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第五章
誕生日
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海辺の街での楽しい日々はすぐに過ぎ去って。
今日はテオの誕生日、だったりします。
それで、私はこの日、最初にテオに会いたいと思ってたから、日付が変わる前から一緒にいて、変わった瞬間に。
「テオ、お誕生日おめでとー!」
「ありがと。しばらく同い年だね」
「うん」
そう、同い年。
同い年なのですよ、テオと!
「でも誕生日終わったら、レティは帰っちゃうんだよね」
「あー、うん。わがまま言って残った感じだし」
そう。お父様にごめんね! ってお手紙して、返事がない。
というか、帰って来いって返事がきてもすぐ帰れるものじゃないし。
帰って怒られるの覚悟で、ここにいるし!
「……レティ、あのさ」
「なにー?」
「俺だからいいけど、本当は良い所の令嬢が男の部屋に夜、転がり込むのはどうかと思うよ」
「あー。大丈夫、テオ相手にしか、しないから」
「ならいいけど」
というより、だ。
こうして、ずっと一緒にいて自然な姿でいられるのはテオだけだし。
……あれ、私。こういう事、もしかして何も言ってないかな?
そう思って、私は居住まいを正す。するとテオはどうしたのと不思議そうな顔だ。
「あのね、私が! こうして……一緒にいたいって思うのはテオだけだし。テオだから一緒にいるわけで、こうして部屋にきたりとかも、テオがいるからだから、その。テオ以外はないの!」
「…………うん。それで?」
「それで!? そ、それで、ええと……いじわる!」
「えー?」
「だ、だって! だってテオ、今私が困ってるのみて、喜んでるでしょ!」
「うん」
「やだー! なんかお兄様に似てきてるー!」
そんなことないとテオは言うけれど、笑ってるし。笑ってるし!!
「ま、レティを困らせていいのは俺だけだよ。トリスタン様は別枠だけど」
「ちょっとー……」
「困ってる顔も怒ってる顔も、全部かわいいって思っちゃうし、俺はレティのいろんなところが見たいし、好き」
「うう」
「独り占めしたいけど、それができないとこも好きだよ」
さらっと紡いでくる。
それが私の心をざわざわさせて、幸せにさせることもわかってて、だと思う。
ああ、もう本当に勝てないなぁと思う。勝ち負け問題じゃないけど、テオだからいいかなぁみたいな。
これが、テオじゃない人からの言葉だったら、何言ってるのやだーだと思うんだけど。
すんなりと、すべて受け入れられるのはテオだからだ。
「俺は、このあとレティに誕生日おめでとうって言えないんだよね」
「そうねー」
「だから、早いけどさ、プレゼントあげるよ」
ちょっと待ってて、とテオは私から離れて。
近くの机の上においてたものを持ってきた。
細長い、箱と、四角い箱。
あっ、この細長い形はあれだ……首飾りが入ってる系。
「……もしかして、あのパールの」
「そう」
「え、早い! 私まだきてないのに!」
「いや、来てるよ。これがそう」
「うん!?」
え、なに。わけがわからないんですが。
テオは私に四角い箱を渡す。
「レティ、何か俺に作ってくれたんだろ?」
「えっ、な、なんで知って……」
「いや、あっちでごそごそしてたから多分そうだろうなぁって。で、昨日こっちを持ってきてくれた時に、お嬢様にお渡しくださいって、一緒に渡されて」
ちょ、ちょっとなにそれー! えー!!
何が入ってるのかは、勝手に見てないとテオは言って、俺からはこれをと長細い箱を私へ。
とりあえずこの四角い箱を横において、私はそれを受け取った。
「ありがと。開けていい?」
「うん」
こういうの、もらって開ける瞬間はどきどきするし嬉しい。
ぱかっと箱あけると、そこには小粒のパールがつらなった首飾り。
装飾はなくて、本当に連なってるだけ。だけど色がわずかに変わってグラデーションみたいでとっても綺麗だった。
「わー! って、長い」
「そう、長い」
「これ首にかけると……お腹まであるんだけど……」
「うん、だからさ、貸して」
留め金を外し、テオが私につけてくれる。テオはくるっと、それを二重に私の首に巻いてつけてくれた。
ああ、なるほど! 二重!
「わ、これならぴったりー! テオ、ありがと!」
「喜んでくれてよかった」
ちょっとほっとした顔のテオ。
私はわぁーと声零しながら首にある物に触れる。
嬉しい。本当にうれしい。純粋に。でもそれを言葉にするのは難しい、というより恥ずかしくて。
「大事にするー、えへへ。ジゼルちゃんに自慢しちゃおー」
にへらーって締まりのない顔してるのは自分でもわかる。でもそれを今すぐ、きりっとしろと言われても無理だし、ここにいるのはテオだけだから気にしない。
こんな風に、何かもらうのは、そう言えば指輪以来だなーってふと思う。
で、目に入ったのは四角い箱。何が入ってるのか、テオは知らないけどそれは自分へのものだと知ってる。
渡さねばなるまいよ……と、それをがしっと掴んで。
「……あげる!」
「なんという雑な渡し方」
「だ、だって! 改まってとか無理よ!」
「知ってる。レティ、ありがとう。開けるよ?」
頷きつつ、どんなのになってるのか気になるところで! 私もちらっと視線向ける。
テオは箱開いて、小さく笑み零すとそれを私に見せてくれた。
「カフス作ってくれたんだ」
「うん、そう。わ、ちょっとお揃いチック!」
テオのカフスボタンは、シルバーの台座に私のと似た色味のグラデで三連、小さめのパールが並んでる。
どーんと一つ大きいのがくるかなぁと思ってたんだけど、そうじゃなかった。
「俺も大事に使う」
柔らかな笑み向けられ、私もつられて笑み零す。
ふふ、私だけに向けられてる事実が幸せで仕方ない。
「あ、そのカフスに何か魔術仕込む? あの、魔石無くなっちゃったし……」
「あの魔石に仕込んだのと同じのは、アウトかな。というか魔石じゃないのにできる?」
「できると思う。だって魔術なんてイメージだものー」
イメージねとテオは苦笑する。その苦笑はなんだろう。
馬鹿にされてるわけではないんだけど、なんだかこう。あーあ、って感じのものがある。
「魔石使うのは魔力の蓄積とかに便利だからだと思うのよね。だから他のものでもやろうと思えばできると思うの。ただ制約はあると思うけど」
「たとえば?」
「うーん、発動条件は絞って、とか。時限性、とか」
「なるほど……時限性なら行けそうかな。あとは場所……周囲の環境条件は?」
「周囲かー。それだと定義が大きくなっちゃいそう。場所、っていってもそれを知覚? 認識するのが魔術になると難しいんじゃないの」
と、魔術談義が始まってしまった私達!
お誕生日おめでとう、からのそんな話は楽しくて。
私達は徹夜をしてしまったのでした。
お兄さまとガブさんに、なんでそんな楽しい話に俺達を混ぜない! って朝怒られた。
今日はテオの誕生日、だったりします。
それで、私はこの日、最初にテオに会いたいと思ってたから、日付が変わる前から一緒にいて、変わった瞬間に。
「テオ、お誕生日おめでとー!」
「ありがと。しばらく同い年だね」
「うん」
そう、同い年。
同い年なのですよ、テオと!
「でも誕生日終わったら、レティは帰っちゃうんだよね」
「あー、うん。わがまま言って残った感じだし」
そう。お父様にごめんね! ってお手紙して、返事がない。
というか、帰って来いって返事がきてもすぐ帰れるものじゃないし。
帰って怒られるの覚悟で、ここにいるし!
「……レティ、あのさ」
「なにー?」
「俺だからいいけど、本当は良い所の令嬢が男の部屋に夜、転がり込むのはどうかと思うよ」
「あー。大丈夫、テオ相手にしか、しないから」
「ならいいけど」
というより、だ。
こうして、ずっと一緒にいて自然な姿でいられるのはテオだけだし。
……あれ、私。こういう事、もしかして何も言ってないかな?
そう思って、私は居住まいを正す。するとテオはどうしたのと不思議そうな顔だ。
「あのね、私が! こうして……一緒にいたいって思うのはテオだけだし。テオだから一緒にいるわけで、こうして部屋にきたりとかも、テオがいるからだから、その。テオ以外はないの!」
「…………うん。それで?」
「それで!? そ、それで、ええと……いじわる!」
「えー?」
「だ、だって! だってテオ、今私が困ってるのみて、喜んでるでしょ!」
「うん」
「やだー! なんかお兄様に似てきてるー!」
そんなことないとテオは言うけれど、笑ってるし。笑ってるし!!
「ま、レティを困らせていいのは俺だけだよ。トリスタン様は別枠だけど」
「ちょっとー……」
「困ってる顔も怒ってる顔も、全部かわいいって思っちゃうし、俺はレティのいろんなところが見たいし、好き」
「うう」
「独り占めしたいけど、それができないとこも好きだよ」
さらっと紡いでくる。
それが私の心をざわざわさせて、幸せにさせることもわかってて、だと思う。
ああ、もう本当に勝てないなぁと思う。勝ち負け問題じゃないけど、テオだからいいかなぁみたいな。
これが、テオじゃない人からの言葉だったら、何言ってるのやだーだと思うんだけど。
すんなりと、すべて受け入れられるのはテオだからだ。
「俺は、このあとレティに誕生日おめでとうって言えないんだよね」
「そうねー」
「だから、早いけどさ、プレゼントあげるよ」
ちょっと待ってて、とテオは私から離れて。
近くの机の上においてたものを持ってきた。
細長い、箱と、四角い箱。
あっ、この細長い形はあれだ……首飾りが入ってる系。
「……もしかして、あのパールの」
「そう」
「え、早い! 私まだきてないのに!」
「いや、来てるよ。これがそう」
「うん!?」
え、なに。わけがわからないんですが。
テオは私に四角い箱を渡す。
「レティ、何か俺に作ってくれたんだろ?」
「えっ、な、なんで知って……」
「いや、あっちでごそごそしてたから多分そうだろうなぁって。で、昨日こっちを持ってきてくれた時に、お嬢様にお渡しくださいって、一緒に渡されて」
ちょ、ちょっとなにそれー! えー!!
何が入ってるのかは、勝手に見てないとテオは言って、俺からはこれをと長細い箱を私へ。
とりあえずこの四角い箱を横において、私はそれを受け取った。
「ありがと。開けていい?」
「うん」
こういうの、もらって開ける瞬間はどきどきするし嬉しい。
ぱかっと箱あけると、そこには小粒のパールがつらなった首飾り。
装飾はなくて、本当に連なってるだけ。だけど色がわずかに変わってグラデーションみたいでとっても綺麗だった。
「わー! って、長い」
「そう、長い」
「これ首にかけると……お腹まであるんだけど……」
「うん、だからさ、貸して」
留め金を外し、テオが私につけてくれる。テオはくるっと、それを二重に私の首に巻いてつけてくれた。
ああ、なるほど! 二重!
「わ、これならぴったりー! テオ、ありがと!」
「喜んでくれてよかった」
ちょっとほっとした顔のテオ。
私はわぁーと声零しながら首にある物に触れる。
嬉しい。本当にうれしい。純粋に。でもそれを言葉にするのは難しい、というより恥ずかしくて。
「大事にするー、えへへ。ジゼルちゃんに自慢しちゃおー」
にへらーって締まりのない顔してるのは自分でもわかる。でもそれを今すぐ、きりっとしろと言われても無理だし、ここにいるのはテオだけだから気にしない。
こんな風に、何かもらうのは、そう言えば指輪以来だなーってふと思う。
で、目に入ったのは四角い箱。何が入ってるのか、テオは知らないけどそれは自分へのものだと知ってる。
渡さねばなるまいよ……と、それをがしっと掴んで。
「……あげる!」
「なんという雑な渡し方」
「だ、だって! 改まってとか無理よ!」
「知ってる。レティ、ありがとう。開けるよ?」
頷きつつ、どんなのになってるのか気になるところで! 私もちらっと視線向ける。
テオは箱開いて、小さく笑み零すとそれを私に見せてくれた。
「カフス作ってくれたんだ」
「うん、そう。わ、ちょっとお揃いチック!」
テオのカフスボタンは、シルバーの台座に私のと似た色味のグラデで三連、小さめのパールが並んでる。
どーんと一つ大きいのがくるかなぁと思ってたんだけど、そうじゃなかった。
「俺も大事に使う」
柔らかな笑み向けられ、私もつられて笑み零す。
ふふ、私だけに向けられてる事実が幸せで仕方ない。
「あ、そのカフスに何か魔術仕込む? あの、魔石無くなっちゃったし……」
「あの魔石に仕込んだのと同じのは、アウトかな。というか魔石じゃないのにできる?」
「できると思う。だって魔術なんてイメージだものー」
イメージねとテオは苦笑する。その苦笑はなんだろう。
馬鹿にされてるわけではないんだけど、なんだかこう。あーあ、って感じのものがある。
「魔石使うのは魔力の蓄積とかに便利だからだと思うのよね。だから他のものでもやろうと思えばできると思うの。ただ制約はあると思うけど」
「たとえば?」
「うーん、発動条件は絞って、とか。時限性、とか」
「なるほど……時限性なら行けそうかな。あとは場所……周囲の環境条件は?」
「周囲かー。それだと定義が大きくなっちゃいそう。場所、っていってもそれを知覚? 認識するのが魔術になると難しいんじゃないの」
と、魔術談義が始まってしまった私達!
お誕生日おめでとう、からのそんな話は楽しくて。
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