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本編
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リヒトの戴冠式。
それは大国であるからこそ行わねばならぬものでした。
周辺の国からお祝いの為に多くの方がやって参ります。
リヒテールからは、ミヒャエルとセレンファーレさんが。
ヴァンヘルからはサレンドル様と聞いています。
他の国からも多くの方がやってこられるそうです。
皆様戴冠式と、その後の夜会にももちろん出席されますが、それより一足早くセレンファーレさんとミヒャエルがわたくしたちに会いに来てくださいました。
「かわいい……ほっぺがぷくぷくですね」
すやすやと眠るローデリヒを見つめながらセレンファーレさんはきらきらと瞳を輝かせています。その様をミヒャエルも眺めている。
「ローデリヒはとてもおとなしくて、わたくしの手で眠ってくれるのよ。フリードリヒはわたくしよりもジークの方が好きだったのよ、覚えてないでしょうけど」
「かあさま、すき!」
フリードリヒはそんなことないとわたくしに抱き着いてくる。
ローデリヒを皆が構ってくれるから、わたくしの手が空いている。フリードリヒは抱っことせがんで、今わたくしの膝の上。
フリードリヒもローデリヒも、どちらにも等しくと思うのだけれどやっぱりローデリヒの面倒を見てしまう。
嫉妬しているのはわかるので今日はずっとフリードリヒのいう事を聞くことに。
「国の方は問題ありませんの?」
「やることが増えて、ゆっくりしていられない。西のほうが、な」
「ああ……」
ふと、何の気なしに尋ねればミヒャエルは苦笑する。まだごたごたは続いているようです。
ミヒャエルも王太子として、次の事を考えて色々と頑張っているのでしょう。
リヒテールの王太子夫妻は仲も良く色々なことに真摯だと、噂は聞いていますから。
それからしばらくして、リヒトがやってきてミヒャエルを連れていってしまう。
殿方は政治だなんだと忙しいわねとわたくしは思うのです。そして女だけになって、セレンファーレさんはそわそわとし始めました。
これは何か話したいことがあるのですね。
「どうしましたの?」
「あの……その、やっぱり出産は大変、ですよね?」
「ええ、まぁ……そうね。初めては特に」
わたくしがフリードリヒの頭をなでると嬉しそうにする。小さなころ、リヒトもこんな感じだったのかしらと思うと少しおかしい。
フリードリヒに、ツェリにお茶のおかわりを頼んできてくれる? と仕事を与えると嬉しそうに頷いて、ソファから降りると隣の部屋に。きっとそちらに行けば、ツェリの子もいますから一緒に遊び始め。茶が入るまでは戻ってこないでしょう。
その間に、わたくしはどうしたのとセレンファーレさんに尋ねました。
「何か相談したいのでしょう?」
「お姉様、その……あの……夜、一度で終わってしまうのですけれど……そ、それでいいのかな、と」
「え?」
「だから赤ちゃんができる感じもないのかしらって……レオノラは、もうお腹に赤ちゃんがいて大変そうなので相談しにくくて」
「……それはつまり、夜の生活に不満がある、と」
「えええ!? そ、そうではなくって! そ、その話を聞く限りレオノラも一度では終わらないというのですが、私はそうではなくてお姉様はどうなの、かしらと…………へんなこときいてごめんなさい」
本当に、変な事よ。
それはミヒャエルが遠慮しているのでは、と思うのですけれど。
「それはもっとして欲しいと言えばいいだけでは?」
「そんな! 恥ずかしくて……そ、それに引かれたらどうしようかと」
「引かれる、ことなんてまずないわ。その、いやいやしているわけではないのでしょう?」
「それはないです」
「なら、大丈夫ではなくて?」
「そう、です? お姉様はどうなのです?」
「わ、わたくし達は……ま、まぁ一度では終わりませんけれど」
なんなのかしら。わたくし、なんでこんなことに答えてるのかしら。
とにかく、言ってみるのが一番よと告げればセレンファーレさんはこくこくと頷いている。
だ、大丈夫なのかしら。ちょっと不安もあるのだけれど。だ、大丈夫だということにしておきましょう。
それから、お茶のおかわりをツェリが持ってきてくれてこのお話は終わり。
しばらくしてミヒャエルが迎えに来て、セレンファーレさんたちは帰って行きました。
そして夜、ローデリヒが眠っているのを眺めつつ、リヒトはフリードリヒを寝かしつけていました。
フリードリヒも何かあるのはわかっていてそわそわして落ち着きがない。一度、衣装合わせをしたのですけれど、服が重くて固まってしまいました。
その姿はとても、かわいらしいものだったのです。
「リヒト、フリードリヒは眠りました?」
「ああ。ぐっすりだ」
そっと寝台から抜け出て、リヒトはわたくしの元にくる。そして隣に腰かけ、今日は変な話をしたとため息をつくのです。
どうしたのと問えば、何故か性生活の相談を受けた、と。
わたくしはその言葉に、淑女らしくないと思いつつも噴出してしまいました。
「や、やだ。それはもしかして、夜はもっと求めていいのでしょうか、という話では?」
「そうだが、何故察しがつく」
「いえ、その……あ、ありがちではと思って」
「抱くと壊れそうで、と。俺は妹のそんな話を聞きたくはない」
「ふふ、だって愛してますものね」
「……今、一番愛しているのはお前だ」
わたくしのからかうような声にリヒトは低い声で返す。それはちゃんとわかれ、というような。
そんな響き。
「国で誰かに相談すればすぐ噂になるから誰にも言えないと言われて」
「それは正しいですわね」
「俺もそう思うがしかし、何故俺に……」
「それは、一番問いやすかったのでしょう? 後見人ですし……変な約束だってさせていたじゃない?」
なんておかしい。
あの二人、似たもの夫婦なのかしら。
まぁきっとそのうちうまくいくでしょう。こちらにいるうちに解決したなら、セレンファーレさんはきっと報告してくれますわ。
彼女達が幸せそうにしているのは、わたくしにとっても嬉しい事だと今は思うのです。
「しばらく忙しくなるな」
「ええ、そうね」
「衣装合わせは?」
「もうとっくに。そういえば、あなたの衣装をわたくし、見てませんわ」
「わざと見せてない。当日見て、惚れ直せ」
ふふんと自信満々に笑う。
そんなにすごい衣装なのかしら。見て惚れ直すということは格好良いという自負があるのよね。
わたくしは楽しみにしていますわと笑う。
戴冠式なんて一生に一度よ。わたくしは王となるこの人の傍らにいるに、ふさわしいかしら。
大丈夫かしら。
まったく不安が、ないわけではないの。でも、一緒ならと思える。
リヒト、と名を呼んで口付ければ応じてくれる。
わたくしからこうして求められるようになったのは進歩かしら。何度もそうしていれば、リヒトに火がついてしまう。
ああ、これは久しぶりにと思ったのだけれど。
ふぎゃ、と突然起きたローデリヒの声が響く。
「リヒト、諦めて」
「……ああ、仕方ない」
残念そうな顔でわたくしの上から身を引く。そういう我慢をできるようになったのよねとわたくしは笑ってローデリヒを抱き上げる。
すると、その声にフリードリヒも起きてしまって。
三人でローデリヒをあやして、それにつられてフリードリヒが寝入り、リヒトもいつのまにか。
「眠った顔は本当に、良く似てること」
ねぇ、とわたたくしはローデリヒを抱いて笑うのです。
それは大国であるからこそ行わねばならぬものでした。
周辺の国からお祝いの為に多くの方がやって参ります。
リヒテールからは、ミヒャエルとセレンファーレさんが。
ヴァンヘルからはサレンドル様と聞いています。
他の国からも多くの方がやってこられるそうです。
皆様戴冠式と、その後の夜会にももちろん出席されますが、それより一足早くセレンファーレさんとミヒャエルがわたくしたちに会いに来てくださいました。
「かわいい……ほっぺがぷくぷくですね」
すやすやと眠るローデリヒを見つめながらセレンファーレさんはきらきらと瞳を輝かせています。その様をミヒャエルも眺めている。
「ローデリヒはとてもおとなしくて、わたくしの手で眠ってくれるのよ。フリードリヒはわたくしよりもジークの方が好きだったのよ、覚えてないでしょうけど」
「かあさま、すき!」
フリードリヒはそんなことないとわたくしに抱き着いてくる。
ローデリヒを皆が構ってくれるから、わたくしの手が空いている。フリードリヒは抱っことせがんで、今わたくしの膝の上。
フリードリヒもローデリヒも、どちらにも等しくと思うのだけれどやっぱりローデリヒの面倒を見てしまう。
嫉妬しているのはわかるので今日はずっとフリードリヒのいう事を聞くことに。
「国の方は問題ありませんの?」
「やることが増えて、ゆっくりしていられない。西のほうが、な」
「ああ……」
ふと、何の気なしに尋ねればミヒャエルは苦笑する。まだごたごたは続いているようです。
ミヒャエルも王太子として、次の事を考えて色々と頑張っているのでしょう。
リヒテールの王太子夫妻は仲も良く色々なことに真摯だと、噂は聞いていますから。
それからしばらくして、リヒトがやってきてミヒャエルを連れていってしまう。
殿方は政治だなんだと忙しいわねとわたくしは思うのです。そして女だけになって、セレンファーレさんはそわそわとし始めました。
これは何か話したいことがあるのですね。
「どうしましたの?」
「あの……その、やっぱり出産は大変、ですよね?」
「ええ、まぁ……そうね。初めては特に」
わたくしがフリードリヒの頭をなでると嬉しそうにする。小さなころ、リヒトもこんな感じだったのかしらと思うと少しおかしい。
フリードリヒに、ツェリにお茶のおかわりを頼んできてくれる? と仕事を与えると嬉しそうに頷いて、ソファから降りると隣の部屋に。きっとそちらに行けば、ツェリの子もいますから一緒に遊び始め。茶が入るまでは戻ってこないでしょう。
その間に、わたくしはどうしたのとセレンファーレさんに尋ねました。
「何か相談したいのでしょう?」
「お姉様、その……あの……夜、一度で終わってしまうのですけれど……そ、それでいいのかな、と」
「え?」
「だから赤ちゃんができる感じもないのかしらって……レオノラは、もうお腹に赤ちゃんがいて大変そうなので相談しにくくて」
「……それはつまり、夜の生活に不満がある、と」
「えええ!? そ、そうではなくって! そ、その話を聞く限りレオノラも一度では終わらないというのですが、私はそうではなくてお姉様はどうなの、かしらと…………へんなこときいてごめんなさい」
本当に、変な事よ。
それはミヒャエルが遠慮しているのでは、と思うのですけれど。
「それはもっとして欲しいと言えばいいだけでは?」
「そんな! 恥ずかしくて……そ、それに引かれたらどうしようかと」
「引かれる、ことなんてまずないわ。その、いやいやしているわけではないのでしょう?」
「それはないです」
「なら、大丈夫ではなくて?」
「そう、です? お姉様はどうなのです?」
「わ、わたくし達は……ま、まぁ一度では終わりませんけれど」
なんなのかしら。わたくし、なんでこんなことに答えてるのかしら。
とにかく、言ってみるのが一番よと告げればセレンファーレさんはこくこくと頷いている。
だ、大丈夫なのかしら。ちょっと不安もあるのだけれど。だ、大丈夫だということにしておきましょう。
それから、お茶のおかわりをツェリが持ってきてくれてこのお話は終わり。
しばらくしてミヒャエルが迎えに来て、セレンファーレさんたちは帰って行きました。
そして夜、ローデリヒが眠っているのを眺めつつ、リヒトはフリードリヒを寝かしつけていました。
フリードリヒも何かあるのはわかっていてそわそわして落ち着きがない。一度、衣装合わせをしたのですけれど、服が重くて固まってしまいました。
その姿はとても、かわいらしいものだったのです。
「リヒト、フリードリヒは眠りました?」
「ああ。ぐっすりだ」
そっと寝台から抜け出て、リヒトはわたくしの元にくる。そして隣に腰かけ、今日は変な話をしたとため息をつくのです。
どうしたのと問えば、何故か性生活の相談を受けた、と。
わたくしはその言葉に、淑女らしくないと思いつつも噴出してしまいました。
「や、やだ。それはもしかして、夜はもっと求めていいのでしょうか、という話では?」
「そうだが、何故察しがつく」
「いえ、その……あ、ありがちではと思って」
「抱くと壊れそうで、と。俺は妹のそんな話を聞きたくはない」
「ふふ、だって愛してますものね」
「……今、一番愛しているのはお前だ」
わたくしのからかうような声にリヒトは低い声で返す。それはちゃんとわかれ、というような。
そんな響き。
「国で誰かに相談すればすぐ噂になるから誰にも言えないと言われて」
「それは正しいですわね」
「俺もそう思うがしかし、何故俺に……」
「それは、一番問いやすかったのでしょう? 後見人ですし……変な約束だってさせていたじゃない?」
なんておかしい。
あの二人、似たもの夫婦なのかしら。
まぁきっとそのうちうまくいくでしょう。こちらにいるうちに解決したなら、セレンファーレさんはきっと報告してくれますわ。
彼女達が幸せそうにしているのは、わたくしにとっても嬉しい事だと今は思うのです。
「しばらく忙しくなるな」
「ええ、そうね」
「衣装合わせは?」
「もうとっくに。そういえば、あなたの衣装をわたくし、見てませんわ」
「わざと見せてない。当日見て、惚れ直せ」
ふふんと自信満々に笑う。
そんなにすごい衣装なのかしら。見て惚れ直すということは格好良いという自負があるのよね。
わたくしは楽しみにしていますわと笑う。
戴冠式なんて一生に一度よ。わたくしは王となるこの人の傍らにいるに、ふさわしいかしら。
大丈夫かしら。
まったく不安が、ないわけではないの。でも、一緒ならと思える。
リヒト、と名を呼んで口付ければ応じてくれる。
わたくしからこうして求められるようになったのは進歩かしら。何度もそうしていれば、リヒトに火がついてしまう。
ああ、これは久しぶりにと思ったのだけれど。
ふぎゃ、と突然起きたローデリヒの声が響く。
「リヒト、諦めて」
「……ああ、仕方ない」
残念そうな顔でわたくしの上から身を引く。そういう我慢をできるようになったのよねとわたくしは笑ってローデリヒを抱き上げる。
すると、その声にフリードリヒも起きてしまって。
三人でローデリヒをあやして、それにつられてフリードリヒが寝入り、リヒトもいつのまにか。
「眠った顔は本当に、良く似てること」
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