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25章 松野将大の章

愛しき人へ

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船の上も、恐らく、船の中もデカい奴と気を違えた人達でいっぱいであろう状況だった。
加藤さんと塁が船の上のデカい奴と戦っていた。
俺と歴は、急いで船に向かった。

船について、四人でデカい奴を倒していく。
加藤さんが言う。
松野さん、早く、船の中に行って。中には、まだ明子さん達がいるの。
俺が言う。
中に入って、今助けた所で、すぐに危険にさらされる。ここは、俺がデカい奴らを片付けるから、加藤さんと塁で中に入って、明子さんと合流してくれ!
塁が言う。
パパ、オレは、明子さんなんて助けたくないよ!
歴が塁に怒る。
ママがいない間、ずっと母親のように接してくれていたんだぞ!
俺が塁に話す。
確かに、朱里ちゃんを殺すなんて、許せない事をした。だけど、だからと言って、明子さんが死んでいい訳は無い。明子さんは一生、朱里ちゃんを殺した罪を背負って生きて行かなきゃいけないんだ。それに、子供達だっているんだ。皆、塁と兄弟みたいなもんだろ。絶対に助け出すんだ。
塁が涙ぐむ。
歴が塁に言う。
わかったら、早く行ってくれ、明子さん達を守るんだ。
加藤さんと塁が、わかったと言って、船の中に入って行く。
俺は、船の上に来るデカい奴と気を違えた人達を歴と一緒に倒していく。
しかし、キリがない位やって来る。

船の中に入った塁と加藤さんは、明子さんの部屋に直行する。
部屋の中には、まだデカい奴も、気を違えた人達も入って来ていなかった。
子供達が泣きながら、塁と加藤さんに抱きついて来る。
部屋から出たら、すぐに、デカい奴と気を違えた人達に囲まれてやられてしまう。
一旦皆で部屋に閉じこもって、助けが来るのを待つ。

船の上で戦い続けるのもキリがない。
俺は歴に言う。
キリがないから、船の中から逃げる為の逃げ道を作るぞ!
そう言って、船の中に入って、船の中のデカい奴と気を違えた人達を倒して行った。
明子さんの部屋に辿り着いた。
俺が塁に言う。
船の上は、キリがない。一か八かになるが、俺が先頭になって倒して道を作って行く。歴と加藤さんで明子さん達を守りながら進んで、塁が後ろを守るんだ!
明子さんが俺に言って来た。
なんで助けるの?もう貴方に近寄るなって言われたのよ。
俺が言う。
今、そんな話しをしている場合じゃないだろ。子供達を助けたいんだよ!だから、明子さんも正気に戻ってくれ!
俺達は、無理矢理明子さん達を連れて、外に出て行った。

俺が先頭になって、デカい奴と気を違えた人達を倒して行く。
加藤さんと歴で明子さん達に近付く、デカい奴と気を違えた人達の動きを止める。
それを、俺が倒していく。
塁は後ろから襲ってくる奴らを倒す。
いい感じに船の中を進んで行った。
船の出口に近付くと、扉が開いていて、そこから、次から次へとデカい奴と気を違えた人達が入って来る。
ここから外に出るのは無理だ。
窓のある所から、窓を割って外に出よう。
俺が皆にそう指示を出して、気を違えた人を倒そうとした時だった。
明子さんが止めてと言って、俺を止めて来た。
俺は、気を違えた人に噛まれた。
明子さんが泣きながら言う。
ごめんなさい。この気を違えた人は元旦那なの、子供達の前で見せないで欲しかったの。
俺が言う。
だからと言って…歴、塁、加藤さん、子供達を連れて、その部屋に入って、窓から外に出るんだ!明子さんは俺が連れて行く。
皆、何が起こったのか分からないまま、俺の指示に従って、部屋に入って行った。
俺は、明子さんを抱き締めながら、囲まれた状況から出て行った。
俺は、今、気力だけで動いていた。
明子さんが俺に言う。
本当に、ごめんなさい。もう私と一緒にここで死のう。
俺が言う。
明子さんは死なせない。絶対に。
俺は、明子さんの目の前で、明子さんの元旦那さんを倒した。
明子さんは泣きじゃくった。
一通り倒した後、俺と明子さんも部屋に入って行った。
俺は、皆の顔を見て安心して、倒れ込んだ。

俺は、明子さんの元旦那さんを倒そうとした時に明子さんに止められ、背中を明子さんに刺されていた。
俺が言う。
さぁ。皆で外に出よう。
そう言って、窓を割り、船の外に出て行った。
外に出たものの、船の上には、デカい奴と気を違えた人達でいっぱいだった。
俺が皆に指示を出した。
塁、先頭に行って、振り返らずに、車に乗り込むんだ!歴と加藤さんもその後ろにぴったりくっついて明子さん達を守りながら、車に乗り込むんだ!俺が後ろを守りながら向かう!
歴も塁も加藤さんも何も気付く事無く、進んで行った。
船から皆で、降りた。
塁は、バッタバッタデカい奴と気を違えた人達を倒して前に進んで行く。
歴と加藤さんは、明子さんと子供達を押しながら前に進んで行く。
俺は、その姿を見ながら、船の出口の前で立ち尽くす。
俺は、いつも、気を違えた人に噛まれても、自分が気を違えた人にならないように、爆弾を持っていた。
デカい奴と気を違えた人達の中を走り抜けて行く皆の中に明子さんが振り返り、俺の状況に気付く。
明子さんが引き返して来た。
俺は、叫んだ。
お願いだ!行ってくれ!
明子さんが叫ぶ。
ダメ!私も一緒に連れて行って!
皆が、振り返ってしまった。
明子さんはこっちに走って来る。
加藤さんが涙を流しながら、明子さんを止める。
明子さんが叫ぶ。
私、貴方を愛してるの。だから、最後まで一緒にいたいの。
俺が言う。
なんか色々あったけど、俺も愛してるよ!それはずっと変わらない!
塁が、こっちに向かおうとする、歴が歯を食いしばりながら止める。
俺は、デカい奴と気を違えた人達に噛まれながら、爆弾に、火をつける。
これが、走馬灯か。
今まであった、思い出が目の前に流れ始める。
塁、強くなったな!朱里ちゃんがいなくなって悔しいかもしれないけれど、ママを大切に。
歴、頭も良くなったし、いつも冷静な判断を出来る男になったな!歴が居れば、皆、安心して生活が出来る。明子さんと子供達をよろしく頼むな!
ママ、ゴメンな!後は頼んだ!
皆、俺について来てくれてありがとう!
明子さん、俺はいつだって、ちゃんと明子さんを愛していたよ。どんなに、明子さんが悪い女だとしても。朱里ちゃんの事、許せる事じゃないけれど、愛は変わらない。最後にちゃんと話しがしたかった。

松野将大、船上にて爆死。

船と陸が離れて行く。
陸にいたデカい奴と気を違えた人達は、松野に群がっていた為、陸側にはデカい奴も気を違えた人達もあまりいなくなっていた。

好きとか嫌いとかではない。
愛は別物だった。
罪を憎んで人を憎まず。

25章終
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