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本編
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まだすべてが終わった訳ではないのでしょうけれど、一区切り。
西方辺境伯自身の事はこれから国王様が叩いていかれるのでしょう。それについてはわたくしたちが関わる事ではないのです。
婚約式と。それから、事を起こした方達への処遇が決まった次の日、わたくし達は公爵家へと移りました。
セレンファーレさんは城でも良いのではとわたくしは思っているのですが何かあったらどうするとリヒトが言います。
まぁそれはつまり、婚前交渉は許さないということのようで。
そんなことを言うなんてとわたくしは思う。わたくしを手籠めにされたのはどこのどちら様でしたっけと意地悪をすると、気まり悪そうな顔をされて。
そんな顔をされるとわたくしだって困ってしまいますわ。
「……お前は謝るなと言って、俺も謝らないと言った」
「ええ」
「今でもそう思うか?」
「ええ」
「俺は、もうそう思えないんだ、アーデルハイト」
それは謝りたいと、リヒトが思っているということ?
でもわたくし、怒っていませんの。それなのに謝られるなんて居心地が悪いというか、おかしな話では?
根本的なところで、何か行き違いがあるような。そんな気がしてなりません。
「……まず、わたくし、怒ってませんのよ?」
「だが俺は許されないことをしただろう」
「いえ、それは」
「そういう事をお前にした」
これは、リヒトは許して欲しいの?
わたくしに悪いことをしたと思っていて、それを許されたい。許されないと前に進めないの?
でも、わたくしはそれを咎める気はない。
だって、気付いてしまったの。
わたくし本当に嫌なら何が何でも、抵抗しますわ。ナイトロット様に触られて嫌悪しかなくて逃げたのだもの。
もしそんなことになるなら舌を噛み切って死んでやるわと思ったのに。
わたくしはリヒトにそうされたときそうしなかった。そう思わなかった。
そんな気持ちが無かったことを、思い出す。
つまり、嫌ではなかったのです。
わたくしは最初から、リヒトに触れられることを拒んでいなかった。
たしかに恐ろしさとか、そういうものが無かったとは言いませんけれど。
忌避はなかった。根っこのところでは受け入れていたのです。
意識なんてせず、無意識のうちに。わたくしは、リヒトを懐に入れていたの。
このことを、言わなきゃいけないの? 言わなきゃだめ?
なあなあで許すわと言えば、リヒトは納得する? しないでしょう。
先程、怒ってないと言いましたし。それをころっと突然、掌返して本当は怒っていた、でも許すわなんておかしくありません?
きっとリヒトは、どうして許すのかとその過程すら求めてくるのでしょうから。
やだ、無理よ。無理。は、恥ずかしくて言えないわ。
「アーデルハイト」
問うような声に、わたくしはちょっと待ってと言う。
そう、頭の中を整理しましょう。整理させて頂戴。
「わたくしは怒ってないの。だから許す許さないなんて、まずないのよ。あなたは許されない事をしたと言うけれど、それはあなたの気持ちの問題よね?」
「ああ、そうだな」
「わたくしが、今ここで許すわと形だけとっても納得しないでしょう? リヒトは、わたくしが怒ってはいないというけれど何か思う所はある、とでも思って、いる?」
「思っている。だからそれを言ってほしい」
「……わたくしが許すといえないのは、最初から……許してるからなのよ、多分」
「最初、から?」
「そう。でも、でもその、何故、どうしてって言われたらそれには答えられないの、わからないから。だからその答えを言葉にできるまでは待っててくださる?」
「何を言われているかよくわからない……」
「良いから、待つっておっしゃいなさい。それで良いのよ」
そう強く言うと、リヒトはぽかんとして。そうか、なら待とうと笑う。
抱きしめて良いかと問うので、どうぞと言えば嬉しそうに抱きしめて。
あたたかい。わたくしはこのぬくもり、好きよ。
そういえば、昨日も今日も口付はねだられていないのでは。ま、まぁあんなことがありましたから遠慮してるのでしょうが。
お強請りされないのが少し寂しいなんて。
そっとわたくしも恐る恐る腕を回す。するとリヒトは驚いたのかびくりと身体震わせ、わたくしを抱く力を少し強めました。
「そういえば、街を一緒に歩くなんて言っていたのにできなかったな」
「そうね。もういいわ、国に帰ってからしましょ? 明日はガーデンパーティーをして、それが終われば帰る事になりますし」
「それでいいのか?」
ええ、と微笑む。では帰ったらとリヒトは約束をしてくれました。
それからとんとんとガーデンパーティーの準備はあっという間に整い、その日がやって参りました。
わたくしも準備に勤しんで、その日々の途中でお父様から彼女が嫁入りすると聞かされました。
そう、レオノラ嬢です。お姉様達の情報網と、それからご本人たちの引き合わせはわたくしの知らぬ間に行われていて。
彼女は我が家寄りのとある伯爵家へと嫁ぐこととなりました。
結婚だなんだの承認はリヒトがすれば問題は無く、祝う家族もいないまま、彼女は別の国で一生を過ごすことを決めたのです。
レオノラ嬢曰く、お相手の方はとても優しくて大事にしてくださるから、と。あちらが良いな、と思い話してみると両人、性格もあってと。
どちらかと言うとあちらの方が強く望まれたそうです。それは大丈夫ですの、と思ったのですがお姉様方曰く、今までどんな浮いた話もない方だったとか。
後ろ盾は我が家となりますし、セルデスディアの宰相であった家の娘。嫁入りの支度などは突然の事だったのでありませんが、おそらく後から整えられるでしょう。
しばらくはセレンファーレさんと一緒に屋敷にいるでしょうが。今日、その方もいらっしゃってるようでお顔を拝見するのが少し楽しみです。
お父様の挨拶、それからわたくしとリヒトも挨拶をして。セレンファーレさんも。
ミヒャエルがやってきて、一緒に並んでと。
このパーティーは公爵家の力の在り様を示すようなものでもありました。
用意した食事なども楽しんでもらえましたし、庭に座って話すようなスペースも皆様受け入れていらっしゃるようでした。
珍しいからというのももちろんあったのでしょうが。
そして、この場には色々ありましたがリリア嬢とアイリス嬢もお呼ばれしています。
彼女達はわたくしというより、セレンファーレさんとお話をされているようで。
セレンファーレさんも最初は構えていらっしゃったのですが、問題なく過ごせているようです。
遠目から見ていると、リリア嬢をアイリス嬢が窘めてらっしゃる風もありますが、セレンファーレさんはそのうちそれにも慣れたようで。そこにレオノラ嬢も交えてお話されていました。一対二ではなく、二対二なのも良さそうです。
それを見たリヒトが、お前あの時に何か魔法を使ったなというのです。
魔法だなんてそんな。ちょっと知恵をつけてさしあげただけ。
リヒトはどんなだ、と言うのだけれどそれを教えるとお前はまた、とか言われそうなので黙っていることにしました。
それからお父様に呼ばれてリヒトはそちらへ。どうやら伯爵方を紹介しているようです。
わたくしは日陰で一休み、のつもりだったのですがさまざまな方達が挨拶にいらっしゃって対応するばかりです。
それらの波が一区切り。落ち着くとお姉様達がやって参りました。
「ねぇ、あれは良いの?」
「そうよ。あなたの旦那様なのに」
促されてみると、リヒトが令嬢達と楽しそうにお話している。
まぁ、なんだか楽しそうで嬉しそう。朗らかに笑顔を浮かべていて。それは、珍しく社交辞令的なものではなくわずかに感情の滲んだもののようでした。
それを見て驚くと共に、胸にもやりとしたものがある。
わたくし以外の方と楽しそうにして、と膨れた思い。そう、こんな感情を抱くなんて早々なくて、それが何かすぐに理解してしまう。
これは嫉妬。間違いなく、嫉妬なの。
「……浮気ではないですし」
「……ほら、ティア。言った通りでしょう?」
「ええ、ええそうね。この子……嫉妬してるわ」
何を、と言おうとしたもののの言い返せばお姉さま方はほらとわたくしをあしらってしまうでしょう。
だから何も答えぬままでいると、重傷ねと仰るのです。
「あなた、相当あの方の事が好きね」
「そうよ。隠さなくていいわ、わかるもの」
「そ、それは……まぁ、はい。ええ……はい。好き、ですけれど」
まぁ! とお姉様お二人は声をそろえる。その姿が楽しそうで居心地が悪い。
そしてお二人は良かったと言って笑うのです。
わたくしがまともに恋愛をしていることを知って。そしてそれが報われないものではないことを知って。
お姉様達お二人に、わたくしは心配もされていたようです。
それからお姉様達にちゃかされつつも、無事にガーデンパーティーは終わりました。
しかし、わたくしはリヒトが他のご令嬢と楽しそうにしていた事にもやりとしたものを感じ続けていて、そっけない態度をとってしまいました。
すると何かしたかと問うてくるのですが、答えられるわけもなく。
なんでもないと言っても、そんなことは無いだろうと問い詰められ。
それから逃げて、はぐらかしているままに、帰途の日がやってきてしまいました。
西方辺境伯自身の事はこれから国王様が叩いていかれるのでしょう。それについてはわたくしたちが関わる事ではないのです。
婚約式と。それから、事を起こした方達への処遇が決まった次の日、わたくし達は公爵家へと移りました。
セレンファーレさんは城でも良いのではとわたくしは思っているのですが何かあったらどうするとリヒトが言います。
まぁそれはつまり、婚前交渉は許さないということのようで。
そんなことを言うなんてとわたくしは思う。わたくしを手籠めにされたのはどこのどちら様でしたっけと意地悪をすると、気まり悪そうな顔をされて。
そんな顔をされるとわたくしだって困ってしまいますわ。
「……お前は謝るなと言って、俺も謝らないと言った」
「ええ」
「今でもそう思うか?」
「ええ」
「俺は、もうそう思えないんだ、アーデルハイト」
それは謝りたいと、リヒトが思っているということ?
でもわたくし、怒っていませんの。それなのに謝られるなんて居心地が悪いというか、おかしな話では?
根本的なところで、何か行き違いがあるような。そんな気がしてなりません。
「……まず、わたくし、怒ってませんのよ?」
「だが俺は許されないことをしただろう」
「いえ、それは」
「そういう事をお前にした」
これは、リヒトは許して欲しいの?
わたくしに悪いことをしたと思っていて、それを許されたい。許されないと前に進めないの?
でも、わたくしはそれを咎める気はない。
だって、気付いてしまったの。
わたくし本当に嫌なら何が何でも、抵抗しますわ。ナイトロット様に触られて嫌悪しかなくて逃げたのだもの。
もしそんなことになるなら舌を噛み切って死んでやるわと思ったのに。
わたくしはリヒトにそうされたときそうしなかった。そう思わなかった。
そんな気持ちが無かったことを、思い出す。
つまり、嫌ではなかったのです。
わたくしは最初から、リヒトに触れられることを拒んでいなかった。
たしかに恐ろしさとか、そういうものが無かったとは言いませんけれど。
忌避はなかった。根っこのところでは受け入れていたのです。
意識なんてせず、無意識のうちに。わたくしは、リヒトを懐に入れていたの。
このことを、言わなきゃいけないの? 言わなきゃだめ?
なあなあで許すわと言えば、リヒトは納得する? しないでしょう。
先程、怒ってないと言いましたし。それをころっと突然、掌返して本当は怒っていた、でも許すわなんておかしくありません?
きっとリヒトは、どうして許すのかとその過程すら求めてくるのでしょうから。
やだ、無理よ。無理。は、恥ずかしくて言えないわ。
「アーデルハイト」
問うような声に、わたくしはちょっと待ってと言う。
そう、頭の中を整理しましょう。整理させて頂戴。
「わたくしは怒ってないの。だから許す許さないなんて、まずないのよ。あなたは許されない事をしたと言うけれど、それはあなたの気持ちの問題よね?」
「ああ、そうだな」
「わたくしが、今ここで許すわと形だけとっても納得しないでしょう? リヒトは、わたくしが怒ってはいないというけれど何か思う所はある、とでも思って、いる?」
「思っている。だからそれを言ってほしい」
「……わたくしが許すといえないのは、最初から……許してるからなのよ、多分」
「最初、から?」
「そう。でも、でもその、何故、どうしてって言われたらそれには答えられないの、わからないから。だからその答えを言葉にできるまでは待っててくださる?」
「何を言われているかよくわからない……」
「良いから、待つっておっしゃいなさい。それで良いのよ」
そう強く言うと、リヒトはぽかんとして。そうか、なら待とうと笑う。
抱きしめて良いかと問うので、どうぞと言えば嬉しそうに抱きしめて。
あたたかい。わたくしはこのぬくもり、好きよ。
そういえば、昨日も今日も口付はねだられていないのでは。ま、まぁあんなことがありましたから遠慮してるのでしょうが。
お強請りされないのが少し寂しいなんて。
そっとわたくしも恐る恐る腕を回す。するとリヒトは驚いたのかびくりと身体震わせ、わたくしを抱く力を少し強めました。
「そういえば、街を一緒に歩くなんて言っていたのにできなかったな」
「そうね。もういいわ、国に帰ってからしましょ? 明日はガーデンパーティーをして、それが終われば帰る事になりますし」
「それでいいのか?」
ええ、と微笑む。では帰ったらとリヒトは約束をしてくれました。
それからとんとんとガーデンパーティーの準備はあっという間に整い、その日がやって参りました。
わたくしも準備に勤しんで、その日々の途中でお父様から彼女が嫁入りすると聞かされました。
そう、レオノラ嬢です。お姉様達の情報網と、それからご本人たちの引き合わせはわたくしの知らぬ間に行われていて。
彼女は我が家寄りのとある伯爵家へと嫁ぐこととなりました。
結婚だなんだの承認はリヒトがすれば問題は無く、祝う家族もいないまま、彼女は別の国で一生を過ごすことを決めたのです。
レオノラ嬢曰く、お相手の方はとても優しくて大事にしてくださるから、と。あちらが良いな、と思い話してみると両人、性格もあってと。
どちらかと言うとあちらの方が強く望まれたそうです。それは大丈夫ですの、と思ったのですがお姉様方曰く、今までどんな浮いた話もない方だったとか。
後ろ盾は我が家となりますし、セルデスディアの宰相であった家の娘。嫁入りの支度などは突然の事だったのでありませんが、おそらく後から整えられるでしょう。
しばらくはセレンファーレさんと一緒に屋敷にいるでしょうが。今日、その方もいらっしゃってるようでお顔を拝見するのが少し楽しみです。
お父様の挨拶、それからわたくしとリヒトも挨拶をして。セレンファーレさんも。
ミヒャエルがやってきて、一緒に並んでと。
このパーティーは公爵家の力の在り様を示すようなものでもありました。
用意した食事なども楽しんでもらえましたし、庭に座って話すようなスペースも皆様受け入れていらっしゃるようでした。
珍しいからというのももちろんあったのでしょうが。
そして、この場には色々ありましたがリリア嬢とアイリス嬢もお呼ばれしています。
彼女達はわたくしというより、セレンファーレさんとお話をされているようで。
セレンファーレさんも最初は構えていらっしゃったのですが、問題なく過ごせているようです。
遠目から見ていると、リリア嬢をアイリス嬢が窘めてらっしゃる風もありますが、セレンファーレさんはそのうちそれにも慣れたようで。そこにレオノラ嬢も交えてお話されていました。一対二ではなく、二対二なのも良さそうです。
それを見たリヒトが、お前あの時に何か魔法を使ったなというのです。
魔法だなんてそんな。ちょっと知恵をつけてさしあげただけ。
リヒトはどんなだ、と言うのだけれどそれを教えるとお前はまた、とか言われそうなので黙っていることにしました。
それからお父様に呼ばれてリヒトはそちらへ。どうやら伯爵方を紹介しているようです。
わたくしは日陰で一休み、のつもりだったのですがさまざまな方達が挨拶にいらっしゃって対応するばかりです。
それらの波が一区切り。落ち着くとお姉様達がやって参りました。
「ねぇ、あれは良いの?」
「そうよ。あなたの旦那様なのに」
促されてみると、リヒトが令嬢達と楽しそうにお話している。
まぁ、なんだか楽しそうで嬉しそう。朗らかに笑顔を浮かべていて。それは、珍しく社交辞令的なものではなくわずかに感情の滲んだもののようでした。
それを見て驚くと共に、胸にもやりとしたものがある。
わたくし以外の方と楽しそうにして、と膨れた思い。そう、こんな感情を抱くなんて早々なくて、それが何かすぐに理解してしまう。
これは嫉妬。間違いなく、嫉妬なの。
「……浮気ではないですし」
「……ほら、ティア。言った通りでしょう?」
「ええ、ええそうね。この子……嫉妬してるわ」
何を、と言おうとしたもののの言い返せばお姉さま方はほらとわたくしをあしらってしまうでしょう。
だから何も答えぬままでいると、重傷ねと仰るのです。
「あなた、相当あの方の事が好きね」
「そうよ。隠さなくていいわ、わかるもの」
「そ、それは……まぁ、はい。ええ……はい。好き、ですけれど」
まぁ! とお姉様お二人は声をそろえる。その姿が楽しそうで居心地が悪い。
そしてお二人は良かったと言って笑うのです。
わたくしがまともに恋愛をしていることを知って。そしてそれが報われないものではないことを知って。
お姉様達お二人に、わたくしは心配もされていたようです。
それからお姉様達にちゃかされつつも、無事にガーデンパーティーは終わりました。
しかし、わたくしはリヒトが他のご令嬢と楽しそうにしていた事にもやりとしたものを感じ続けていて、そっけない態度をとってしまいました。
すると何かしたかと問うてくるのですが、答えられるわけもなく。
なんでもないと言っても、そんなことは無いだろうと問い詰められ。
それから逃げて、はぐらかしているままに、帰途の日がやってきてしまいました。
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