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第二章
正式なご招待
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殿下、デジレ様、お兄様、ベル、ジゼルちゃん、テオは私と一緒にと。
その招待状はそれぞれに送られてきた。
「行く?」
「行きたくはない」
そのお誘いは、ジャジャル家でのパーティーへのお誘い。主催はバルトロメ様だ。
お兄様は心底行きたくなさそうな顔をしている。どうして俺が、行かねばならんのだという気持ちかな!!
「正式な招待を断るって、よっぽどの事がないとだし。俺は行くけど」
殿下は臣下の誘いには答えなければいけないからと。デジレ様もきっと同じくだ。
「姉上も行くってことだから、二人には一緒にいてほしいんだよね」
公爵家の二人が一緒にいれば、他の令嬢はなかなか近寄りがたい。
そんなわけで護衛と殿下はおっしゃる。
「私は良いですよ」
「はい、私も」
「うん、よろしく。おとなしくしておくように言い含めてはおくから」
むしろそのおとなしくを言い含めるのは、いえデジレ様にもなんですけど。
殿下の隣のお兄様にもよくよく言い含めていただきたい。またさらったりするな、とかそういうことを。
しかし。
私とジゼルちゃん、ベルとテオはまだ正式には社交界デビューしてないよねーって話。
ジゼルちゃんとベルは親のお呼ばれについていったりもあったから顔は広いのだけど。
私達別にいかなくてもいいんじゃない? とも思うけどカロン様にぜひ来てくださいねみたいなこと書かれてしまっているわけで。
仕方ない、行くかという結論になった。
で、お返事をすると同時にどこから聞きつけたか、お母様から帰っていらっしゃい、ドレスの用意するわよというお手紙がきて。
ひぇ!!
再びコルセットの洗礼にあうはめに……おおう……どうして? どうして世の中にはコルセットなんてものがあるの?
これ作ったの誰よ!! 許さない!!
と、憤る程度には本当にコルセットめ……となる。これつけなくていいドレスが欲しい。
そんなこんなで準備はばっちり。
問題の日がやってきた。
パーティーは昼。ジャジャル家でのガーデンパーティーだ。
なんでもバルトロメ様が時々行っているそうで色々と趣向にあふれているらしい。
この前は女装だったとか。
……あれっ。お兄様一度、ドレス持って行ってたけどもしかして。
そう思ってそっと見てみるがなんだとばかりに睨まれたので黙っておく。多分あたってる。そんな気がする。
で、今回は家に到着すると同時に選んでください、とそれが並んでいた。
「……」
「……」
「……」
獣耳のカチューシャだ。
えっ、なにこれつけるの。えっ。
えっ……なんで。
一緒に来た私とお兄様とテオは黙ってしまう。えっ、これを、つける?
お兄様が、うさ耳か犬耳か猫耳を、つける。
えっ。そんなのみたら私、笑いを耐えられるかどうかわからない。
テオが、うさ耳か犬耳か猫耳を、つける。
……えっ、それは見たい。
できるなら猫耳をぜひお願いしたい。いやでもうさ耳も捨てがたい!!
そうじゃない。そうじゃないよ!!
バルトロメ様は何をお考えになってるのかな!!
「……じゃ、じゃあ私はうさ耳にしますね」
あっ、うさ耳ふわふわー! 私は下にぺろっと垂れてるのを選んだ。上にぴんっとしてるのは、なんかこう。バランス上手に保てなさそうで。
お兄様も諦めたように一つ手に取った。でもつけない。ちなみに選んだのは犬耳だ。
で、テオも犬をとろうとしたのだが。
「テオ、こっち」
「え?」
「こっちがいい……」
私は黒い猫耳をとってテオの前に出した。
テオはしばらくそれを黙ってみてたのだけど、どれでも同じかといってそれでいいよと受け取ってくれた。
やったー!
テオの猫耳とか心のメモリアルにとどめ置きまくるに決まってる。わぁい!
受け取った猫耳をテオはつけてくれた。
あー! なんかもう、ありがとうございます!!
なんで似合うのかな、なんなのかなテオは。美少年か!
そして耳を受け取った私たちは庭に案内された。そこにはほかにも、耳つけた人がたくさんいた。
ほんとこれ、ほんと。
何の催しですかって感じしかない。皆ふつーにつけてるから、恥ずかしさも何もないのかな。
それとも慣れてるだけなのかもしれないけど。
そして庭でジゼルちゃんとベルを見つけて一緒に。ジゼルちゃんはぴんと立ったうさ耳だった。
そして、ベルも。
「ベ、ベルが、うさみみ!」
「お揃いが良いなっていったの」
にこっと笑うジゼルちゃん。限りなくわかっててやったのよ感しかない。
ベルも不本意なのだろう。けど、ジゼルちゃんのお願いに勝てなかったのだと思う。
まぁそうだよね!
ジゼルちゃんとなんとなくこう、頭の上にあるものの居心地の悪さにベルはちょっと困っているようだ。
テオが似合ってますよとベルに言うと、ベルは褒めなくて良いと尻尾を向く。
どうやら相当、恥ずかしいらしい。その気持ちはちょっとわかるけど。
でも皆つけてるしなぁと思い始めれば、恥ずかしいとかもどうでもよくなってきた。
むしろそれぞれどんな付け耳なのかちょっと見てるの楽しくなってくる。
きょろきょろしてると殿下とデジレ様もいらっしゃった。
殿下はいつもの殿下~な服装だけどデジレ様は違った。
ドレスなんだけど。ドレスなんだけど! ドレスなんだけど!!
コルセットをつけてないだと!?
えっ、なにあれ、えっ! 胸下切り替えかああああ!!!
ああああ、確かにそれならコルセットいらない。いらない……なんという知能犯。
私もああいうの欲しい……そう思ったのは私だけではなくて。
ジゼルちゃんも、デジレ様のドレスと唸っていた。私たちは目を見合わせて、あとでどこで作ったのか教えてもらおうと頷き合った。
その招待状はそれぞれに送られてきた。
「行く?」
「行きたくはない」
そのお誘いは、ジャジャル家でのパーティーへのお誘い。主催はバルトロメ様だ。
お兄様は心底行きたくなさそうな顔をしている。どうして俺が、行かねばならんのだという気持ちかな!!
「正式な招待を断るって、よっぽどの事がないとだし。俺は行くけど」
殿下は臣下の誘いには答えなければいけないからと。デジレ様もきっと同じくだ。
「姉上も行くってことだから、二人には一緒にいてほしいんだよね」
公爵家の二人が一緒にいれば、他の令嬢はなかなか近寄りがたい。
そんなわけで護衛と殿下はおっしゃる。
「私は良いですよ」
「はい、私も」
「うん、よろしく。おとなしくしておくように言い含めてはおくから」
むしろそのおとなしくを言い含めるのは、いえデジレ様にもなんですけど。
殿下の隣のお兄様にもよくよく言い含めていただきたい。またさらったりするな、とかそういうことを。
しかし。
私とジゼルちゃん、ベルとテオはまだ正式には社交界デビューしてないよねーって話。
ジゼルちゃんとベルは親のお呼ばれについていったりもあったから顔は広いのだけど。
私達別にいかなくてもいいんじゃない? とも思うけどカロン様にぜひ来てくださいねみたいなこと書かれてしまっているわけで。
仕方ない、行くかという結論になった。
で、お返事をすると同時にどこから聞きつけたか、お母様から帰っていらっしゃい、ドレスの用意するわよというお手紙がきて。
ひぇ!!
再びコルセットの洗礼にあうはめに……おおう……どうして? どうして世の中にはコルセットなんてものがあるの?
これ作ったの誰よ!! 許さない!!
と、憤る程度には本当にコルセットめ……となる。これつけなくていいドレスが欲しい。
そんなこんなで準備はばっちり。
問題の日がやってきた。
パーティーは昼。ジャジャル家でのガーデンパーティーだ。
なんでもバルトロメ様が時々行っているそうで色々と趣向にあふれているらしい。
この前は女装だったとか。
……あれっ。お兄様一度、ドレス持って行ってたけどもしかして。
そう思ってそっと見てみるがなんだとばかりに睨まれたので黙っておく。多分あたってる。そんな気がする。
で、今回は家に到着すると同時に選んでください、とそれが並んでいた。
「……」
「……」
「……」
獣耳のカチューシャだ。
えっ、なにこれつけるの。えっ。
えっ……なんで。
一緒に来た私とお兄様とテオは黙ってしまう。えっ、これを、つける?
お兄様が、うさ耳か犬耳か猫耳を、つける。
えっ。そんなのみたら私、笑いを耐えられるかどうかわからない。
テオが、うさ耳か犬耳か猫耳を、つける。
……えっ、それは見たい。
できるなら猫耳をぜひお願いしたい。いやでもうさ耳も捨てがたい!!
そうじゃない。そうじゃないよ!!
バルトロメ様は何をお考えになってるのかな!!
「……じゃ、じゃあ私はうさ耳にしますね」
あっ、うさ耳ふわふわー! 私は下にぺろっと垂れてるのを選んだ。上にぴんっとしてるのは、なんかこう。バランス上手に保てなさそうで。
お兄様も諦めたように一つ手に取った。でもつけない。ちなみに選んだのは犬耳だ。
で、テオも犬をとろうとしたのだが。
「テオ、こっち」
「え?」
「こっちがいい……」
私は黒い猫耳をとってテオの前に出した。
テオはしばらくそれを黙ってみてたのだけど、どれでも同じかといってそれでいいよと受け取ってくれた。
やったー!
テオの猫耳とか心のメモリアルにとどめ置きまくるに決まってる。わぁい!
受け取った猫耳をテオはつけてくれた。
あー! なんかもう、ありがとうございます!!
なんで似合うのかな、なんなのかなテオは。美少年か!
そして耳を受け取った私たちは庭に案内された。そこにはほかにも、耳つけた人がたくさんいた。
ほんとこれ、ほんと。
何の催しですかって感じしかない。皆ふつーにつけてるから、恥ずかしさも何もないのかな。
それとも慣れてるだけなのかもしれないけど。
そして庭でジゼルちゃんとベルを見つけて一緒に。ジゼルちゃんはぴんと立ったうさ耳だった。
そして、ベルも。
「ベ、ベルが、うさみみ!」
「お揃いが良いなっていったの」
にこっと笑うジゼルちゃん。限りなくわかっててやったのよ感しかない。
ベルも不本意なのだろう。けど、ジゼルちゃんのお願いに勝てなかったのだと思う。
まぁそうだよね!
ジゼルちゃんとなんとなくこう、頭の上にあるものの居心地の悪さにベルはちょっと困っているようだ。
テオが似合ってますよとベルに言うと、ベルは褒めなくて良いと尻尾を向く。
どうやら相当、恥ずかしいらしい。その気持ちはちょっとわかるけど。
でも皆つけてるしなぁと思い始めれば、恥ずかしいとかもどうでもよくなってきた。
むしろそれぞれどんな付け耳なのかちょっと見てるの楽しくなってくる。
きょろきょろしてると殿下とデジレ様もいらっしゃった。
殿下はいつもの殿下~な服装だけどデジレ様は違った。
ドレスなんだけど。ドレスなんだけど! ドレスなんだけど!!
コルセットをつけてないだと!?
えっ、なにあれ、えっ! 胸下切り替えかああああ!!!
ああああ、確かにそれならコルセットいらない。いらない……なんという知能犯。
私もああいうの欲しい……そう思ったのは私だけではなくて。
ジゼルちゃんも、デジレ様のドレスと唸っていた。私たちは目を見合わせて、あとでどこで作ったのか教えてもらおうと頷き合った。
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