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第四章
合流の兆し
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変化が現れたのは、お昼過ぎ頃だった。
魔法陣から感じる魔力の流れ。私は急いでその前に座り、ひとまず林檎一つ置いて私の魔力を流した。
もってけ泥棒! みたいな気持ちで流すと林檎がしゅっと消える。
あ、いけた。
よし、もっと! と、事前に一人ずつ分ずつまとめてた食料セットをおく。
干し肉と、果物、それからパン。それを送った後に、水も。水はさすがに一人ずつは難しかったので、私が抱えることができるくらいの樽。
お兄様がいつの間にか外でそろえてきたものだ。
こちらの滞在先、掃除とかは連れてきたメイドがするからいいですとシーツチェンジ、掃除まで、殿下とデジレ様のお付きの方がしている。セキュリティ的な問題のためにそうしたらしい。
その人たちは私たちの事しってるので、見守ってくれているだけだ。
お水を運ぶのも手伝ってくれたし、食糧纏めもしてくれた。
そしてその人たちに入れ知恵されて、私はうっかり手紙を書いてしまったのだ!
返信がないのはわかってるけど。本当に短く。
早く会いたい。無事に帰ってきてね。とそれだけ。あとハートもばしばしかいておいた。
はずかしい!!
それも最後に送る。多分お兄様が、なんだこれと冷やかすだろうけど。
冷やかすだろうけどこっちも送らないとダメな雰囲気だったの、ごめんねテオ!
お手紙も消えた、送信完了。ふぅ……一仕事終わり。
この陣の難点は双方向で送りあいっこができない事。同じもの二つ作ればよかったかも、と思うけど、魔力使用量的に今お兄様たち側から送るという作業はやめたい。余力を残しておきたいからだ。
そしてこの送り無双をしていた私は、自分の中で転移、転送の方法が見えてきたというか。
こう、流れを感じることで言葉にはできないけど理解できた、というか。
「うーん、多分自分だけなら転移いける気がする……」
想像力的なとこでも、この繰り返しがすごーく助けになったというか。
そして、どこにいくか探すっていうのはあの幽体離脱でなんとなくわかる、ような気がするし。
論文にして発表、とかだと理論云々で面倒で無理って思うけど、そういうの抜きならいけそう。
いけそうだけど、今はやらない。
いろんなものを送って、私は休憩中。ここで眠って休むと夜寝れないからしない。絶対しない。
甘い物とか食べながらのそのそしていると、何だあれはと声をあげて、ぷりぷり起こりながらデジレ様が帰ってきた。
「聞いてくれ、レティ! 私に! 妾にこいと言う馬鹿がこの世に存在していたのだ!!」
「えっ、それはどこの……どちらさまでしょうか?」
わぁ……一国の王女にそんなこと言える人すごい。もちろん悪い意味で。
「今日は皇太子妃様の茶会に呼ばれていて、そこにいた知らぬ男だ!」
だがあれは招かれた客ではなかったなとデジレ様はおっしゃる。えー、そんな人がいるって、どうなんですか。
「ともかく気分は最悪でな……」
「それは……そうですね、私も同じ気分になりそうです。それお兄様にちくっちゃうといいですよ」
多分何かしてくれます、と私は入れ知恵をしておく。デジレ様はそうだなと頷いてらっしゃる。
お兄様、出番です。今ここにいないけど!
「あれは私がもうすぐ、王家を出ると知っている口ぶりだったな……それを知っているのは四大公爵家くらいなんだが……どこから漏れたのか」
「え、そうなんです!?」
「ああ……そういえば言ってなかったか。多分この公務が王家の者として最後の公務だ」
「じゃ、じゃあもうすぐお兄様と……」
「…………あー、その……こ、婚約は、する」
「私何も聞いてませんー!! おめでとうございます!! で、いいのかな!? おめでとうございます!!」
ありがとう、とデジレ様は恥ずかしそうになさる。頬染めて、ひゃーかわいい!!
デートとかしてるのは知ってたけど、ちゃんと話が進んでるとは。
国に戻ったらお祭りかなーと楽しくなってくる。
「……無事にことを終わらせて、帰ろう」
「はい!」
それから、ノロケとか愚痴とか色々聞いて。殿下も帰ってくると似たようなことを話し始め。
二人が失礼な人間がいるものだな! と締めくくりお開きになった。
そして、私は幽体離脱。
今日は、お兄様と打ち合わせしてある通りに動く予定。
といってもこれからの方針を伝えてもらうだけ。
こちらはそれに、従うことになってる。
お兄様とテオのところへと、私は移動した。
魔法陣から感じる魔力の流れ。私は急いでその前に座り、ひとまず林檎一つ置いて私の魔力を流した。
もってけ泥棒! みたいな気持ちで流すと林檎がしゅっと消える。
あ、いけた。
よし、もっと! と、事前に一人ずつ分ずつまとめてた食料セットをおく。
干し肉と、果物、それからパン。それを送った後に、水も。水はさすがに一人ずつは難しかったので、私が抱えることができるくらいの樽。
お兄様がいつの間にか外でそろえてきたものだ。
こちらの滞在先、掃除とかは連れてきたメイドがするからいいですとシーツチェンジ、掃除まで、殿下とデジレ様のお付きの方がしている。セキュリティ的な問題のためにそうしたらしい。
その人たちは私たちの事しってるので、見守ってくれているだけだ。
お水を運ぶのも手伝ってくれたし、食糧纏めもしてくれた。
そしてその人たちに入れ知恵されて、私はうっかり手紙を書いてしまったのだ!
返信がないのはわかってるけど。本当に短く。
早く会いたい。無事に帰ってきてね。とそれだけ。あとハートもばしばしかいておいた。
はずかしい!!
それも最後に送る。多分お兄様が、なんだこれと冷やかすだろうけど。
冷やかすだろうけどこっちも送らないとダメな雰囲気だったの、ごめんねテオ!
お手紙も消えた、送信完了。ふぅ……一仕事終わり。
この陣の難点は双方向で送りあいっこができない事。同じもの二つ作ればよかったかも、と思うけど、魔力使用量的に今お兄様たち側から送るという作業はやめたい。余力を残しておきたいからだ。
そしてこの送り無双をしていた私は、自分の中で転移、転送の方法が見えてきたというか。
こう、流れを感じることで言葉にはできないけど理解できた、というか。
「うーん、多分自分だけなら転移いける気がする……」
想像力的なとこでも、この繰り返しがすごーく助けになったというか。
そして、どこにいくか探すっていうのはあの幽体離脱でなんとなくわかる、ような気がするし。
論文にして発表、とかだと理論云々で面倒で無理って思うけど、そういうの抜きならいけそう。
いけそうだけど、今はやらない。
いろんなものを送って、私は休憩中。ここで眠って休むと夜寝れないからしない。絶対しない。
甘い物とか食べながらのそのそしていると、何だあれはと声をあげて、ぷりぷり起こりながらデジレ様が帰ってきた。
「聞いてくれ、レティ! 私に! 妾にこいと言う馬鹿がこの世に存在していたのだ!!」
「えっ、それはどこの……どちらさまでしょうか?」
わぁ……一国の王女にそんなこと言える人すごい。もちろん悪い意味で。
「今日は皇太子妃様の茶会に呼ばれていて、そこにいた知らぬ男だ!」
だがあれは招かれた客ではなかったなとデジレ様はおっしゃる。えー、そんな人がいるって、どうなんですか。
「ともかく気分は最悪でな……」
「それは……そうですね、私も同じ気分になりそうです。それお兄様にちくっちゃうといいですよ」
多分何かしてくれます、と私は入れ知恵をしておく。デジレ様はそうだなと頷いてらっしゃる。
お兄様、出番です。今ここにいないけど!
「あれは私がもうすぐ、王家を出ると知っている口ぶりだったな……それを知っているのは四大公爵家くらいなんだが……どこから漏れたのか」
「え、そうなんです!?」
「ああ……そういえば言ってなかったか。多分この公務が王家の者として最後の公務だ」
「じゃ、じゃあもうすぐお兄様と……」
「…………あー、その……こ、婚約は、する」
「私何も聞いてませんー!! おめでとうございます!! で、いいのかな!? おめでとうございます!!」
ありがとう、とデジレ様は恥ずかしそうになさる。頬染めて、ひゃーかわいい!!
デートとかしてるのは知ってたけど、ちゃんと話が進んでるとは。
国に戻ったらお祭りかなーと楽しくなってくる。
「……無事にことを終わらせて、帰ろう」
「はい!」
それから、ノロケとか愚痴とか色々聞いて。殿下も帰ってくると似たようなことを話し始め。
二人が失礼な人間がいるものだな! と締めくくりお開きになった。
そして、私は幽体離脱。
今日は、お兄様と打ち合わせしてある通りに動く予定。
といってもこれからの方針を伝えてもらうだけ。
こちらはそれに、従うことになってる。
お兄様とテオのところへと、私は移動した。
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