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第二章
言葉にできない
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殿下と話をして、当然のようにガブさんのところでご飯を食べ。
そしてテオと別れて部屋に戻る。もちろんジゼルちゃんに報告だ。
「ああ、スカイブルー……それは、トリスタン様にどうお伝えするか……」
「でもまだ同一人物じゃない可能性もあるし!」
「そうですが……でも王宮に自由に出入りができるとなると、それはかなり」
「うん、まぁ、それは、うん」
お互いに黙ってしまう。
でもね、ジゼルちゃん。まださらにこの上でひとつあることを足すと、全部また変わるのだ。
よくあるじゃない。
ほら、性別を偽って育てられた王子的な話が。
そう言うと、そんな話聞いたことなんてないと返された。
えー!
「えっ!? ない? おとぎ話とか流行の小説とか」
「私が読んでいたのは古典などなので……その、一般大衆的なものは……」
「えええええ、もったいない!! 面白いのよ、読もう!」
「そ、そんなに?」
「恋物語! ロマンス! 絶対、好き」
レティがそこまで言うなら、とどこかそわそわした様子でジゼルちゃんは頷く。
あ、これ絶対はまるやつ。
でもまぁその話はおいといて!
「だから私が思うに、第一王子は王位をつがない。王様も了承してる、殿下もわかってる。でも貴族は知らない、というのは事実」
「はい」
「その原因が第一王子が実は第一王女だったとする。この国の家督は男子だから」
「そうですね……そもそも継承権がありません」
「そう。だから人前にも出てこないんじゃないかなぁって、ちょっと考えてみたの」
と、この考えに至ったのは本当にぱらっと手に取った恋愛小説の設定がこれだったから。
まぁそれは、王女が王子で、騎士が令嬢だったって感じなんだけども。いやほんと紆余曲折を経て二人がくっつくまでがお前らいい加減にしろみたいな……それは今は、おいといて。
これについては殿下に聞いてもきっとなんの冗談かな、ってはぐらかされる可能性も高い。
「つまりレティは、第一王子のデジレ様が実は女子で。何らかの理由で男子として育ったけど王位を継ぐわけにはいかないので、第二王子の殿下が王位を継ぐ。それは王家内では決まっている事だから問題はない」
「そうそう」
「けど、貴族はそうはいかなくて派閥がある。問題が問題なだけに私たちもお父様に言えることではないですね……」
「うんうん」
「あとデジレ様が何故、怪盗をしているかですね……」
「え、それは多分」
「多分?」
楽しそうだったから、じゃないかなぁ……と、私が言うとジゼルちゃんは瞬く。
そんな理由、あるはずがないといった感じだ。
いやいや、あるときはあるよ。
お兄様系の方だったら楽しそうだったからは可能性として十分にあるよ。
そして夜会に現れたのも、気が向いたからだとか。そういう感じも全然あり得ると私は思う。
だって、別段これといった理由とか、まったくないとは言わないけど。
でもそういう軽いノリなんじゃないかな、と思う。
「これはもう一度殿下に尋ねるしかないですね」
「かなー」
「私たちが変に調査をして、どこかから情報が漏れるよりは、と思います」
「うん、確かに……」
なんだかんだ言って、私たちはまだ子供だ。
できること、できないことはある。
この前のことでちょっとは私も学習しているのです!
「で、でもレティの言うことが本当なら……それはそれで」
「そうね。でもお兄様が本当に懸想しているなら、王女様の方がいいんじゃない?」
「…………そうですね。抵抗があるわけではないのですが」
「私もー。好きなら性別なんて、って思うけどなんかこう、その」
「はい、言葉にできない何かこう」
うんうん、そうそう。
言葉にできないんだけどなんかこう。
なんかこう……想像できないというか。お兄様が右なの左なのと前世知識がある分、なんかこう。
こう!!! 考えちゃうじゃない!!!
何がどうなっても、お兄様の事好きだから嫌いになることはないと思うけど、それとこの気持ちの何かは別問題だと思う。
ええ、本当に。
けどお兄様もお兄様も大変じゃないかしらこれ。
私たちの想像、妄想が本当だった場合。
お兄様の好きな相手は王族。そうそうかなうものではないんじゃないかなぁと思うけど。
お兄様だしな……と、うん。
そしてテオと別れて部屋に戻る。もちろんジゼルちゃんに報告だ。
「ああ、スカイブルー……それは、トリスタン様にどうお伝えするか……」
「でもまだ同一人物じゃない可能性もあるし!」
「そうですが……でも王宮に自由に出入りができるとなると、それはかなり」
「うん、まぁ、それは、うん」
お互いに黙ってしまう。
でもね、ジゼルちゃん。まださらにこの上でひとつあることを足すと、全部また変わるのだ。
よくあるじゃない。
ほら、性別を偽って育てられた王子的な話が。
そう言うと、そんな話聞いたことなんてないと返された。
えー!
「えっ!? ない? おとぎ話とか流行の小説とか」
「私が読んでいたのは古典などなので……その、一般大衆的なものは……」
「えええええ、もったいない!! 面白いのよ、読もう!」
「そ、そんなに?」
「恋物語! ロマンス! 絶対、好き」
レティがそこまで言うなら、とどこかそわそわした様子でジゼルちゃんは頷く。
あ、これ絶対はまるやつ。
でもまぁその話はおいといて!
「だから私が思うに、第一王子は王位をつがない。王様も了承してる、殿下もわかってる。でも貴族は知らない、というのは事実」
「はい」
「その原因が第一王子が実は第一王女だったとする。この国の家督は男子だから」
「そうですね……そもそも継承権がありません」
「そう。だから人前にも出てこないんじゃないかなぁって、ちょっと考えてみたの」
と、この考えに至ったのは本当にぱらっと手に取った恋愛小説の設定がこれだったから。
まぁそれは、王女が王子で、騎士が令嬢だったって感じなんだけども。いやほんと紆余曲折を経て二人がくっつくまでがお前らいい加減にしろみたいな……それは今は、おいといて。
これについては殿下に聞いてもきっとなんの冗談かな、ってはぐらかされる可能性も高い。
「つまりレティは、第一王子のデジレ様が実は女子で。何らかの理由で男子として育ったけど王位を継ぐわけにはいかないので、第二王子の殿下が王位を継ぐ。それは王家内では決まっている事だから問題はない」
「そうそう」
「けど、貴族はそうはいかなくて派閥がある。問題が問題なだけに私たちもお父様に言えることではないですね……」
「うんうん」
「あとデジレ様が何故、怪盗をしているかですね……」
「え、それは多分」
「多分?」
楽しそうだったから、じゃないかなぁ……と、私が言うとジゼルちゃんは瞬く。
そんな理由、あるはずがないといった感じだ。
いやいや、あるときはあるよ。
お兄様系の方だったら楽しそうだったからは可能性として十分にあるよ。
そして夜会に現れたのも、気が向いたからだとか。そういう感じも全然あり得ると私は思う。
だって、別段これといった理由とか、まったくないとは言わないけど。
でもそういう軽いノリなんじゃないかな、と思う。
「これはもう一度殿下に尋ねるしかないですね」
「かなー」
「私たちが変に調査をして、どこかから情報が漏れるよりは、と思います」
「うん、確かに……」
なんだかんだ言って、私たちはまだ子供だ。
できること、できないことはある。
この前のことでちょっとは私も学習しているのです!
「で、でもレティの言うことが本当なら……それはそれで」
「そうね。でもお兄様が本当に懸想しているなら、王女様の方がいいんじゃない?」
「…………そうですね。抵抗があるわけではないのですが」
「私もー。好きなら性別なんて、って思うけどなんかこう、その」
「はい、言葉にできない何かこう」
うんうん、そうそう。
言葉にできないんだけどなんかこう。
なんかこう……想像できないというか。お兄様が右なの左なのと前世知識がある分、なんかこう。
こう!!! 考えちゃうじゃない!!!
何がどうなっても、お兄様の事好きだから嫌いになることはないと思うけど、それとこの気持ちの何かは別問題だと思う。
ええ、本当に。
けどお兄様もお兄様も大変じゃないかしらこれ。
私たちの想像、妄想が本当だった場合。
お兄様の好きな相手は王族。そうそうかなうものではないんじゃないかなぁと思うけど。
お兄様だしな……と、うん。
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