半端者~<クズ>

のんよる

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幼少期

純情クズ物語 小学校編

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  小学校の校庭で、自転車に乗ってぐるぐる回っている。
 校庭の鉄棒に向かって、自転車で突っ込む少年がいる。
 鉄棒を掴み損ねて、激しく地面に転げ落ちる。        
 「そうちゃん大丈夫かよ」
 転げ落ちた少年に駆け寄る、少年の仲間がいる。
 「痛たた。たけちゃんもやってみ!難しいぞ。」
 我西小の五年生になる、仲良しコンビのそうちゃんとたけちゃんだった。
 二人は、校内でも有名な悪ガキだった。
 授業中に抜け出しては、街で悪さをしていた。
 いつも通りにお昼休みの時間に学校を抜け出して、二人は地元のゲームセンターにいた。
 ゲームセンターには、先に抜け出していた、友達のマー君がいた。
 ゲームセンターの中には、他に中学二年生のカミサダがいた。
 そうちゃんは50円玉に釣り糸を通して縛り、ゲームのコインの入り口に入れて、すぐに引き上げて、ゲームを開始する。
 たけちゃんはヘラヘラしながら、先輩のカミサダに蹴りを入れたりして意地悪をする。
 そうちゃんとマー君がゲームで対決する。
 必ずマー君が勝つ、そうちゃんはゲームが下手くそだった。
 学校が終わる時間になると、また仲良しの友達の、ビックとヤマゲが来た。
 ビックとヤマゲは、来て早々に、秘密基地に行こうと言い、そうちゃんとたけちゃんとマー君を連れて、ゲームセンターを出て行った。

 秘密基地は車の解体屋の溜め込んだ車の一つで、その中には、エロ本、タバコ、ガスコンロ、布団、鍋があり、皆でたまに、泊まっていたりしていた。
 ある日の深夜、そうちゃんとたけちゃんとマー君で、秘密基地でタバコを吸いながら、話しをしていた。
 好きな人の話し、将来の夢、誰がムカつく等、普通の小学生の会話を秘密基地で深夜に話していた。
 その日は、秘密基地の中にロウソクを立てて、午前二時頃まで話しをしていた。
 皆、ロウソクの事などすっかり忘れ、火がついたまま、それぞれが家に帰って行った。
 三人は何も知らずに、二日間が経った。
 朝から小学校中で、解体屋さんで火事があったと話題になっていた。
 そうちゃんとたけちゃんは、何もわかっていない状況で、解体屋さんの火事の話しを聞いても、ボケーっと聞いてるだけだった。
 マー君は、一人、あたふたしていた。
 「これバレたら逮捕されちゃう」
 とそうちゃんとたけちゃんに話して来た。
 二人は、何でかをマー君に問いただしていた。
 マー君は答えた。
「解体屋さんって秘密基地の事だよ。火事になった原因って多分、俺達がロウソクの火を消さずに帰ったからだよ。二人とも証拠になるような物ない?」
 ボケーっと話しを聞いていただけの二人だったが徐々に話しを理解し始めて、騒ぎ出した。
 そうちゃんがマー君に言う。
「証拠になるような物っていっぱいあるじゃん。秘密基地の物全部に、俺達の指紋が残っているし、火をつけた、どこスリマッチも秘密基地の中に置いたままだ。」
 どこスリマッチとは、近所の雑貨屋さんに売っている、どこで擦っても火がつくマッチで、そうちゃんが凄く気に入って、しょっちゅう買いに行っていた。
 たけちゃんがそうちゃんの話しに反応する。
「でもさ、火事になったんだから全部燃えたから証拠になるような物ってなくなってるでしょ?大丈夫だよ。」
 そうちゃんとマー君は、確かにと思い胸を撫で下ろした。
 その日の学校の帰りに、三人は秘密基地に寄った。
 秘密基地に使っていた車は、車体を残し、丸焦げになっていた。
 その光景を見た三人は、してしまった事より、楽しかった秘密基地がなくなってしまった事にショックを受け、泣きながら家に帰って行った。

 そうちゃんは授業を受けていた。
 前の席に座る子の頭に、消しゴムのカスをかけたり、鼻をほじって、鼻クソを飛ばしたりしていた。
 周りは、真剣に授業を受けている中、一人、ケタケタ笑いながらイタズラをしていた。
 当然、先生に怒られ、廊下に出された。
 廊下に立っていると、時間は四時間目の授業中だったがこの時間に登校して来た子がいた。
 その子が、廊下に立っているそうちゃんの前を通ると、睨みつけて来て言った。
「何ボケっとつったてんだよ!」
 そうちゃんのライバルの吉野だった。
 吉野はやたらとそうちゃんに絡んでくる。
 ついに耐えきれなくなったそうちゃんは、吉野の顔を殴りつける。
 そうちゃんと吉野は殴り合いの喧嘩になった。
 丁度四時間目も終わり、先生が教室から飛び出して来た。
「廊下に立たされてる奴が何してんだー!」
 そうちゃんだけが先生に捕まり、職員室に連れてかれて行った。
 職員室で、先生に怒鳴り散らされた。
「磨けば光る、気合い入れんか!」
 先生はそう言いながら、腫れ上がったそうちゃんの両頬を両手で挟むようにパンパンと叩いた。
 職員室から解放されると、そうちゃんは教室に戻り、他の生徒達に称えられる。
「そうちゃんだけだよ。吉野に逆らえる奴は!アイツ鼻血出して涙目になってたよ!」
 それでも、そうちゃんは言った。
「うるせえ、止められなければ、もっとけちょんけちょんにしてたよ!」
 そうちゃんは、怒りながら教室を出て行った。
 学校をいつも通りにフケて、ゲームセンターに向かう。
 今日はゲームセンターには、カミサダしかいない。
 そうちゃんがカミサダに話しかける。
「なぁ、中学校って楽しくないの?」
 カミサダが答える。
「小学校も中学校も一緒だ。お前は小学校楽しいか?」
 そうちゃんがカミサダの問いに答える。
「楽しくないよ!仲間がいるから、楽しいけど、仲間がいなかったら行くもんか!」
 カミサダが言う。
「俺は仲間がいない。お前達も俺をからかいに来る。ゲームセンターが俺の居場所なのに、お前達が来るとゲームセンターにも行きたくなくなるんだよ。」
 そうちゃんが黙り込んだ。
 たけちゃんが学校が終わってゲームセンターにやって来た。
 「そうちゃん、今日吉野とやり合ったんだって?やっぱ凄いなー」
 たけちゃんはそう言うと、いきなりカミサダに蹴りを入れだした。
 そうちゃんは、たけちゃんに怒った。
「やめろよ!何もカミサダはしてねぇだろ!」
 たけちゃんがキョトンとする。
 そうちゃんが続けて言う。
「なんかわかんないけど、胸が痛い。たけちゃん、帰ろう。」
 そうちゃんはそう言うと、たけちゃんを連れゲームセンターを出て行った。
 帰りに秘密基地があった場所を通ると、解体屋さんだったと思われる外国人が警察官に囲まれ、怒鳴られていた。
 そうちゃんは、その様子を見て複雑な気持ちを抱いていた。

 月日が経ち、そうちゃんは六年生になった。相変わらず、不真面目な生活だった。
 よく遊ぶ仲間は変わりつつあった。
 ゲームセンターに行くと、そうちゃんはカミサダと仲良しになっていた。
 ゲームセンターに来るメンバーも、ビックとヤマゲだけになっていた。
 六年生になると、吉野が仲間を求め力で仲間を作っていた為、そうちゃんと仲良くしていると吉野にやられると噂になっていた。
 それでもビックとヤマゲは、気にせず一緒に遊んでいた。
 ある日の学校の放課後、学校の裏で、そうちゃんがよく授業中に消しゴムのカスとか鼻クソを飛ばしていた相手の金山が、吉野達に囲まれていた。
 そうちゃんは最初は、無視してその場を離れようとした。
 でも、その時そうちゃんの頭にカミサダと話した事や解体屋さんの事が浮かんだ。
 金山は吉野の他に十人位に囲まれていた。
 そこにそうちゃんが割って入る。
「何やってんだよ!なんか文句があるなら一人でやれよ!なんもない奴らは帰れよ!」
 そうちゃんはそう言うと周りを見渡した。
 そこには、そうちゃんが仲良しだった、たけちゃんとマー君の姿があった。
 そうちゃんは二人に問いかける。
「たけちゃん、マー君。どうしたの?なんかあったの?」
 たけちゃんが答える。
「俺達は全員が金山にムカついて用事があるんだよ。だから関係ないそうちゃんが帰れよ!」
 そうちゃんはマー君にも問いかける。
「マー君は?そんな奴じゃないだろ?」
 マー君は困りながら言う。
「俺は別に…なんかしようとかじゃなく…」
 吉野が言う。
「いいからやっちまうぞ!そうちゃんもやっちまえ!」
 吉野がそう皆に声をかけると、マー君以外の全員が一斉に金山に襲い掛かっていった。
 吉野は、そうちゃんを狙って襲い掛かる、そうちゃんは金山を庇いながら、他の奴らを押し退ける。
 ビックとヤマゲが学校の校庭からこっちを見ていた。
 金山は無抵抗だった。
 そうちゃんは全員を相手に殴り合う。
 吉野はそうちゃんにだけ集中して殴りつける。
 マー君は、オドオドしながら叫んだ。
「先生が来た!早く逃げろ!!」
 吉野達は一目散に逃げ出した。
 そうちゃんはボロボロだった。
 金山はそうちゃんに庇われたおかげで大した怪我もなく先生と一緒にそうちゃんを抱え学校に向かった。
 その途中、そうちゃんを心配そうに見守るビックとヤマゲがいた。その中に紛れて、もっと心配そうに見ていた女の子がいた。
 その女の子は、小学生になってからずっと、そうちゃんに想いを寄せていた女の子の明乃だった。
 そうちゃんは保健室に連れてかれると、先生にまた怒鳴り散らされた。
 それを聞いていた金山が先生に答える。
「そうちゃんは俺が一人だったから助けてくれたんだ。」
 先生はそれを聞くと溜息をつきながらそうちゃんに言った。
「お前は本当にしょうもない。悪者にも正義の味方にもなれない。半端者だな。」
 そうちゃんは先生に言葉を返す。
「半端者じゃない!俺は自分が思ったようにするだけだ。」
 先生が笑いながら答える。
「それじゃクズだな。」
 そうちゃんは体が痛くて、怒りながらも、何も返さず黙り込んだ。
 そうちゃんは先生に抱えられながら保健室を出ると、明乃が目の前にいた。
「先生、私、そうちゃんと帰る方向一緒だから連れて帰ります。」
 先生は仕事が残っているのでと、明乃にそうちゃんを任せた。
 帰り道にそうちゃんが明乃に言う。
「俺と仲良くしてると、吉野達にやられるぞ。」
 明乃が言葉を返す。
「女の子がやられる訳ないじゃない。」
 そうちゃんは言う。
「アイツは関係なくなんかしてくる。だから俺に関わるな!」
 そう話して、そうちゃんは一人で家に帰ろうとした。
 明乃が言う。
「私は大丈夫だから、何かされそうになっても何とも思わないから。」
 そう言うと、そうちゃんにまた寄り添い一緒に帰って行った。

 明乃は一年生の時に、男子に意地悪されている時に、そうちゃんに助けられた。
 それから、そうちゃんに何かある度に助けられていた。
 意地悪な男子にボールを取られた時は、そうちゃんがボールを取り返しに行ったり、友達に嫌な事を言われて一人で泣きながら帰っている時に、変な顔して明乃を笑わせながら一緒に帰ったり、明乃にとってはどんなそうちゃんも、優しく、頼りになる、楽しいそうちゃんだった。
 翌日はそうちゃんが学校に来なかった。
 明乃は心配になって、そうちゃんの家に行ったが、そうちゃんはいなかった。
 そうちゃんは、いつも通りお昼休み位になるとゲームセンターに行きカミサダと仲良くゲームをしていた。
 ビックとヤマゲもやって来る。
 二人に連れられマー君も一緒に来た。
「そうちゃん、ごめん。吉野に言われて怖くて吉野達について行っちゃったんだ。本当にごめん。」
 そうちゃんは言う。
「でもゲームセンターに来たろ!大丈夫!気にしてないから!」
 ビックはそうちゃんに問いかける。
「お返しすんのか?俺もやるぜ!」
 ヤマゲも言う。
「あの人数いたかんなー、一人づつやりゃあいけるでしょ。」
 そうちゃんは笑いながら言う。
「もういいんだよ!下手になんかして、また吉野が他の人に手を出したらやだしな。」
 カミサダが感心して話しを聞いている。

 ゲームセンターを出て、家に帰る途中、明乃と会った。
 明乃は私も一緒に遊ぶと言いくっついて来た。
 五人で仲良く話していると、たけちゃんが見ていた。
 翌日になると、ヤマゲが吉野に呼び出された。
 運悪く、そうちゃんもビックも学校に来なかった。
 そうちゃんとマー君でゲームセンターで遊んでいると、明乃がゲームセンターに来て言った。
「ヤマゲが吉野にやられた!」
 そうちゃんは一瞬怒った顔して席を立ったがすぐに冷静になり言った。
「一対一でやられたんだろ?だったらしょうがない。」
 明乃は言う。
「でも友達でしょ?」
 そうちゃんは言う。
「友達だって一対一だったら、ただ負けただけでやり返すとかじゃないでしょ。」
 明乃はもういいと言ってゲームセンターを飛び出して行った。
 そうちゃんは少し怖くなっていた。
 また皆に囲まれてボコボコにされたくないからだ。
 その日、そうちゃんはビックとマー君を連れてヤマゲの家に行った。
 ヤマゲは言う。
「一対一でもやっぱり吉野は強いわ。よくそうちゃんはやり合うな。」
 そうちゃんは案外元気だったヤマゲを見てホッとする。
 ビックがヤマゲに聞く。
「何で呼び出されたの?」
 ヤマゲが答える。
「中学になったらそうちゃんか吉野かどっちにつく?って聞かれて、どっちにもつかねぇって言ったらやられた。」
 マー君が言う。
「吉野は中学行ったら全員を手下にしたいんだよ。最後はそうちゃんだって言ってたし」
 そうちゃんとビックは呆れていた。
「そんなんでやられても手下にだってならないし、仲良くもなれないわ。」
 もうすぐ三学期も終わり卒業する。
 それまでに吉野は小学校制覇を企んでいたのだ。
 ヤマゲは指が折れていて、しばらくは無茶が出来ない状況だった。

 卒業まで後一ヶ月を切った頃、いつも通りにお昼休みにゲームセンターに向かおうとした途中、カミサダが泣いてしゃがんでいた。
 カミサダに話しを聞くと。
「そうちゃんの仲間が吉野を連れて来て、そうちゃんと仲のいい奴は全員ぶちのめすと言って来た。もう俺に関わらないでくれ。」
 カミサダは中学三年生だが、友達もいなく、喧嘩をするような奴でもなく、ただゲームが好きでゲームセンターにいるだけだった。
 翌日にゲームセンターに行ってもカミサダはいなかった。
 そうちゃんはとてつもなく、胸が痛く感じた。
 ビックがゲームセンターにやって来た。
「マー君が吉野にやられた。」
 そうちゃんは、ブチ切れた。
「今から吉野をやりに行く!」
 六時間目の最中だった。
 吉野は明乃と同じクラスだった。
 吉野は明乃を呼び出し、そうちゃんと決闘するから見ていろと言う。
 明乃はやめろと言うが六時間目が終わり、無理矢理、明乃を連れ出し学校を出る。
 そうちゃんがビックと一緒にやって来た。
「吉野!タイマンはれ!んで明乃を離せよ!」
 吉野は言った。
「タイマンしてやるよ!見届けんのは明乃だ!学校の裏に来い!」
 二人は学校の裏について行った。
 吉野の仲間が十人以上いた。中にはたけちゃんもいる。
 ビックが言う。
「タイマンなんだろ?俺は見てるだけだから、たけちゃん達も手出すなよ!」
 吉野の仲間はヘラヘラしていた。
 そうちゃんが吉野と向き合う。
 そうちゃんが吉野に言う。
「明乃は取り敢えず離せよ!タイマンの邪魔だろ!」
 吉野は笑いながら言う。
「皆、やっちまえ!」
 吉野の仲間達が一斉にそうちゃんに襲い掛かる。
 吉野は明乃に言う。
「これでそうちゃんが負けたら、お前は俺の女になれ!嫌だったらもうそうちゃんに近付くな!」
 明乃が言葉を返す。
「負ける訳ない!だいたいこんなの負けじゃない!ただのイジメじゃないか!」
 ビックも参戦するが、二人ともボコボコにされていた。
 そうちゃんが倒れ込みながら言う。
「もういい!俺の負けだ!やめてくれ!」
 吉野が皆に手を止めるように言う。
 明乃を目の前に連れて来て、吉野が問いかける。
「負けを認めるって事は明乃は俺の女になるぞ!いいのか?」
 そうちゃんが答える。
「どうでもいいわそんな事!」
 ビックが話す。
「そうちゃん?やめろよ!認めんなこんなの。」
 そうちゃんが言う。
「うるせえよ!もう皆どっか行っちまえよ!迷惑なんだよ!邪魔なんだよ!」
 吉野が笑いながら明乃を離す。
 そうちゃんはそれを見た瞬間に立ち上がり、吉野の顔面目掛け襲い掛かる。
 遅過ぎた。そうちゃんに吉野を倒すだけの力は残ってなく倒れ込んだ。
 吉野は皆を引き連れその場を離れた。
 明乃がそうちゃんに駆け寄る。
「大丈夫?あんなの吉野が勝手に言ってるだけだからね。」
 そうちゃんは顔を隠し言う。
「知らねえよ!もう近寄んな!」
 明乃が言う。
「半端者。」
 明乃は泣きながらその場を離れて行った。
 ビックは笑いながら言う。
「最後の吉野のびっくりした顔は傑作だったわ。さすがそうちゃんだわ。」
 そうちゃんがゆっくり立ち上がりながら言う。
「だろ!もう疲れたわ!帰ろ!」
 ビックを起こし二人は笑いながら帰る。

 卒業式の予行練習をしている日だった。
 そうちゃんが吉野目掛けて襲い掛かる。
 ビックがそうちゃんにバットを渡し周りの吉野の仲間を蹴散らす。
 「ムカつく!ムカつく!ムカつく!」
 そうちゃんはそう言いながら吉野を滅多打ちにした。
 吉野が言う。
「もうやめてくれ!死んじまうよ!」
 そうちゃんが吉野に言う。
「どう?負けを認めるんならお前は俺の手下だし、明乃は俺の女だ!どうなんだよ?」
 そう言いながらも吉野に蹴りを入れ続ける。
 吉野は漏らしながら失神していた。
 そうちゃんが冷静になり言う。
「半端者で悪かったな。」
 明乃は泣きながら、そっとそうちゃんの手を掴む。
 警察官が学校に来て、そうちゃんとビックを連行する。
 二人は小学生だった為補導されただけで済んだが、施設に入る事を進められていた。

 卒業式当日を迎えた。
 皆はそうちゃんとビックが来るのか心配していた。
 吉野は卒業式には来なかった。
 先生による祝辞が読み上げられている時だった。
 ヤマゲとマー君の間にビックが入り笑顔で二人を見つめる。
 明乃の隣にはそっとそうちゃんが入り込む。
 そうちゃんがこっそり言う。
「俺が勝ったから、俺の女だ!」
 明乃もこっそり答える。
「セリフも半端、本当に半端者!」
 二人は微笑みながら小指と小指を繋ぎ卒業式に参加していた。

 小学校編 ー終ー
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