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2章 王立学園編

モブストーカー、王太子様の暴挙とモブの戸惑い

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 歓迎パーティーの開会の時間になり学園長の挨拶が終わり、生徒会長であるジュリアン様が舞台上に上がると盛大な拍手と黄色い声援。

 この国の王太子様って人気があるんだなあと今更ながら感じた。

 確かにジュリアン様の評判はいいものな。この学園始まって以来の入学一年目にして学園の全過程を終わらせた前代未聞の優秀すぎる王太子と有名だもん黙って居れば顔も綺麗だしな……性格には多少、いや難ありだけど。


 ようやく歓迎パーティーの開会宣言が終わった。

 次はこの会場内で最高位であるジュリアン様がファーストダンスを踊るとパーティーの始まりだ。

 私の傍にキリっとした顔で戻ってきたジュリアン様が私に向かって手を差し出すと。

「スー、いや my princessスカーレット私と踊っていただけますか?」

 ニッコリ笑うジュリアン様に私は顔を引き攣らせながらも断るなんて出来ないので。

「もちろん喜んで」

 ジュリアン様の手を取りダンスホールの中央に行きファーストダンスを踊る。


 音楽が流れ、私達が踊りだし暫くするとフレディ様とクラウディア様が踊りだし、それに合わせて次々と人が増えて行く。

 一曲目が終わりそうになったのでお役御免と、ジュリアン様から離れようとするけど……そうはさせないとジュリアン様の私の腰にあてていた手がグッとジュリアン様の方へ引き寄せた。

 抜け出せないまま二曲目に突入すると、一曲目の騒めきとは比べ物にならないどよめきと、突き刺さる視線に私は逃げたくなるが、今更逃げ出せるわけもなく仕方ないと諦めて踊るけれど……。

 問題は三曲目。

 次こそは絶対に逃げなくてはと逃げの体勢に入ったのに。


 ちぃぃぃぃ。


 がっちりと抱き込まれ私の力では逃げ出せなかった。

 知らない訳ではないけれど、同じ相手と何度も踊る事はタブーだ。

 二度目は婚約者など将来を誓い合った相手。

 そして三度目以上は結婚をして夫婦となってようやく踊る事が出来るのに……。

 まだ公式に発表すらしていないどこの馬の骨とも知れない子を相手に踊って良いものではない。

 正式な夜会ではないのでそう問題視はされないけれど、一国の王太子様がいいのだろうか?

 私がハラハラしていると。

「こら、スー。ダンスに集中して」

 困惑している私にジュリアン様はただでさえ蕩けてしまいそうな瞳なのに更に砂糖をかけたように熱が篭りドロドロに甘くなっている。

「ジュリアン様どうして私と三曲も踊ったのですか?同じ人と何度も踊る意味ご存知ですよね?」

 不安げな顔をしながらそう尋ねると。

「まだわかってくれないのかな?スーは私の婚約者なんだよ。誰にも渡したくない大切な人なんだ。ダンスのタブーを冒しても手放したくないんだよ」

 どうしてこの人はこんなっモブにここまで執着してるんだろう?

 訳が分からなくて思わず私は悲しい顔になってしまう。

 
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