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2章 1000回目の巻き戻りのはじまり
フローリア、混乱する
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ズキズキと痛む頭と強い吐き気に私は沈んでいた意識を浮上させた。
霞む瞳に映るのは、差し込んでくる陽の光と見た事のない風景。
どうやら私はフカフカとした何かの上にいるみたい。
ここは何処?私はどうしてこんな所にいるの?
気が付いた時には既に横たわっていた。
思い出そうとしても朦朧とする意識と、酷く怠く重たい身体が苦しくてたまらない。
そして身体が全く動かない。どういう事?私薬を嗅がされたのかしら?
あぁ、記憶が曖昧すぎて今どういう状況なのか呑み込めないよ~。
酷く私が混乱していると、何か温かいものが巻き付いてきた。
それはふにゃふにゃと柔らかくてくすぐったい。首のあたりに感じる湿ったような感触にビクンと身体が跳ねる。
怖くなった私は重怠く感じる身体に必死に力を込めて目を開けるとそこには……。
私の上に覆いかぶさってくる見覚えのある顔と美しい金髪。その人と目があった瞬間、驚いた顔をしたけれどすぐに優しく甘やかで蕩けるような瞳に変わり、私が抵抗する間もなく唇を奪われた。
あまりの衝撃に固まっていると、その人は私が抵抗しない事に調子に乗ったのか何度も私の唇を奪うと優しく抱きしめて来た。
どうしてこうなったのか理解が追い付かず、恐怖で私の瞳から涙が溢れ出す。
零れる涙に気が付いたのか目の前の人が私の涙を綺麗に舐めとった。
どうしてこの人がこんな事をするのか分からない。
この人生でまだあった事もなかったこの人に私はこんなにまで嫌われていたのね。
怖い。怖い。怖い。
ガタガタと震えが酷くなる私をその人は優しく抱きしめる。
「泣かないでフロル。怖い事なんかないよ」
目の前の人がそう呼んだ。
え?
私の事をそう呼ぶのはただ一人。
いつも私を望むのに。
いつも私から離れて行く。
どんなにあなたを想っても
あなたは私を愛してはくれない。
何度も何度も何度も
あなたの為に頑張ったけど
すべて無駄だった。
あなたはいつも私じゃないあの子のもの。
だったら最初から期待させないで。
私の前に現れないで。
信じられないの。
あなたもあの子も他の人も。
誰も本当の私など必要としていない。
ただ私は都合の良いだけの存在。
わかっている。
それが私の役目。
理解してからは諦めたわ。
だって、愛されないのがわかっているのに何を頑張れるの?
本当の事をみせてはいけない。
辛くとも笑って流すのが淑女。
そんな教育が私の心を蝕んだ。
ただあの時の私はあなたに愛されたかっただけ。
でも歪んだ想いはやがて愛も何もかもを諦めさせた。
もう貴方の事は信じない。
私はあなたなど必要ない。
私は私の力で幸せになるの!!
1000回目の私の決意が私の身体に力を戻した。
「離してください」
私を抱きしめ幸せそうにしているライアン殿下に向けて冷えた声で言った。
「フロル?」
「私をそう呼んでいいのは1人だけです。そして離してください私に触らないで!!」
これ以上貴方に触れられる事に私は耐えられない。
霞む瞳に映るのは、差し込んでくる陽の光と見た事のない風景。
どうやら私はフカフカとした何かの上にいるみたい。
ここは何処?私はどうしてこんな所にいるの?
気が付いた時には既に横たわっていた。
思い出そうとしても朦朧とする意識と、酷く怠く重たい身体が苦しくてたまらない。
そして身体が全く動かない。どういう事?私薬を嗅がされたのかしら?
あぁ、記憶が曖昧すぎて今どういう状況なのか呑み込めないよ~。
酷く私が混乱していると、何か温かいものが巻き付いてきた。
それはふにゃふにゃと柔らかくてくすぐったい。首のあたりに感じる湿ったような感触にビクンと身体が跳ねる。
怖くなった私は重怠く感じる身体に必死に力を込めて目を開けるとそこには……。
私の上に覆いかぶさってくる見覚えのある顔と美しい金髪。その人と目があった瞬間、驚いた顔をしたけれどすぐに優しく甘やかで蕩けるような瞳に変わり、私が抵抗する間もなく唇を奪われた。
あまりの衝撃に固まっていると、その人は私が抵抗しない事に調子に乗ったのか何度も私の唇を奪うと優しく抱きしめて来た。
どうしてこうなったのか理解が追い付かず、恐怖で私の瞳から涙が溢れ出す。
零れる涙に気が付いたのか目の前の人が私の涙を綺麗に舐めとった。
どうしてこの人がこんな事をするのか分からない。
この人生でまだあった事もなかったこの人に私はこんなにまで嫌われていたのね。
怖い。怖い。怖い。
ガタガタと震えが酷くなる私をその人は優しく抱きしめる。
「泣かないでフロル。怖い事なんかないよ」
目の前の人がそう呼んだ。
え?
私の事をそう呼ぶのはただ一人。
いつも私を望むのに。
いつも私から離れて行く。
どんなにあなたを想っても
あなたは私を愛してはくれない。
何度も何度も何度も
あなたの為に頑張ったけど
すべて無駄だった。
あなたはいつも私じゃないあの子のもの。
だったら最初から期待させないで。
私の前に現れないで。
信じられないの。
あなたもあの子も他の人も。
誰も本当の私など必要としていない。
ただ私は都合の良いだけの存在。
わかっている。
それが私の役目。
理解してからは諦めたわ。
だって、愛されないのがわかっているのに何を頑張れるの?
本当の事をみせてはいけない。
辛くとも笑って流すのが淑女。
そんな教育が私の心を蝕んだ。
ただあの時の私はあなたに愛されたかっただけ。
でも歪んだ想いはやがて愛も何もかもを諦めさせた。
もう貴方の事は信じない。
私はあなたなど必要ない。
私は私の力で幸せになるの!!
1000回目の私の決意が私の身体に力を戻した。
「離してください」
私を抱きしめ幸せそうにしているライアン殿下に向けて冷えた声で言った。
「フロル?」
「私をそう呼んでいいのは1人だけです。そして離してください私に触らないで!!」
これ以上貴方に触れられる事に私は耐えられない。
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