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第三章
明日の約束
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一日終わって、ガブさんの部屋――だったところ。
私物の類で捨てるものは一か所に集められていた。よくわからないもの、それからたくさんの本。本は本当に多い。ここにいる間は他にやること、できることもないから読んでいたらしい。
この処理はお兄様と殿下が頑張るとのこと。
何か欲しいものがあるなら持っていって良いと言われたのだけど、私とジゼルちゃんの興味を引くものはあるか、ないかといえばあった。
めちゃくちゃあった。
「ああっ! お料理本とかあるんだけど!」
「レティ、こちらはレース編みの本ですわ」
「ガブさんなんでこんなの持ってたの……」
ジャンルなんてまとまっていない。興味のあったものか、目についたものだからか。
とても雑多!
「ええ、これすぐには全部みれない……でも掘り出し物とかありそう」
「そうですね……」
が、私もがさがさしているわけにはいかない。
今日のごはんは私がつくるのだから!
ジゼルちゃんにあとにしよう、と声をかけて私たちは台所へ。
色々食材を確認していると、色んなものがある。
まぁ最初にご飯、だけども!
炊き込みご飯を! 作ろうと思います!
そう思って、ちょっと材料は仕入れてきたのだ。鶏肉ー。これと、根菜系をいれて炊き込みご飯。
ジゼルちゃんに料理は、と聞くと微笑まれたので、多分経験はない。
ということでお手伝いはお皿だしてもらったり材料をとってもらったり。
「これが包丁ですか……」
「ジゼルちゃん、怪我とかしないでね?」
「これくらいなら大丈夫です」
本当ー? と思いながら見守っていると案外行けそう。鶏肉一口カットはお任せした。
切ったらこっちにいれてねーと調味料いれたボウルを渡しつつ、私も色々下準備。
終わったら土鍋にいれて、そいやー! お米とか具材とか入れてひとまぜー。そして出汁とかそそーい!
で、火にかける。
あとは干物があったのでそれを焼いて、お味噌汁をちょちょいと。
「手際が良いですね」
「うん、なんとなく……できちゃってるわ」
本で読んだだけなんだけどねーと誤魔化しておく。
実際は記憶の端っこを掴んでいるから、なんだけど。記憶に引きずられてか、結構ちゃんとできている。
手もイメージ通りに動いていた。
もう一品ぐらいいけるかも、ってことで卵焼き。
卵割りたい、とジゼルちゃんがそわそわしていたのでお願いしてみた。
うん、殻がはいりましたとも! とったけど!
で、ごはんの準備もできまして。時間はちょっとかかったけど、お兄様と殿下はずっとお話していたらしく、気にはしていない様子。
皆でごはんを食べて、そのあとお茶を淹れて。
ここからが本題の予感ー!
「二人を呼んだのはお願いしたいことがあってね」
ほらきた!
殿下は聞いてくれるかな、と仰る。臣下的には頷くしかないのだけど嫌なら断っていいよ、と言っていることもわかる。
けど、まず断らないよねと。
そういう雰囲気だ。
「姉上が住むことになる屋敷が決まったんだけど、その屋敷を色々といじる手伝いをお願いしたくて」
「うーん……それは業者やメイドさんをいれることでは?」
「ああ、最低限の事はしてるんだ。掃除とか、今まであった家具をどうこうっていうのは」
姉上がしたいのは、壁紙の張り替えとか、そういうのなんだけどと殿下は遠い目だ。
えー、でもそれ、お兄様が一緒にすればいいんじゃないの?
そう思って視線を向けると。
「俺には理解が難しかった」
「どういう意味で」
「センス的な」
センス? と私とジゼルちゃんは一緒に首を傾げた。
でもなんだか、面倒事を押し付けられているのはわかる。
「目にしてみればわかるから行ってみてくれるかな」
「話すよりそのほうが早いし、な……」
殿下とお兄様は苦笑い。うぅん、なんかすごいことが待ってるのはわかる。
センスかー。二人が理解できない少女趣味とか? それなら私達はまだわかるかな。
「それを見てからどうするか決めていいんですよね」
「それでいいよ」
それでいいよ、と言うけれど。
多分きっと、私達は手伝うはめになるんだろうな!
そうジゼルちゃんも思っているに違いない。
で、その屋敷の場所を聞くと、聞き覚えのあるところで。
そう、お兄様に言われて偵察にいったあの家だ。ジゼルちゃんもあそこの、と思い当たっている。
それなら場所もわかるし、私たちが勝手に行っても大丈夫そうだ。
明日、そこにデジレ様がいらっしゃるそうなので私たちも行くことに。
絶対行くんだぞと約束させられた、とも言う。
なんかこう、作業できる服装でいった方が良さそうな気もする。
それからたくさん無駄話をして、私たちはガブさんが置いていったものの整理にとりかかった。
いらないものは集めておいた、じゃない。全部面倒だからおいていく、そして分けるの面倒だから端によせておいた!
多分これが正解じゃなかろうか!! という雑多ぶりだった。
お兄様と殿下がガブさんに貸したものを発掘してここにあったかという顔をしていたので、多分他にもそういうものがありそうだと思う。
私物の類で捨てるものは一か所に集められていた。よくわからないもの、それからたくさんの本。本は本当に多い。ここにいる間は他にやること、できることもないから読んでいたらしい。
この処理はお兄様と殿下が頑張るとのこと。
何か欲しいものがあるなら持っていって良いと言われたのだけど、私とジゼルちゃんの興味を引くものはあるか、ないかといえばあった。
めちゃくちゃあった。
「ああっ! お料理本とかあるんだけど!」
「レティ、こちらはレース編みの本ですわ」
「ガブさんなんでこんなの持ってたの……」
ジャンルなんてまとまっていない。興味のあったものか、目についたものだからか。
とても雑多!
「ええ、これすぐには全部みれない……でも掘り出し物とかありそう」
「そうですね……」
が、私もがさがさしているわけにはいかない。
今日のごはんは私がつくるのだから!
ジゼルちゃんにあとにしよう、と声をかけて私たちは台所へ。
色々食材を確認していると、色んなものがある。
まぁ最初にご飯、だけども!
炊き込みご飯を! 作ろうと思います!
そう思って、ちょっと材料は仕入れてきたのだ。鶏肉ー。これと、根菜系をいれて炊き込みご飯。
ジゼルちゃんに料理は、と聞くと微笑まれたので、多分経験はない。
ということでお手伝いはお皿だしてもらったり材料をとってもらったり。
「これが包丁ですか……」
「ジゼルちゃん、怪我とかしないでね?」
「これくらいなら大丈夫です」
本当ー? と思いながら見守っていると案外行けそう。鶏肉一口カットはお任せした。
切ったらこっちにいれてねーと調味料いれたボウルを渡しつつ、私も色々下準備。
終わったら土鍋にいれて、そいやー! お米とか具材とか入れてひとまぜー。そして出汁とかそそーい!
で、火にかける。
あとは干物があったのでそれを焼いて、お味噌汁をちょちょいと。
「手際が良いですね」
「うん、なんとなく……できちゃってるわ」
本で読んだだけなんだけどねーと誤魔化しておく。
実際は記憶の端っこを掴んでいるから、なんだけど。記憶に引きずられてか、結構ちゃんとできている。
手もイメージ通りに動いていた。
もう一品ぐらいいけるかも、ってことで卵焼き。
卵割りたい、とジゼルちゃんがそわそわしていたのでお願いしてみた。
うん、殻がはいりましたとも! とったけど!
で、ごはんの準備もできまして。時間はちょっとかかったけど、お兄様と殿下はずっとお話していたらしく、気にはしていない様子。
皆でごはんを食べて、そのあとお茶を淹れて。
ここからが本題の予感ー!
「二人を呼んだのはお願いしたいことがあってね」
ほらきた!
殿下は聞いてくれるかな、と仰る。臣下的には頷くしかないのだけど嫌なら断っていいよ、と言っていることもわかる。
けど、まず断らないよねと。
そういう雰囲気だ。
「姉上が住むことになる屋敷が決まったんだけど、その屋敷を色々といじる手伝いをお願いしたくて」
「うーん……それは業者やメイドさんをいれることでは?」
「ああ、最低限の事はしてるんだ。掃除とか、今まであった家具をどうこうっていうのは」
姉上がしたいのは、壁紙の張り替えとか、そういうのなんだけどと殿下は遠い目だ。
えー、でもそれ、お兄様が一緒にすればいいんじゃないの?
そう思って視線を向けると。
「俺には理解が難しかった」
「どういう意味で」
「センス的な」
センス? と私とジゼルちゃんは一緒に首を傾げた。
でもなんだか、面倒事を押し付けられているのはわかる。
「目にしてみればわかるから行ってみてくれるかな」
「話すよりそのほうが早いし、な……」
殿下とお兄様は苦笑い。うぅん、なんかすごいことが待ってるのはわかる。
センスかー。二人が理解できない少女趣味とか? それなら私達はまだわかるかな。
「それを見てからどうするか決めていいんですよね」
「それでいいよ」
それでいいよ、と言うけれど。
多分きっと、私達は手伝うはめになるんだろうな!
そうジゼルちゃんも思っているに違いない。
で、その屋敷の場所を聞くと、聞き覚えのあるところで。
そう、お兄様に言われて偵察にいったあの家だ。ジゼルちゃんもあそこの、と思い当たっている。
それなら場所もわかるし、私たちが勝手に行っても大丈夫そうだ。
明日、そこにデジレ様がいらっしゃるそうなので私たちも行くことに。
絶対行くんだぞと約束させられた、とも言う。
なんかこう、作業できる服装でいった方が良さそうな気もする。
それからたくさん無駄話をして、私たちはガブさんが置いていったものの整理にとりかかった。
いらないものは集めておいた、じゃない。全部面倒だからおいていく、そして分けるの面倒だから端によせておいた!
多分これが正解じゃなかろうか!! という雑多ぶりだった。
お兄様と殿下がガブさんに貸したものを発掘してここにあったかという顔をしていたので、多分他にもそういうものがありそうだと思う。
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