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第四章
お手紙セットを目の前に
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ガブさんがいいよ、それくらいの滞在は俺が面倒みる、と男らしく言ってくれたので私たちの滞在は決まりました。
やったね!
その代り、王宮で開く夜会に出て欲しい、と言われて。
それくらいならーとお返事した。ちなみにドレスはガブさんの従妹のおねーさんが、私のお古でよければいくらでも! と言ってくれてるらしい。この国の民族衣装的なのを貸してくれるそうな。ちょっと楽しみ!
しかし、だ。
私達には問題があった。
お父様とお母様にお手紙は置いてきたけど、まぁ、その。
どうなっているかの連絡が、ですね、という。
無事、というのは伝わってるはずなんだけど、こっちにちょっといるから! という連絡はしていない。後どう考えても、私たちが発ってから、ちょっぱやでお手紙とか何か送っても、どうにもなることでもないし。
そういうお手紙がね、殿下宛に……そろそろ、届くのではないかと……予想している。
そんなわけで。
紙と、ペン。つまりはお手紙セットを貰って。
もうちょっとしたら帰るデジレ様と殿下にお届けしてもらおう、と思って。
今から文面を考えているのです。
そう、これは帰ってからのお叱りを和らげるための作戦でもある……お母様とお父様、どっちも流されてくれるとは言ってない。
「……私は元気です! ちょっと我儘言って帰るの遅くなるけどごめんなさい。お土産買ってくるね!! くらいしか書くことがないわ……」
「それを言葉を増やして上手にまとめて書くんだな」
「えー! お兄様は書かないんですか?」
「何故、俺が」
あっ、はい。そうですね!
ひとまず、再度ごめんなさいと謝って。
私が悪いです、お兄様にそそのかれました、ついていっちゃいました、とお兄様のせいにしておく。
でもテオとガブさん心配だったし、私にもできることがあると思ったの、と。
本当にあったし。
勝手に行ったのは申し訳ないと思っているけど、お兄様にそそのかされてと二回目をいれ。
それからそれから! 何をしたのか、とかいつまんでさらーっと書いて。
……これ、お父様からしたら殿下とデジレ様にご迷惑をかけて、この兄妹はー!!! って感じかな。
ごめんねパパン!! パパンって呼んだことないけど。
なんにせよ、とにかく。
ガブさんとテオと合流して、色々あったけど。
今はみんな元気で楽しくしてます! うぃんくばちこん!!!
「……これは怒られるわ……」
読み直して思う。うぃんくばちこん、は消す。これは下書きだから!
あ、いや元気で楽しくもだめかも。
とにかく心配しないでくださいと、心配したと思うけど、私たちは無事です。元気! いぇい!!
で、ちょっとだけ、折角他国まで来たからどんな国なのか見て、お勉強して帰りますともっともらしいことを書いていく。
よし。
よし!
「できたー、あとは清書!」
「よし、チェックしてやろう」
「あっ、ちょ、お兄様やめて!」
下書きを両手でもって掲げた傍から没収された。チェックとか!
絶対そそのかされて云々について言われる!!
「……俺は、そそのかしてはないな。自分が、行きたかったんだよな」
にっこりと。
笑顔を私に向けてくるお兄様。
悪魔の笑みってこういうのを言うんだろうなぁって思いながら、はいと頷いて。
何か所か手直しされたお手紙を私は書いたのでした。
あと、ジゼルちゃんにもとお手紙を。帰ったら会おうね、と。滞在たのしみー! ほんとたのしみー! いっぱい遊んじゃうぞー!
あとでお話きいてねー!! とうきうき気分を綴る。ジゼルちゃんならあらあらまぁまぁで微笑んでくれる。
ジゼルちゃんへのお土産は何にしよう……きらきら綺麗な感じのがあったらそれにしようー。
ジゼルちゃんの手紙には何があったのか事細かに書いて置いた。
というのも、忘れそうだったから、というのもあって。
ガブさんのお腹ぱぁんのあたりはさすがにさらっと書いたけど。というより、あの惨状をきちんと書けるほどの言葉のレベルが私にはない。あってもこまるけど。
良し、と書きおわった私は封筒に。
そしてここで、お父様とジゼルちゃんあてのお手紙を間違って入れたというのを知るのは、帰ってからなんだけども。
ガブさんの国、ファンテールでの観光の日々の始まりです。
ひゃっほう!
やったね!
その代り、王宮で開く夜会に出て欲しい、と言われて。
それくらいならーとお返事した。ちなみにドレスはガブさんの従妹のおねーさんが、私のお古でよければいくらでも! と言ってくれてるらしい。この国の民族衣装的なのを貸してくれるそうな。ちょっと楽しみ!
しかし、だ。
私達には問題があった。
お父様とお母様にお手紙は置いてきたけど、まぁ、その。
どうなっているかの連絡が、ですね、という。
無事、というのは伝わってるはずなんだけど、こっちにちょっといるから! という連絡はしていない。後どう考えても、私たちが発ってから、ちょっぱやでお手紙とか何か送っても、どうにもなることでもないし。
そういうお手紙がね、殿下宛に……そろそろ、届くのではないかと……予想している。
そんなわけで。
紙と、ペン。つまりはお手紙セットを貰って。
もうちょっとしたら帰るデジレ様と殿下にお届けしてもらおう、と思って。
今から文面を考えているのです。
そう、これは帰ってからのお叱りを和らげるための作戦でもある……お母様とお父様、どっちも流されてくれるとは言ってない。
「……私は元気です! ちょっと我儘言って帰るの遅くなるけどごめんなさい。お土産買ってくるね!! くらいしか書くことがないわ……」
「それを言葉を増やして上手にまとめて書くんだな」
「えー! お兄様は書かないんですか?」
「何故、俺が」
あっ、はい。そうですね!
ひとまず、再度ごめんなさいと謝って。
私が悪いです、お兄様にそそのかれました、ついていっちゃいました、とお兄様のせいにしておく。
でもテオとガブさん心配だったし、私にもできることがあると思ったの、と。
本当にあったし。
勝手に行ったのは申し訳ないと思っているけど、お兄様にそそのかされてと二回目をいれ。
それからそれから! 何をしたのか、とかいつまんでさらーっと書いて。
……これ、お父様からしたら殿下とデジレ様にご迷惑をかけて、この兄妹はー!!! って感じかな。
ごめんねパパン!! パパンって呼んだことないけど。
なんにせよ、とにかく。
ガブさんとテオと合流して、色々あったけど。
今はみんな元気で楽しくしてます! うぃんくばちこん!!!
「……これは怒られるわ……」
読み直して思う。うぃんくばちこん、は消す。これは下書きだから!
あ、いや元気で楽しくもだめかも。
とにかく心配しないでくださいと、心配したと思うけど、私たちは無事です。元気! いぇい!!
で、ちょっとだけ、折角他国まで来たからどんな国なのか見て、お勉強して帰りますともっともらしいことを書いていく。
よし。
よし!
「できたー、あとは清書!」
「よし、チェックしてやろう」
「あっ、ちょ、お兄様やめて!」
下書きを両手でもって掲げた傍から没収された。チェックとか!
絶対そそのかされて云々について言われる!!
「……俺は、そそのかしてはないな。自分が、行きたかったんだよな」
にっこりと。
笑顔を私に向けてくるお兄様。
悪魔の笑みってこういうのを言うんだろうなぁって思いながら、はいと頷いて。
何か所か手直しされたお手紙を私は書いたのでした。
あと、ジゼルちゃんにもとお手紙を。帰ったら会おうね、と。滞在たのしみー! ほんとたのしみー! いっぱい遊んじゃうぞー!
あとでお話きいてねー!! とうきうき気分を綴る。ジゼルちゃんならあらあらまぁまぁで微笑んでくれる。
ジゼルちゃんへのお土産は何にしよう……きらきら綺麗な感じのがあったらそれにしようー。
ジゼルちゃんの手紙には何があったのか事細かに書いて置いた。
というのも、忘れそうだったから、というのもあって。
ガブさんのお腹ぱぁんのあたりはさすがにさらっと書いたけど。というより、あの惨状をきちんと書けるほどの言葉のレベルが私にはない。あってもこまるけど。
良し、と書きおわった私は封筒に。
そしてここで、お父様とジゼルちゃんあてのお手紙を間違って入れたというのを知るのは、帰ってからなんだけども。
ガブさんの国、ファンテールでの観光の日々の始まりです。
ひゃっほう!
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