨今の気候温暖化のせいか、桜の見ごろは春休み中だという。
私は写真だけでも撮っておきたくて隼人を誘った。
しかし隼人はその日、おばあちゃんに合格の報告に行くとかで家族で仙台に行っていた。
しょうがなく私は一人でカメラをぶら下げて高校へと向かった。
本当は夕べシーナさんがコメントの返信に今日また桜を撮りに行くって書いてあったから、もしかして偶然会えるんじゃないかっていう微かな期待もあった。
でも、桜なんて日本中どこでも咲いているし、同じ場所に撮影に来るなんてあり得ないだろう。
駅前から続く桜並木は今が盛りで、花びらが雪のように舞っていた。
その光景はあまりにも幻想的で、これは夢の中なのではないかと疑うほどだった。
私は夢中でシャッターを切った。
写真と撮っていて、ふと写真ブロガーのシーナさんの事を思った。
彼女ならこの桜をどう切り取るんだろう…。
そんなことを考えながらファインだーを覗いた。
ファインダー越しに人陰が見えた。
カメラを下ろしてその方向を見た。
同い年くらいの男の子が私と同じように桜を撮っていた。
男の子は桜並木を見下ろす構図をしばらく撮っていて、カメラから目を離すとこちら向きにカメラを構えた。
その先にいる私が自分の方を向いているのに気付いて気まずかったのか、急にまた向きを変えた。
中学生くらいで本格的なカメラを持っている子は珍しい。
どんな写真を撮るんだろう…。
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