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第二章
のろけ
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夜会から数日。
私たちは学園でふつーにいつもの日常を送っていた。
お兄様とはあれから、学園で姿を見かけることはあってもタイミングが悪くてちゃんと話はできてない。
何があった、というか。
あの夜、何をしてたのか気になるじゃない!
そして気になると言えば、お父様がテオにお話ししてたこと。それをなんだったのーと聞いたんだけど。
見合いの話をされました、と言われて。
見合い!? ともちろんなった。
今はそういう事に気持ちを向ける余裕がありませんので、とお断りしたみたいだけど。
なんかこう、ちょっともやっとはした。
そのもやっ、が何かよくわからなかったんだけど。そう、女の私よりも早く見合いの話がくるとかどういうこと!? なんだと思う。
それをジゼルちゃんに言うと、ちょっとしょっぱい顔をされた気がしないでもないのだけど。
それならジゼルちゃんはー! と勢いで尋ねてみた。
そういう話を全く聞いた事がない。いえ、ベルが好きなのは知ってるし、ジゼルちゃんもそれを受け入れて、好きなのもなんとなぁくわかるんだけど。
そのお互いの気持ちがかなうことがあるのかどうかは、私にはわからない。
「私は……その……ベルの方から、お話が……」
「えっ、あったの!?」
「は、はい……」
ぽっと頬が朱に染まる。わああああ!!
もっといろいろ突っついていくと、本当に、そういう話がきたのはつい最近だそうだ。
そういえば最近ベルがめっちゃそわそわしてた時期がある。夜会が終わってすぐ、くらいだ。
「多分ですが、夜会で色々な方に私、声をかけられたりもしたので」
「おお、じゃあベルが素早く動いたわけね?」
「はい。同格の家ですし、お父様たちは本人たちの気持ちがあるようだしと許してくださるそうです」
正式な発表、みたいなのはもう少し先。
でも内密に、話は固まっているそうだ。よかった! と思う反面。
ベルにジゼルちゃんをとられた! という気持ちもある。
「……やだー! ジゼルちゃんお嫁にいかないでー!」
「ちょ、レティ!」
私はがばっとジゼルちゃんに抱き着いた。
ふははは! ベルより先にジゼルちゃんのふかふかのお胸を私のものにしてやったぜ!
いえ別に揉んでるわけでもなく抱き着いてその感触を実感してるだけなんだけど。
「お嫁なんて気がはやい」
「だってー。相手がベルというのも」
「ベルは結構しっかりしてるのよ」
「えー。たとえば? どこが好きなの?」
ジゼルちゃんがしどろもどろ。上手にしゃべれない。
というのも、答えに困っているからだ。
のろけていいのよ! いいのよ!!
「私しかいないから、教えてよ。私からみればベルは。まぁ頑張ってるなぁとは思うんだけど」
ベルは、成績もよい。おそらく、この後は政策科を選ぶのだと思う。
けど、ただ頭が良いだけでなくて、剣技もそこそこトップとまではいかないけど上位にいる。魔術だってそうだ。
そしてそれが才能だけでなくて努力でも補われている事も知ってる。
一緒に勉強しながら、これがわからないって唸ってる姿も見た事あるし。それをジゼルちゃんがやさしく教えるのをにまにま眺めていて。そしてテオに手が止まってますよと言われるまでがセット。
「ベルはつんけんしてますけど、その、ちゃんと物事を考えてますし……私に優しく、してくれますから……」
「うんうん」
「ちゃ、ちゃんとエスコートしつつ気づかってもくれて思いやりもあります」
「それで?」
「約束もちゃんと、守ってくれますし……あぅ……も、もうこれ以上無理よレティ!」
「えー! その感じだとまだ何か、あるわね!」
話しちゃえば楽になるわよー! とつつくけどジゼルちゃんはしゃべってくれない。
まぁいいのだ。全部さらけ出してくれないといや! なんてことはないから。
「ふふ、ベルとお幸せにー」
「あ、改めて言われると……うぅ、あ、ありがとう」
何かあったら相談してねと私は笑う。
ベルとジゼルちゃんが幸せになればいいなぁと私は思う。
「でもこれからベルと一緒にいる事多くなって私と遊ぶ時間少なくなっちゃうかなぁ」
「え? 今までとかわりませんよ?」
「え、そうなの?」
「はい」
将来の約束はするけれど、別段二人でどこかに行く、なんてことがいきなり増えるなんてないわとジゼルちゃんは言う。
そうなのー!? 私はてっきり、これから二人でお出かけとかの回数がふえて愛をはぐくんでいくものだと思っていたのだけど。
なんかいつまで通りっぽい?
「うう、でもデートはしてあげなきゃだよ。ベル、そういうのは絶対してほしいタイプー」
「そうですね。たまになら」
たまになら。
わぁ。ベル、きっとジゼルちゃんには一生勝てないと思う。
私たちは学園でふつーにいつもの日常を送っていた。
お兄様とはあれから、学園で姿を見かけることはあってもタイミングが悪くてちゃんと話はできてない。
何があった、というか。
あの夜、何をしてたのか気になるじゃない!
そして気になると言えば、お父様がテオにお話ししてたこと。それをなんだったのーと聞いたんだけど。
見合いの話をされました、と言われて。
見合い!? ともちろんなった。
今はそういう事に気持ちを向ける余裕がありませんので、とお断りしたみたいだけど。
なんかこう、ちょっともやっとはした。
そのもやっ、が何かよくわからなかったんだけど。そう、女の私よりも早く見合いの話がくるとかどういうこと!? なんだと思う。
それをジゼルちゃんに言うと、ちょっとしょっぱい顔をされた気がしないでもないのだけど。
それならジゼルちゃんはー! と勢いで尋ねてみた。
そういう話を全く聞いた事がない。いえ、ベルが好きなのは知ってるし、ジゼルちゃんもそれを受け入れて、好きなのもなんとなぁくわかるんだけど。
そのお互いの気持ちがかなうことがあるのかどうかは、私にはわからない。
「私は……その……ベルの方から、お話が……」
「えっ、あったの!?」
「は、はい……」
ぽっと頬が朱に染まる。わああああ!!
もっといろいろ突っついていくと、本当に、そういう話がきたのはつい最近だそうだ。
そういえば最近ベルがめっちゃそわそわしてた時期がある。夜会が終わってすぐ、くらいだ。
「多分ですが、夜会で色々な方に私、声をかけられたりもしたので」
「おお、じゃあベルが素早く動いたわけね?」
「はい。同格の家ですし、お父様たちは本人たちの気持ちがあるようだしと許してくださるそうです」
正式な発表、みたいなのはもう少し先。
でも内密に、話は固まっているそうだ。よかった! と思う反面。
ベルにジゼルちゃんをとられた! という気持ちもある。
「……やだー! ジゼルちゃんお嫁にいかないでー!」
「ちょ、レティ!」
私はがばっとジゼルちゃんに抱き着いた。
ふははは! ベルより先にジゼルちゃんのふかふかのお胸を私のものにしてやったぜ!
いえ別に揉んでるわけでもなく抱き着いてその感触を実感してるだけなんだけど。
「お嫁なんて気がはやい」
「だってー。相手がベルというのも」
「ベルは結構しっかりしてるのよ」
「えー。たとえば? どこが好きなの?」
ジゼルちゃんがしどろもどろ。上手にしゃべれない。
というのも、答えに困っているからだ。
のろけていいのよ! いいのよ!!
「私しかいないから、教えてよ。私からみればベルは。まぁ頑張ってるなぁとは思うんだけど」
ベルは、成績もよい。おそらく、この後は政策科を選ぶのだと思う。
けど、ただ頭が良いだけでなくて、剣技もそこそこトップとまではいかないけど上位にいる。魔術だってそうだ。
そしてそれが才能だけでなくて努力でも補われている事も知ってる。
一緒に勉強しながら、これがわからないって唸ってる姿も見た事あるし。それをジゼルちゃんがやさしく教えるのをにまにま眺めていて。そしてテオに手が止まってますよと言われるまでがセット。
「ベルはつんけんしてますけど、その、ちゃんと物事を考えてますし……私に優しく、してくれますから……」
「うんうん」
「ちゃ、ちゃんとエスコートしつつ気づかってもくれて思いやりもあります」
「それで?」
「約束もちゃんと、守ってくれますし……あぅ……も、もうこれ以上無理よレティ!」
「えー! その感じだとまだ何か、あるわね!」
話しちゃえば楽になるわよー! とつつくけどジゼルちゃんはしゃべってくれない。
まぁいいのだ。全部さらけ出してくれないといや! なんてことはないから。
「ふふ、ベルとお幸せにー」
「あ、改めて言われると……うぅ、あ、ありがとう」
何かあったら相談してねと私は笑う。
ベルとジゼルちゃんが幸せになればいいなぁと私は思う。
「でもこれからベルと一緒にいる事多くなって私と遊ぶ時間少なくなっちゃうかなぁ」
「え? 今までとかわりませんよ?」
「え、そうなの?」
「はい」
将来の約束はするけれど、別段二人でどこかに行く、なんてことがいきなり増えるなんてないわとジゼルちゃんは言う。
そうなのー!? 私はてっきり、これから二人でお出かけとかの回数がふえて愛をはぐくんでいくものだと思っていたのだけど。
なんかいつまで通りっぽい?
「うう、でもデートはしてあげなきゃだよ。ベル、そういうのは絶対してほしいタイプー」
「そうですね。たまになら」
たまになら。
わぁ。ベル、きっとジゼルちゃんには一生勝てないと思う。
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