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本編
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一週間、ディートリヒ様は共に過ごして出ていかれました。
わたくしは抱き捨てられたのかしら、これでもう解放されるかしらと思っていたのですがそうではなく。
あの屋敷から出してもらえないのか不思議でした。確か、その後で犬達がわたくしを見つけてやってきたのでしたっけ。
「あの頃、俺の元には縁談がいくつも来ていたがどの女と会っても、俺の横が務まると思えなかった」
自分に好意を持っているのはわかる。色仕掛けをしてきたりとうっとおしいと思った。
この中の誰かをとれば争いも起るだろうと、誰を娶っても問題が起きる絵図しか描けなかったそうです。
そんな時に犬達が来たと言う連絡がきて、わたくしの所にディートリヒ様は来られたのです。
そしてわたくしは、犬達と一緒にいたいのでそうします。許してくださるならひとつ、言うことを聞きましょうと。それが、釣り合う事ならばですが。
「お前があいつらと一緒にいたいと言うのを、何の取引もなくても問題なかった。勝手に出て行っても追うまいと思っていたからな」
「それは、気がすんでいたということです?」
「そうだな。しかし、な」
お前が傍にあの三人を置いて悠然と微笑み。あの三人が俺に対して、敵意をあらわにする。
ぱっと見て何もそう、睨んだりしていない、そしてそこに悪意も何も乗せていないだろうに底冷えするような視線。一瞥だけで黙らされたような、そんな感覚。
それを受けて、これだと思ったのだと仰いました。
「あの時に、お前が俺の傍らに立つなら、きっとうまく立ち回る。それに国内のしがらみも含むところがないと思った。だからそれならと、お前がいう事を聞くと言った時に頷いた」
「良いと言うまでここにいろと、仰いましたね」
「ああ。こういう事は律儀に守るだろうと。それから本や識者を送って、色々と試した」
俺は時折足を運んだくらいだが、そちらへ行った者から話は聞いていた、と。
その話を聞くたびに、これならと思ったのだと。
「それから、半年ほどの間でセレンも落ち着いた。他国で養生させて、俺はお前に取引を持ちかけ、お前は頷いた」
「ふふ。あの時は何を仰っているのかと思いましたのよ。わたくしに妻になれ、なんて」
「なかなか意固地で口説くのに時間がかかったな」
「当たり前でしょう? わたくしは半分は平民なのですよ。それなのに大国の王太子妃に、なんて」
取引の一度目は、わたくしは拒否をしました。絶対に、ありえないと。
ディートリヒ様はその時は引いてくださいました。
しかし二度目には、わたくしのお父様を連れてきたのです。
お父様はわたくしに、悪い話ではないが過分な話でもあると仰いました。
ディートリヒ様は、お父様に先に根回しをしたのです。
お父様からすれば、本気なのかという所だったでしょうけども。
それからお父様とお話をして、ディートリヒ様はわたくしが平民の血を持っている事も了承していることを知りました。
なんて物好きな、とも思ったのです。王族ならば、その血は尊く保つべきなのに、と。
「お父様を連れて来るなんて、というよりお父様が足を運んだことに驚きましたのよ」
「公爵には遠方まで足を運ばせたが、その分の礼はしてある。その俺が用意した説得もあまりきかなかったがな」
「そんなこともありませんのよ。お父様が、王太子が望まれているならそれを叶えるべきだと仰いましたから」
その言葉を頂いて、わたくしも考えたのです。
大国のために尽くすことができれば、退屈することはないのではという可能性。
しかし、自分の血を残すのは嫌だと思いましたし。
「そうなのか? そうはまったく見えなかったがな……俺は何度言っても無駄かとも思ったが、お前はこの次で頷いた」
「ええ、退屈させないと仰ってくださいましたから。それはわたくしにとって大事なことですのよ」
「俺の傍は退屈しないと、そう思ったのか?」
「……ええ、そうね。そうでないと、頷きませんわ」
「俺は、俺が飽きれば、お前の力が足りなければ死んだことにして追い出せばいいかと考えていた。お前も、それで頷くと思ったしな」
けれど、もう国として、お前がいた方がいいと思うようになったとディートリヒ様は仰いました。
それはわたくしを逃がす気がないということなのでしょう。
「アーデルハイト、お前を傍らに置いておきたい。いや、置いておくと決めた。それなら愛してみるよう努める方が良いだろう?」
「わたくしは、何もお返しできませんよ」
「それでいい。俺の気持ちの問題だな。お前が俺のことを嫌いでないならそれでいい」
俺はお前を愛しんで、愛でて。一人で楽しい気持ちになるだけだ、と。
お気に入りのおもちゃを愛でるような、そんな物言い。
わたくしはおもちゃではないので、それは少しカチンときたのです。
しかし、今まで見たことも無いような柔らかではあるものの、楽しげで、嬉しげで。
そう、ディートリヒ様が本来、素直に作られる笑みを向けられて悪い気はしませんでした。
「お好きになされば、良いです」
「ああ。最初からそうするつもりだ。俺はお前を、愛してみるよ」
「……そう」
愛している、ではないのです。
愛してみる、と。これからそうして見せる、というような。
そうなるには、心惹かれなければならないでしょう。その点は問題ないから、ディートリヒ様は仰っているのです。
「お前もいつか気が向いたら、俺を愛してみるといい」
「それは……難しい、お話ですね」
「そうだな。それはあの、お前が犬達に向ける愛と同じではいけないからな」
「愛は、愛ですのよ」
違いますか? と尋ねるとそれはそうだが、欲しい愛ではないと。
求めるのはそれではないと返されました。
「そうだ、ずっと思っていたんだが、アーデと」
「嫌です」
「……最後まで言わせてもくれないか」
「その呼び方は犬達だけ、というのがわたくしが彼らに返せるひとつですから。あなたは絶対にそれでお呼びにならないで」
そうか、駄目かと苦笑して。ディートリヒ様はそれならいいと紡ぎました。
一度、戯れにミヒャエルが呼んだ時には大変なことになったのですから。
犬達がわたくしに向ける愛は、恋情であり得るけれど、それではなく。
しかし、絶対ではあるのだと思えます。わたくしも彼らを信じてますから、わたくしなりに親愛を返しているのです。
けれど、ディートリヒ様が求めるのはそれとは違って。
ただ、与えたいと仰っていて。返さなくて良いとも仰います。
見返りを求めない愛、なんてそんな。
そんな、御伽噺の中にしかないと、わたくしは思っていたのです。
「それなら、俺に様をつけるのはやめないか?」
「呼び捨てろと?」
「無理か?」
無理かどうかと言えば――無理だとわたくしは思います。
ディートリヒ様、とずっと呼んでますし。今更ディートリヒと呼び捨てる?
無理、できないとわたくしの内でそういった気持ちが燻るのです。
「無理だと思いますわ」
「残念だな。では俺も愛称のようなものを考えてみるか」
「……楽しそうですね」
「ああ、楽しいな。愉快だと思う。お前には、いつか本当に、本当の俺を見せて良いかとも、少し思っている」
「それで、まだ何かお隠しですの? 性格の悪いこと」
そう言うと、ディートリヒ様は悪いな、と。
別に謝る必要などないのではと思うわたくし。その気持ちを察してか、ディートリヒ様は苦笑されました。
「俺はお前に秘密にしていることがある。これを知っているのは俺以外には三人だけだ。俺が告げるのと、お前が気付くのとどちらが早いだろうか」
「それは、とても大事な事ですの?」
「そう、だな。ある意味、命取りだな。気にしない者もいれば気にするものもいる。お前は……お前の反応はわかるが言うのはやめておこうか」
なぞかけのように、仰る。
わたくしは、この方は本当になんなの、と思うのです。
関係を変える、変えたいと仰ってからおかしい。
わたくしに踏み込んで来いと示しているようでもあるのです。そのくせ、わたくしにどう接するのか図っているような、そんな様子も見受けられて。
「そんなこと、わたくしに仰ってよろしいの? それを知ったわたくしが、それを使ってあなたを追い落とすかもしれませんのに」
「いや、お前はしないよ。そうする度胸が、まずないだろうな」
まるでわたくしのことをわかっている、というような物言いで。
わたくしはふいっとそっぽを向きました。
「この話は終わりにしよう。そろそろ街だ」
ちらりと馬車の窓から外を見れば、確かに街が。
ずっと揺られ続けて疲れていますし、小休止となるのでしょう。
「……あの街は畜産が盛んだ」
「ええ、乳牛でしたわね」
「美味い氷菓がある。一緒に食べるか?」
そのお誘いに、わたくしは微笑みを返します。
するとディートリヒ様はぷっと息吐いて笑い零しました。
なんですの、と睨むとその笑い方が、と仰るのです。
馬車の中で、初めて出会った時とまったく、変わらないと。
「俺は知っているぞ。お前がその、余所行きの笑みを浮かべるときは楽しい時、嬉しい時、悪巧みをしている時、それから……心躍らせている時もだ」
「え?」
「お前の犬達にも聞いてみろ。こんな笑顔の時のわたくしは、何を考えていると思う? と」
きっと同じ言葉が返るぞ、と仰るのです。
その言葉にこの方は本当にわたくしを見ているのだと思ったのです。
見られてばかりなんて、なんて悔しい。
わたくしは抱き捨てられたのかしら、これでもう解放されるかしらと思っていたのですがそうではなく。
あの屋敷から出してもらえないのか不思議でした。確か、その後で犬達がわたくしを見つけてやってきたのでしたっけ。
「あの頃、俺の元には縁談がいくつも来ていたがどの女と会っても、俺の横が務まると思えなかった」
自分に好意を持っているのはわかる。色仕掛けをしてきたりとうっとおしいと思った。
この中の誰かをとれば争いも起るだろうと、誰を娶っても問題が起きる絵図しか描けなかったそうです。
そんな時に犬達が来たと言う連絡がきて、わたくしの所にディートリヒ様は来られたのです。
そしてわたくしは、犬達と一緒にいたいのでそうします。許してくださるならひとつ、言うことを聞きましょうと。それが、釣り合う事ならばですが。
「お前があいつらと一緒にいたいと言うのを、何の取引もなくても問題なかった。勝手に出て行っても追うまいと思っていたからな」
「それは、気がすんでいたということです?」
「そうだな。しかし、な」
お前が傍にあの三人を置いて悠然と微笑み。あの三人が俺に対して、敵意をあらわにする。
ぱっと見て何もそう、睨んだりしていない、そしてそこに悪意も何も乗せていないだろうに底冷えするような視線。一瞥だけで黙らされたような、そんな感覚。
それを受けて、これだと思ったのだと仰いました。
「あの時に、お前が俺の傍らに立つなら、きっとうまく立ち回る。それに国内のしがらみも含むところがないと思った。だからそれならと、お前がいう事を聞くと言った時に頷いた」
「良いと言うまでここにいろと、仰いましたね」
「ああ。こういう事は律儀に守るだろうと。それから本や識者を送って、色々と試した」
俺は時折足を運んだくらいだが、そちらへ行った者から話は聞いていた、と。
その話を聞くたびに、これならと思ったのだと。
「それから、半年ほどの間でセレンも落ち着いた。他国で養生させて、俺はお前に取引を持ちかけ、お前は頷いた」
「ふふ。あの時は何を仰っているのかと思いましたのよ。わたくしに妻になれ、なんて」
「なかなか意固地で口説くのに時間がかかったな」
「当たり前でしょう? わたくしは半分は平民なのですよ。それなのに大国の王太子妃に、なんて」
取引の一度目は、わたくしは拒否をしました。絶対に、ありえないと。
ディートリヒ様はその時は引いてくださいました。
しかし二度目には、わたくしのお父様を連れてきたのです。
お父様はわたくしに、悪い話ではないが過分な話でもあると仰いました。
ディートリヒ様は、お父様に先に根回しをしたのです。
お父様からすれば、本気なのかという所だったでしょうけども。
それからお父様とお話をして、ディートリヒ様はわたくしが平民の血を持っている事も了承していることを知りました。
なんて物好きな、とも思ったのです。王族ならば、その血は尊く保つべきなのに、と。
「お父様を連れて来るなんて、というよりお父様が足を運んだことに驚きましたのよ」
「公爵には遠方まで足を運ばせたが、その分の礼はしてある。その俺が用意した説得もあまりきかなかったがな」
「そんなこともありませんのよ。お父様が、王太子が望まれているならそれを叶えるべきだと仰いましたから」
その言葉を頂いて、わたくしも考えたのです。
大国のために尽くすことができれば、退屈することはないのではという可能性。
しかし、自分の血を残すのは嫌だと思いましたし。
「そうなのか? そうはまったく見えなかったがな……俺は何度言っても無駄かとも思ったが、お前はこの次で頷いた」
「ええ、退屈させないと仰ってくださいましたから。それはわたくしにとって大事なことですのよ」
「俺の傍は退屈しないと、そう思ったのか?」
「……ええ、そうね。そうでないと、頷きませんわ」
「俺は、俺が飽きれば、お前の力が足りなければ死んだことにして追い出せばいいかと考えていた。お前も、それで頷くと思ったしな」
けれど、もう国として、お前がいた方がいいと思うようになったとディートリヒ様は仰いました。
それはわたくしを逃がす気がないということなのでしょう。
「アーデルハイト、お前を傍らに置いておきたい。いや、置いておくと決めた。それなら愛してみるよう努める方が良いだろう?」
「わたくしは、何もお返しできませんよ」
「それでいい。俺の気持ちの問題だな。お前が俺のことを嫌いでないならそれでいい」
俺はお前を愛しんで、愛でて。一人で楽しい気持ちになるだけだ、と。
お気に入りのおもちゃを愛でるような、そんな物言い。
わたくしはおもちゃではないので、それは少しカチンときたのです。
しかし、今まで見たことも無いような柔らかではあるものの、楽しげで、嬉しげで。
そう、ディートリヒ様が本来、素直に作られる笑みを向けられて悪い気はしませんでした。
「お好きになされば、良いです」
「ああ。最初からそうするつもりだ。俺はお前を、愛してみるよ」
「……そう」
愛している、ではないのです。
愛してみる、と。これからそうして見せる、というような。
そうなるには、心惹かれなければならないでしょう。その点は問題ないから、ディートリヒ様は仰っているのです。
「お前もいつか気が向いたら、俺を愛してみるといい」
「それは……難しい、お話ですね」
「そうだな。それはあの、お前が犬達に向ける愛と同じではいけないからな」
「愛は、愛ですのよ」
違いますか? と尋ねるとそれはそうだが、欲しい愛ではないと。
求めるのはそれではないと返されました。
「そうだ、ずっと思っていたんだが、アーデと」
「嫌です」
「……最後まで言わせてもくれないか」
「その呼び方は犬達だけ、というのがわたくしが彼らに返せるひとつですから。あなたは絶対にそれでお呼びにならないで」
そうか、駄目かと苦笑して。ディートリヒ様はそれならいいと紡ぎました。
一度、戯れにミヒャエルが呼んだ時には大変なことになったのですから。
犬達がわたくしに向ける愛は、恋情であり得るけれど、それではなく。
しかし、絶対ではあるのだと思えます。わたくしも彼らを信じてますから、わたくしなりに親愛を返しているのです。
けれど、ディートリヒ様が求めるのはそれとは違って。
ただ、与えたいと仰っていて。返さなくて良いとも仰います。
見返りを求めない愛、なんてそんな。
そんな、御伽噺の中にしかないと、わたくしは思っていたのです。
「それなら、俺に様をつけるのはやめないか?」
「呼び捨てろと?」
「無理か?」
無理かどうかと言えば――無理だとわたくしは思います。
ディートリヒ様、とずっと呼んでますし。今更ディートリヒと呼び捨てる?
無理、できないとわたくしの内でそういった気持ちが燻るのです。
「無理だと思いますわ」
「残念だな。では俺も愛称のようなものを考えてみるか」
「……楽しそうですね」
「ああ、楽しいな。愉快だと思う。お前には、いつか本当に、本当の俺を見せて良いかとも、少し思っている」
「それで、まだ何かお隠しですの? 性格の悪いこと」
そう言うと、ディートリヒ様は悪いな、と。
別に謝る必要などないのではと思うわたくし。その気持ちを察してか、ディートリヒ様は苦笑されました。
「俺はお前に秘密にしていることがある。これを知っているのは俺以外には三人だけだ。俺が告げるのと、お前が気付くのとどちらが早いだろうか」
「それは、とても大事な事ですの?」
「そう、だな。ある意味、命取りだな。気にしない者もいれば気にするものもいる。お前は……お前の反応はわかるが言うのはやめておこうか」
なぞかけのように、仰る。
わたくしは、この方は本当になんなの、と思うのです。
関係を変える、変えたいと仰ってからおかしい。
わたくしに踏み込んで来いと示しているようでもあるのです。そのくせ、わたくしにどう接するのか図っているような、そんな様子も見受けられて。
「そんなこと、わたくしに仰ってよろしいの? それを知ったわたくしが、それを使ってあなたを追い落とすかもしれませんのに」
「いや、お前はしないよ。そうする度胸が、まずないだろうな」
まるでわたくしのことをわかっている、というような物言いで。
わたくしはふいっとそっぽを向きました。
「この話は終わりにしよう。そろそろ街だ」
ちらりと馬車の窓から外を見れば、確かに街が。
ずっと揺られ続けて疲れていますし、小休止となるのでしょう。
「……あの街は畜産が盛んだ」
「ええ、乳牛でしたわね」
「美味い氷菓がある。一緒に食べるか?」
そのお誘いに、わたくしは微笑みを返します。
するとディートリヒ様はぷっと息吐いて笑い零しました。
なんですの、と睨むとその笑い方が、と仰るのです。
馬車の中で、初めて出会った時とまったく、変わらないと。
「俺は知っているぞ。お前がその、余所行きの笑みを浮かべるときは楽しい時、嬉しい時、悪巧みをしている時、それから……心躍らせている時もだ」
「え?」
「お前の犬達にも聞いてみろ。こんな笑顔の時のわたくしは、何を考えていると思う? と」
きっと同じ言葉が返るぞ、と仰るのです。
その言葉にこの方は本当にわたくしを見ているのだと思ったのです。
見られてばかりなんて、なんて悔しい。
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