ファシスト、異世界で崩れ去る

訃報

 時代が平成から経堂に変わった頃、赤山駿太率いる武装組織｢日本再興党｣が結成され、過激な活動を行っていた。ところが、赤山駿太は26歳にして不可解な死を遂げた。明くる日の今日、彼の葬式には多くの支持者が集っていた。
｢赤山氏は、日本を本当に良くしようとしていました。彼の意思は、私が引き継ぎます！ですので、今後もご支援を宜しくお願いします！｣
事件に関与していたと思われる党員の弔辞が済むと、いよいよ葬式は火葬へと移った。遺族が遺影を持ち、カートに乗せられた棺桶がカラカラと運ばれていく。ごつごつした火葬場の穴に棺桶が入れられ、火がかけられる。それから20分後、棺桶が黒焦げになった状態で出てくる。そして遺骨を拾おうと蓋を開けると、そこには骨はなかった。骨どころか、棺桶に入れた物の残骸しかそこにはなかった。参列者はその日の帰り道、いつもより多めに塩を被った。