転生令嬢はやんちゃする

ナギ

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第五章

うきどきファンテールライフのはじまり

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「王宮に滞在するのと、俺の持家に滞在するの、どっちがいい?」
「持家ですね」
「持家に決まってるだろ」
 だよな、とガブさんは笑う。
 というか持家ってなんですか!!
 それじゃあ、どこがいい? と次は聞いてきて。
 いくつもってるんですか!!!
 その突っ込みに指折り数え始めたので聞いてはいけなかった……と、私は思う。
 どうせなら海の傍がいいですーと言ってみると、いいよーと言ってくれて。
 ガブさんも一緒にいくとのこと。皇子的な仕事はしばらく休み、って。
「テオも一緒に行こ?」
「学校あるんだけど」
「…………えっ、この騒ぎの中でくそまじめに行こうとしてるの? そんな、言ったら囲み取材受けるわよ?」
 何を言ってるんだ、こいつはという顔を。
 皆でテオに向けた。
 あのねー! テオは騒動の中心にいたんだから、学校なんか行ったらわーって囲まれてわーってもみくちゃにされて大変なことになる。
 私達がのほほんとしてられるのは王宮にいるからだし。
 テオは俺一人じゃそんなことにならないだろ、みたいな顔してるけど。
 なるから!!
 ということで皆で説得をして、しぶしぶ頷かせたというか。
 勉強が遅れる? テオ、そんなの取り返すのすぐでしょ……最終的には楽しみってなった。
 で、この話を聞いていたデジレ様がいいなぁ、私も残ろうかなぁと言ったんだけど。
「姉上」
「わかってる、ちゃんと帰る」
 どすの利いた声で殿下がとどめた。お土産買ってきてと言うのだけど、それは私ではなくお兄様に言うべきでは!
 なにはともあれ楽しみ。
 そして海の傍、といえばあれしかない。
 そう、生魚。私はそれにわくわくしている。
「海の傍っていうと海の幸よね。楽しみ! 生魚!」
「えっ」
「えっ?」
「レティ、生魚食べる気なの……?」
「えっ、食べないの?」
 こいつ何言ってるんだ、見たいな顔をされた。
 それは皆の方だ、食べないとか何言ってるの。
 そこから生魚問答が始まった。
 絶対おいしいと言う私に対し、危ないとかなんだとか。
 確かに、時間がたったのはあれだけどとれたてぴちぴちなら行ける!
 この場で一番話が通じそうだと思ったガブさんが一番、ない。みたいな顔してるんだけどなんで!?
「ええええ、絶対に美味しい。皆は食べなくていいですよ、私だけ食べるから」
「腹壊しても面倒見ないからな」
「壊れませんー!」
 と、生魚の話をしているとお客さんの到来。
 海ー! 楽しみー! できゃっきゃしていたけど、そう。
 明日は夜会がある。それが終わるとデジレ様と殿下は帰ってしまうのだけど。
 で、どちらさまがいらっしゃったかというとガブさんの従妹のおねーさまだ。
 私に民族衣装を貸してくれるとのことでいくつか持ってきてくれたらしい。
 この国の衣装すばらしい。
 コルセットが! ない!
 すとんとしたドレスを着て、胸下から腰あたりまでをちょっと硬めの布で巻いていくのだという。その布の結び方は自由だけど、大体リボンみたいにするのだとか。
 なんかちょっと、着物の帯を撒いてるみたい。帯の半分くらいの幅だから、ちょっと違うけど、でも楽しい。
 男性陣は追い出して、やってきたおねーさまとデジレ様と一緒にきゃっきゃした。
「この布って前で結んだりはしていいんですか?」
「大丈夫だけど、あまりしてる子はいないわね」
「なるほどー。じゃあ、こういう……」
 帯の始まりを肩にあてて。くるくるっと適当に巻いて長さを残して。
 ぺろっと出てる分とまず一度結ぶ。いつもは、この一度結んだところで左右の長さは同じくらいで蝶々結びにするのが一般的らしい。それをちょっとアレンジ、とか。
 でも私の今の状態は、一方が短くて一方が長い。
 長い方を巻くみたいに折りたたんで、その真ん中を結び目にあたるように。そして短い方を真ん中からくるっと巻いて、結び目の下通してぺろっとかぶせる。長い方もぺろっと出てる分を、同じように通してかぶせた。
 で、リボンみたいになってるからそれを引っ張り出して形を整えるー!
「あら、とってもかわいい!」
「うん、いいな」
 後でもう一度教えて、とおねーさんは言う。適当にぺぺっとうろ覚えの記憶でやったんだけどなかなか綺麗にできたと思う。
 それを背中側によいしょぉ! と回してしまえばできあがり!
 私のドレスは薄い水色でスカート部分はしゃらしゃら、細かい襞が入ってるような感じ。いいわ、このドレス楽。帯は、濃い群青が素地で模様が描かれている感じ。
 そして最後に、ヴェールのついた飾りを頭にとのこと。あとはドレスと同じ色のロングな手袋で完成ー!
「これなら自分で着れそう」
「ちょっとくらいの手直しなら侍女がしてくれるだろうし」
「ドレス、貸してくださってありがとうございます!」
 いいのよ、とおねーさまはにこにこ笑みを浮かべてらっしゃる。
 デジレ様とも仲良くされてるみたいで、そこに混ぜてもらった私はおねーさんが二人できたような、そんな気持ちになった。
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