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第五章
贈物の価値
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お土産の方向性も決まったのでちょっと安心。
あとはそのお代分の働きをするだけー。
そうすると自分のもちょっと欲しいなぁと思っちゃう。折角ここまで来たんだし!
商人さんに頼むと、手間賃とかで高くなっちゃうのも知ってるから。
「レティには俺が贈ってあげるよ」
「え? でもテオ、お金持ってないでしょ。こういうの買う分なんて」
「いや、あるけど」
「なんで」
「……内緒」
内緒って何。もー……まぁ、テオが留学してやってること全部、私は知らないし。
「本当に買えるの? 大丈夫なの?」
「ある程度までならね。家一軒分とかはさすがに、いけないことも無いけど……そこまでいかないだろ?」
「うん。いや、待って、家!?」
家とか、え? いけないこともないとか言ってるけど!
本当に何してるんだろう……悪いことはしてないと思うけど、謎が沢山。
「甲斐性のある方は逃がしてはいけませんよ、お嬢様」
ほほほとおねーさんが笑う。な、なんか急に、一気に恥ずかしくなる!
そ、そりゃテオとはごにょにょにょ……って感じだけど。
「で、どれがいい? 俺が選んでいい?」
「……うん、選んで。それで私を驚かせてね」
楽しみにしてると、挑戦するように笑って見せると、テオは苦笑して参ったなと零した。
「うん、じゃあ俺のできるだけでレティが喜びそうなの、作ってもらう」
「うん?」
「オーダーメイドですね、かしこまりました」
「え、作る? そ、そこまでする必要ないのよ?」
「え、あるよ。できてのお楽しみだからレティはほら、トリスタン様たちのとこに行ってて」
「え? えー!」
ほらほら、と私はお兄様たちの方に追いやられる。
え、ちょっと戸惑いが隠せない。ちらちらテオの方見るけど、目が合うたびににこっと笑うばかり。
お兄様のところに行って、さっき思ったお母様へのお土産の話をすると、そうするかということになって。
いろんな粒を用意してもらった。
お金は私がガブさんに以下略。お兄様は転移云々を提供することにしたらしい。
「お前は何が不満なんだ。テオドールが贈ると言うなら受け取ればいいだけだろう」
「そうだけど、な、なんか高そうな……高いもの貰っていいのかなって……」
「それは貰っておくべきだろう」
お兄様はそわそわしてる私を見て、何故そう思うのかが不思議みたい。
いや、貰えるのは嬉しい。でも! た、高いものはまだ学生だし、ほんと、その、いいのかなって!
そういう気持ちを零すとお兄様もガブさんも、それは気にすることじゃないと言う。
「金持ってるなら、使うだけだしな」
「えー。じゃあ、お兄様はデジレ様に何か贈ったりしてるんです?」
「してる」
なんですって。
そんな話、聞いたことがない!
何を贈ったのか聞くと、嫌そうな顔して。何故教えねばならんと。
そんな感じだ。
「まー、好きな子にもの贈るのは男のしたい事だからさ、あんまり深く考えずにさ。ちなみにこいつもオーダーでデジレ殿に作った」
「おい、ガブ」
「えー! どんなのです? どんなのです?」
それは! みてみたい!
デザイン画でもいいからとごねるけれどまだそこまで行ってないそうな。
できたのは絶対見せてもらう…!!
わくわくしてる私に向かってガブさんは笑い零す。
なんですかー、と問うと値段は気にしなくていいんじゃないかなって。
「確かに、そこそこ値はすると思うけど。テオもあれで稼いでるし……金額より気持ちじゃない?」
「気持ち……確かに、その……テオが、私の為にしてくれてるのは嬉しいですけど」
「ならそれでいいんじゃない? 贈る方も気持ちよくもらって欲しいと思うけど」
ちらりとテオを見る。なんだか楽しそうにしているのは、きっと私に贈るものを考えているからだと思う。
「……あ、ちょっと待って。私、テオの誕生日……」
誕生日、プレゼント!!
何か考えなきゃと思ってたんだけど、ここで用意するのも……あ、でも。
でも。
私のに使ったのとお揃いのパールで何かできたらいいかも。
けど、テオが使うもの、というか男の人が使うものっていったら……タイピン? カフス?
それくらいしか思い浮かばない。
唸っていると、カフスだろと横から声がかかる。
ふぇっと思わず、変な声がでちゃう。
「全部、声に出して言ってる」
「!!」
「俺たちにしか聞こえてないから」
そう言って、ガブさんはお店の人を呼んでくれてこそこそっと話を通してくれた。
あれよあれよという間に、なんかもうカフスできまりだろ! とまとまってしまった。
デザインはいくつか、基本の物があるからそれから選んだ。お店の人も、お揃いですねとにこにこしているので、恥ずかしくてたまらない。
本当に、恥ずかしい!
でも、うん。
お、お揃いの物が持てるのは、私は嬉しい。
テオもそうだと、いいなと思う。
お揃いってだけで、贈物に対してうきうき感がとってもあがってきた。
できあがりは一週間後くらいで間に合うし、楽しみ。
あとはそのお代分の働きをするだけー。
そうすると自分のもちょっと欲しいなぁと思っちゃう。折角ここまで来たんだし!
商人さんに頼むと、手間賃とかで高くなっちゃうのも知ってるから。
「レティには俺が贈ってあげるよ」
「え? でもテオ、お金持ってないでしょ。こういうの買う分なんて」
「いや、あるけど」
「なんで」
「……内緒」
内緒って何。もー……まぁ、テオが留学してやってること全部、私は知らないし。
「本当に買えるの? 大丈夫なの?」
「ある程度までならね。家一軒分とかはさすがに、いけないことも無いけど……そこまでいかないだろ?」
「うん。いや、待って、家!?」
家とか、え? いけないこともないとか言ってるけど!
本当に何してるんだろう……悪いことはしてないと思うけど、謎が沢山。
「甲斐性のある方は逃がしてはいけませんよ、お嬢様」
ほほほとおねーさんが笑う。な、なんか急に、一気に恥ずかしくなる!
そ、そりゃテオとはごにょにょにょ……って感じだけど。
「で、どれがいい? 俺が選んでいい?」
「……うん、選んで。それで私を驚かせてね」
楽しみにしてると、挑戦するように笑って見せると、テオは苦笑して参ったなと零した。
「うん、じゃあ俺のできるだけでレティが喜びそうなの、作ってもらう」
「うん?」
「オーダーメイドですね、かしこまりました」
「え、作る? そ、そこまでする必要ないのよ?」
「え、あるよ。できてのお楽しみだからレティはほら、トリスタン様たちのとこに行ってて」
「え? えー!」
ほらほら、と私はお兄様たちの方に追いやられる。
え、ちょっと戸惑いが隠せない。ちらちらテオの方見るけど、目が合うたびににこっと笑うばかり。
お兄様のところに行って、さっき思ったお母様へのお土産の話をすると、そうするかということになって。
いろんな粒を用意してもらった。
お金は私がガブさんに以下略。お兄様は転移云々を提供することにしたらしい。
「お前は何が不満なんだ。テオドールが贈ると言うなら受け取ればいいだけだろう」
「そうだけど、な、なんか高そうな……高いもの貰っていいのかなって……」
「それは貰っておくべきだろう」
お兄様はそわそわしてる私を見て、何故そう思うのかが不思議みたい。
いや、貰えるのは嬉しい。でも! た、高いものはまだ学生だし、ほんと、その、いいのかなって!
そういう気持ちを零すとお兄様もガブさんも、それは気にすることじゃないと言う。
「金持ってるなら、使うだけだしな」
「えー。じゃあ、お兄様はデジレ様に何か贈ったりしてるんです?」
「してる」
なんですって。
そんな話、聞いたことがない!
何を贈ったのか聞くと、嫌そうな顔して。何故教えねばならんと。
そんな感じだ。
「まー、好きな子にもの贈るのは男のしたい事だからさ、あんまり深く考えずにさ。ちなみにこいつもオーダーでデジレ殿に作った」
「おい、ガブ」
「えー! どんなのです? どんなのです?」
それは! みてみたい!
デザイン画でもいいからとごねるけれどまだそこまで行ってないそうな。
できたのは絶対見せてもらう…!!
わくわくしてる私に向かってガブさんは笑い零す。
なんですかー、と問うと値段は気にしなくていいんじゃないかなって。
「確かに、そこそこ値はすると思うけど。テオもあれで稼いでるし……金額より気持ちじゃない?」
「気持ち……確かに、その……テオが、私の為にしてくれてるのは嬉しいですけど」
「ならそれでいいんじゃない? 贈る方も気持ちよくもらって欲しいと思うけど」
ちらりとテオを見る。なんだか楽しそうにしているのは、きっと私に贈るものを考えているからだと思う。
「……あ、ちょっと待って。私、テオの誕生日……」
誕生日、プレゼント!!
何か考えなきゃと思ってたんだけど、ここで用意するのも……あ、でも。
でも。
私のに使ったのとお揃いのパールで何かできたらいいかも。
けど、テオが使うもの、というか男の人が使うものっていったら……タイピン? カフス?
それくらいしか思い浮かばない。
唸っていると、カフスだろと横から声がかかる。
ふぇっと思わず、変な声がでちゃう。
「全部、声に出して言ってる」
「!!」
「俺たちにしか聞こえてないから」
そう言って、ガブさんはお店の人を呼んでくれてこそこそっと話を通してくれた。
あれよあれよという間に、なんかもうカフスできまりだろ! とまとまってしまった。
デザインはいくつか、基本の物があるからそれから選んだ。お店の人も、お揃いですねとにこにこしているので、恥ずかしくてたまらない。
本当に、恥ずかしい!
でも、うん。
お、お揃いの物が持てるのは、私は嬉しい。
テオもそうだと、いいなと思う。
お揃いってだけで、贈物に対してうきうき感がとってもあがってきた。
できあがりは一週間後くらいで間に合うし、楽しみ。
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