80 / 245
本編
73
しおりを挟む
わたくしが夜会の準備をしていると、ディートリヒ様も一度、着替えに戻られました。
そのお顔を見た時、わたくしはどうしましたのと思わず問うてしまったのです。
「どう、とは……」
「いえ、お疲れのようですから……」
「色々な話を詰めていただけだ。そんなに、わかるか」
「ええ」
とりあえず、お座りになってとわたくしは促しました。ツェリにはお茶をと命じて。
傍によると、ディートリヒ様はわたくしの手をとりその甲に口付をひとつ。
何をしているのかよくわからなくて、本当に参っているのだなとわたくしは思ったのです。
「夜会、大丈夫ですの?」
「ああ」
「まだお時間がありますから、一眠りされては?」
「寝たら起きれないような気がする」
「起して差し上げますけど」
「寝起きの顔では夜会に出れない」
それもそうですわね。
ではせめてこちらで体を休めてくださいと言うと、傍にいてくれないのかと、そんなことを突然仰って。
「傍にいて欲しいのです?」
「請えばいてくれるのか?」
「まぁ、はい」
「では傍にいてくれ」
隣にと座らされディートリヒ様はわたくしの肩口に頭を置かれました。
そのまま瞳を閉じ、色々と面倒な話ばかりだと零されました。
「国境を明確にしたいだとか、この場所の整備はだとか。できる王ゆえに求める者も大きい。どちらも負担はするが、疲弊しているヴァンヘルより富めるこちらのほうがやるべきだろうと言われると、確かにそうでもある」
しかしすべてをこちらで負担するわけには、とディートリヒ様は仰ります。
ええ、それはわたくしもそうかと思いますわ。
しかし、ヴァンヘルの人々の暮らしがどの程度なのか、わたくし達にはわかりません。
今まで国としてのお付き合いが薄かったのですから、それは当然でしょう。
いくら王族の方達が立派な衣服を纏っていてもそれは基準になりませんわ。それは最低限の礼儀なのですから。
「ではヴァンヘルに足をお運びになって、どの程度の暮らしを皆様がされているのかご覧になっては?」
「は?」
「だって、わからないのでしょう? 国の端で食べるに困る者達を狩りだしてまで国境の整備を、とは思わないでしょう? ある程度、安定した生活をしている、もしくは国境の整備によってそうなれる方達がいらっしゃらないと」
国の中心にいるであろう貴族たちは、きっとそういった肉体労働にはでてきませんからお金を。
ディートリヒ様が行かれるとしって、開かれる夜会やらの経費をそちらに回させればよろしいのではなくて? とわたくしは提案しました。
ディートリヒ様はそれを聞いて、なるほどと零されました。
「そうだな。確かにヴァンヘルの国力がいかほどか、量れる基準がない……」
その提案もしてみるかとディートリヒ様は笑ってわたくしの肩から頭を外されました。
「もうよろしいの?」
「お前の支度の邪魔もできんだろう?」
行けと言われ、わたくしは着替えに戻ります。身に着けるのは、与えていただいたあのドレス。
それから宝石。
わたくしが準備を終えるとディートリヒ様も準備をすでに終えられ、先程よりすっきりとした表情をなさっていました。
「そのお顔なら皆様の前に出ても大丈夫ですね」
「休みなく動いているのは皆も同じだ」
「そうですわね」
では、とわたくしをエスコートして。わたくし達は夜会にいらっしゃる方達をお迎えします。
入り口でお迎えして、次々といらっしゃる方達にご挨拶を。
来場順は、この国の貴族は早めに、それから他国の方々、最後にヴァンヘルの皆様となっています。
国内の貴族はすでに中に入り、これからいらっしゃる方々をお迎えできる状況。
国王様たちは一番奥のお席に。そこにセレンファーレさんもいらっしゃいます。レオノラ嬢もその傍に。先程、ガゼル様にも挨拶を頂きましたがさすがに他国の方々がいらっしゃるところでは何もされないでしょう。
一応、犬達を彼女たちの傍に配してはいますが。
そして他国の皆様も少しずつ赴かれ、挨拶をして中へ入っていかれます。
その入場待ちの列の中にお父様の姿を見つけ、そしてその隣に立つ男性の姿にわたくしは瞬いたのです。
ちょっとミヒャエル、なんでそこにいますの?
それにはディートリヒ様も気づかれたようでわたくしに視線をひとつ。
それにゆるく首を振って、わたくしは何も知りませんのよと示しました。
お父様とミヒャエルがわたくしたちの前に来て、挨拶を。
「お父様、よくいらっしゃいました」
「今宵はお招きありがとうございます。こちらは招待状はないのですが……私の親類の男爵となります。世間勉強がてら、連れてきたのですが中に連れて入ってよろしいでしょうか?」
親類。
なるほど、あくまで王子であることは隠していくのですね。
わたくしはよろしいのではなくて、と笑みを。ディートリヒ様もかまわないと頷きました。
「ありがとうございます。ミヒャエル・トランジットと申します」
トランジット。それは確かに、親類にある名前でした。
何故ここにいるのか、今は尋ねるべきではないでしょう。あとで話す時間を作る必要がありそうです。
お父様からの手紙には一緒に来る、なんてありませんでしたからミヒャエルがわがままを言ってついてきたのでしょうけど。
お父様とミヒャエル達を見送って、次の方のお相手を。
そして他国からの使者の方たちも中へ入り、最後にヴァンヘルの方々を。
城に滞在されている皆様を使いの者に呼びに行かせました。
「皆様をお迎えしたら最後ですわね」
「ああ、それにしても……何故いるのか」
「わたくしは何も聞いてませんわ」
「俺もだ」
勝手にこんなことをされては困るなとディートリヒ様は苦笑して、すっと瞳を細められました。
その視線の先には案内され、こちらにくるヴァンヘルの皆様がいらっしゃったからでしょう。
「こんなに盛大な夜会とは思わなかったのだが」
「あなたが来ると聞いて見物にこられたんですよ」
「ああ、知ってる。俺を見定めて、国として繋がりを持つ意味があるのかを考える材料を得る為にだろう?」
「よくおわかりだ」
サレンドル様は笑ってこの後、国に帰ったらすぐ他国から妃がどうこうと言われるだろうなと仰って。
「私もディートリヒ殿のように傍らに美しい人を早く伴いたいものだ」
「ふふ、きっとすぐにそういう方とのめぐりあわせがありますわ」
そうだと良いのだがと肩をすくめられ、サレンドル様はそれではと視線を扉の先へと向けられました。
「佳い夜に」
「そうなればいいが」
ディートリヒ様の案内で中へ。その瞬間、皆様の視線が一斉に集います。サレンドル様はその視線をさらりと流すように笑って受け止めているのか、かわされているのか。
この方もまた、傑物なのだとわたくしは傍を歩みながら思っていました。
サレンドル様が中に入られ、まず国王様に挨拶を。国王様は歓迎のお言葉を向けられ、乾杯の声をかけられました。
それからダンスホールに音楽が流れ始め、最初のダンスはわたくしたちのお仕事なのです。
わたくしはディートリヒ様に手を引かれ、そちらへと向かいました。
そのお顔を見た時、わたくしはどうしましたのと思わず問うてしまったのです。
「どう、とは……」
「いえ、お疲れのようですから……」
「色々な話を詰めていただけだ。そんなに、わかるか」
「ええ」
とりあえず、お座りになってとわたくしは促しました。ツェリにはお茶をと命じて。
傍によると、ディートリヒ様はわたくしの手をとりその甲に口付をひとつ。
何をしているのかよくわからなくて、本当に参っているのだなとわたくしは思ったのです。
「夜会、大丈夫ですの?」
「ああ」
「まだお時間がありますから、一眠りされては?」
「寝たら起きれないような気がする」
「起して差し上げますけど」
「寝起きの顔では夜会に出れない」
それもそうですわね。
ではせめてこちらで体を休めてくださいと言うと、傍にいてくれないのかと、そんなことを突然仰って。
「傍にいて欲しいのです?」
「請えばいてくれるのか?」
「まぁ、はい」
「では傍にいてくれ」
隣にと座らされディートリヒ様はわたくしの肩口に頭を置かれました。
そのまま瞳を閉じ、色々と面倒な話ばかりだと零されました。
「国境を明確にしたいだとか、この場所の整備はだとか。できる王ゆえに求める者も大きい。どちらも負担はするが、疲弊しているヴァンヘルより富めるこちらのほうがやるべきだろうと言われると、確かにそうでもある」
しかしすべてをこちらで負担するわけには、とディートリヒ様は仰ります。
ええ、それはわたくしもそうかと思いますわ。
しかし、ヴァンヘルの人々の暮らしがどの程度なのか、わたくし達にはわかりません。
今まで国としてのお付き合いが薄かったのですから、それは当然でしょう。
いくら王族の方達が立派な衣服を纏っていてもそれは基準になりませんわ。それは最低限の礼儀なのですから。
「ではヴァンヘルに足をお運びになって、どの程度の暮らしを皆様がされているのかご覧になっては?」
「は?」
「だって、わからないのでしょう? 国の端で食べるに困る者達を狩りだしてまで国境の整備を、とは思わないでしょう? ある程度、安定した生活をしている、もしくは国境の整備によってそうなれる方達がいらっしゃらないと」
国の中心にいるであろう貴族たちは、きっとそういった肉体労働にはでてきませんからお金を。
ディートリヒ様が行かれるとしって、開かれる夜会やらの経費をそちらに回させればよろしいのではなくて? とわたくしは提案しました。
ディートリヒ様はそれを聞いて、なるほどと零されました。
「そうだな。確かにヴァンヘルの国力がいかほどか、量れる基準がない……」
その提案もしてみるかとディートリヒ様は笑ってわたくしの肩から頭を外されました。
「もうよろしいの?」
「お前の支度の邪魔もできんだろう?」
行けと言われ、わたくしは着替えに戻ります。身に着けるのは、与えていただいたあのドレス。
それから宝石。
わたくしが準備を終えるとディートリヒ様も準備をすでに終えられ、先程よりすっきりとした表情をなさっていました。
「そのお顔なら皆様の前に出ても大丈夫ですね」
「休みなく動いているのは皆も同じだ」
「そうですわね」
では、とわたくしをエスコートして。わたくし達は夜会にいらっしゃる方達をお迎えします。
入り口でお迎えして、次々といらっしゃる方達にご挨拶を。
来場順は、この国の貴族は早めに、それから他国の方々、最後にヴァンヘルの皆様となっています。
国内の貴族はすでに中に入り、これからいらっしゃる方々をお迎えできる状況。
国王様たちは一番奥のお席に。そこにセレンファーレさんもいらっしゃいます。レオノラ嬢もその傍に。先程、ガゼル様にも挨拶を頂きましたがさすがに他国の方々がいらっしゃるところでは何もされないでしょう。
一応、犬達を彼女たちの傍に配してはいますが。
そして他国の皆様も少しずつ赴かれ、挨拶をして中へ入っていかれます。
その入場待ちの列の中にお父様の姿を見つけ、そしてその隣に立つ男性の姿にわたくしは瞬いたのです。
ちょっとミヒャエル、なんでそこにいますの?
それにはディートリヒ様も気づかれたようでわたくしに視線をひとつ。
それにゆるく首を振って、わたくしは何も知りませんのよと示しました。
お父様とミヒャエルがわたくしたちの前に来て、挨拶を。
「お父様、よくいらっしゃいました」
「今宵はお招きありがとうございます。こちらは招待状はないのですが……私の親類の男爵となります。世間勉強がてら、連れてきたのですが中に連れて入ってよろしいでしょうか?」
親類。
なるほど、あくまで王子であることは隠していくのですね。
わたくしはよろしいのではなくて、と笑みを。ディートリヒ様もかまわないと頷きました。
「ありがとうございます。ミヒャエル・トランジットと申します」
トランジット。それは確かに、親類にある名前でした。
何故ここにいるのか、今は尋ねるべきではないでしょう。あとで話す時間を作る必要がありそうです。
お父様からの手紙には一緒に来る、なんてありませんでしたからミヒャエルがわがままを言ってついてきたのでしょうけど。
お父様とミヒャエル達を見送って、次の方のお相手を。
そして他国からの使者の方たちも中へ入り、最後にヴァンヘルの方々を。
城に滞在されている皆様を使いの者に呼びに行かせました。
「皆様をお迎えしたら最後ですわね」
「ああ、それにしても……何故いるのか」
「わたくしは何も聞いてませんわ」
「俺もだ」
勝手にこんなことをされては困るなとディートリヒ様は苦笑して、すっと瞳を細められました。
その視線の先には案内され、こちらにくるヴァンヘルの皆様がいらっしゃったからでしょう。
「こんなに盛大な夜会とは思わなかったのだが」
「あなたが来ると聞いて見物にこられたんですよ」
「ああ、知ってる。俺を見定めて、国として繋がりを持つ意味があるのかを考える材料を得る為にだろう?」
「よくおわかりだ」
サレンドル様は笑ってこの後、国に帰ったらすぐ他国から妃がどうこうと言われるだろうなと仰って。
「私もディートリヒ殿のように傍らに美しい人を早く伴いたいものだ」
「ふふ、きっとすぐにそういう方とのめぐりあわせがありますわ」
そうだと良いのだがと肩をすくめられ、サレンドル様はそれではと視線を扉の先へと向けられました。
「佳い夜に」
「そうなればいいが」
ディートリヒ様の案内で中へ。その瞬間、皆様の視線が一斉に集います。サレンドル様はその視線をさらりと流すように笑って受け止めているのか、かわされているのか。
この方もまた、傑物なのだとわたくしは傍を歩みながら思っていました。
サレンドル様が中に入られ、まず国王様に挨拶を。国王様は歓迎のお言葉を向けられ、乾杯の声をかけられました。
それからダンスホールに音楽が流れ始め、最初のダンスはわたくしたちのお仕事なのです。
わたくしはディートリヒ様に手を引かれ、そちらへと向かいました。
0
お気に入りに追加
1,564
あなたにおすすめの小説
運命の歯車が壊れるとき
和泉鷹央
恋愛
戦争に行くから、君とは結婚できない。
恋人にそう告げられた時、子爵令嬢ジゼルは運命の歯車が傾いで壊れていく音を、耳にした。
他の投稿サイトでも掲載しております。
一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!
当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。
しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。
彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。
このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。
しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。
好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。
※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*)
※他のサイトにも重複投稿しています。
最愛の側妃だけを愛する旦那様、あなたの愛は要りません
abang
恋愛
私の旦那様は七人の側妃を持つ、巷でも噂の好色王。
後宮はいつでも女の戦いが絶えない。
安心して眠ることもできない後宮に、他の妃の所にばかり通う皇帝である夫。
「どうして、この人を愛していたのかしら?」
ずっと静観していた皇后の心は冷めてしまいう。
それなのに皇帝は急に皇后に興味を向けて……!?
「あの人に興味はありません。勝手になさい!」
【完結】いてもいなくてもいい妻のようですので 妻の座を返上いたします!
ユユ
恋愛
夫とは卒業と同時に婚姻、
1年以内に妊娠そして出産。
跡継ぎを産んで女主人以上の
役割を果たしていたし、
円満だと思っていた。
夫の本音を聞くまでは。
そして息子が他人に思えた。
いてもいなくてもいい存在?萎んだ花?
分かりました。どうぞ若い妻をお迎えください。
* 作り話です
* 完結保証付き
* 暇つぶしにどうぞ
【完結】烏公爵の後妻〜旦那様は亡き前妻を想い、一生喪に服すらしい〜
七瀬菜々
恋愛
------ウィンターソン公爵の元に嫁ぎなさい。
ある日突然、兄がそう言った。
魔力がなく魔術師にもなれなければ、女というだけで父と同じ医者にもなれないシャロンは『自分にできることは家のためになる結婚をすること』と、日々婚活を頑張っていた。
しかし、表情を作ることが苦手な彼女の婚活はそううまくいくはずも無く…。
そろそろ諦めて修道院にで入ろうかと思っていた矢先、突然にウィンターソン公爵との縁談が持ち上がる。
ウィンターソン公爵といえば、亡き妻エミリアのことが忘れられず、5年間ずっと喪に服したままで有名な男だ。
前妻を今でも愛している公爵は、シャロンに対して予め『自分に愛されないことを受け入れろ』という誓約書を書かせるほどに徹底していた。
これはそんなウィンターソン公爵の後妻シャロンの愛されないはずの結婚の物語である。
※基本的にちょっと残念な夫婦のお話です
浮気現場を見たお父様の再婚相手ー仕組んだのは私‥‥
青空一夏
恋愛
お父様の再婚相手として来た女性が私は気に入らなかった。いちいち、母親づらして疎ましかったのだ。それと、大好きなお父様をとられるような気がして嫌だった。そんな気持ちで町を歩いていると、かつてのお父様のガールフレンドの一人に出くわす。私は、ちいさな悪戯を思いついた。その結果は‥‥
婚約破棄されたら魔法が解けました
かな
恋愛
「クロエ・ベネット。お前との婚約は破棄する。」
それは学園の卒業パーティーでの出来事だった。……やっぱり、ダメだったんだ。周りがザワザワと騒ぎ出す中、ただ1人『クロエ・ベネット』だけは冷静に事実を受け止めていた。乙女ゲームの世界に転生してから10年。国外追放を回避する為に、そして后妃となる為に努力し続けて来たその時間が無駄になった瞬間だった。そんな彼女に追い打ちをかけるかのように、王太子であるエドワード・ホワイトは聖女を新たな婚約者とすることを発表した。その後はトントン拍子にことが運び、冤罪をかけられ、ゲームのシナリオ通り国外追放になった。そして、魔物に襲われて死ぬ。……そんな運命を辿るはずだった。
「こんなことなら、転生なんてしたくなかった。元の世界に戻りたい……」
あろうことか、最後の願いとしてそう思った瞬間に、全身が光り出したのだ。そして気がつくと、なんと前世の姿に戻っていた!しかもそれを第二王子であるアルベルトに見られていて……。
「……まさかこんなことになるなんてね。……それでどうする?あの2人復讐でもしちゃう?今の君なら、それができるよ。」
死を覚悟した絶望から転生特典を得た主人公の大逆転溺愛ラブストーリー!
※最初の5話は毎日18時に投稿、それ以降は毎週土曜日の18時に投稿する予定です
完結 そんなにその方が大切ならば身を引きます、さようなら。
音爽(ネソウ)
恋愛
相思相愛で結ばれたクリステルとジョルジュ。
だが、新婚初夜は泥酔してお預けに、その後も余所余所しい態度で一向に寝室に現れない。不審に思った彼女は眠れない日々を送る。
そして、ある晩に玄関ドアが開く音に気が付いた。使われていない離れに彼は通っていたのだ。
そこには匿われていた美少年が棲んでいて……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる