46 / 243
第二章
転機の予感
しおりを挟む
テオと色々話していて、気づいたのはこの壁、穴開けたままはまずい? ということで。
修復はテオの方が上手なので直すことに。穴開けるのも、テオの方が上手だと思う。
なので、わかりにくーい場所に穴をあけた。すぽっと取り外し可能な感じで。
魔術使って、頭の中でしゃべることもできるけど、疲れるし面倒だし。それに私は伝えなくていい事まで伝えちゃいそうだからやらない。
やらないじゃないわ……やれない。
しばらくおとなしくしてるとドアが少しだけ開いた。ふおっ!? と思っていると食事ぽい。
カートが押し入れられ、そしてドアが閉じる。
人の気配がなくなったのでそーっとカートに近づいた。スープとパン。
この待遇でごはんとかまで出されて毒がはいってるとか、思わない。しかし軽率に口にすると隣にいるテオがまた、と呆れるか怒るかなので声かけてからにしよ。
ちなみにルールとして、話しかけてほしい時は歌ってからにしてる。
これはテオからの提案。隣で何かあるときにかぱーっと開けてやっほーって。
私がしそうだからだ。うん、するわ。
「レティ、どうせこれ食べていい? ですよね」
「うん、そう!」
すぽっと壁の一部を外してテオが声をかけてくる。
変な感じはしないからいいよと言ってくれた。魔力流してみても普通だし、とテオは言う。
毒にあたったらあたったで治してあげるよ、とのこと。
「わぁい! いただきます!」
お腹減ってたからもう何でもおいしいー!
あったかいものを食べて私の気持ちも落ち着く。さらわれて平然としていたわけではないわけだ。
やっぱり多少は、不安もあったと思う。
あとお腹減ってたら気持ち的には良くないと私は思ってるから、ちょっとでも満たされるのは重要。
あー、これで普通にすやぁって寝れそう。
「ねね、テオ。今何時かわかる?」
「夜の10時くらい」
「え、わかるの?」
「はい。僕ずっと、時刻みしてますから」
テオ、なんという面倒な……いや、ありがたいんだけど。
時刻み。
それは領地で時間を知る魔術をシリン先生に教えてもらい、それをさらに私たちがカスタマイズしたようなものだ。もともとは時分かりと呼ばれる魔術。しかもこれは屋外、太陽でてる、という状況じゃないと使えない。多分、似たようなことはできる人はやってるだろうから別段オリジナルの、とかいうわけではない。
時間の感覚は、私の前世と一緒。
一日24時間というやつだ。でも時計は、日時計。懐中時計とかもあるけど、お高いもので一般市民は持ってない。子供の私達も、もちろんだ。
でも町の、公共の場所とかには大きな時計が一個くらいは大体置かれてるから時間はだれでもわかる。
で、そのわかるって言うのを自分だけでやってしまうのが時分かり。それはおおよその時間を知る事が出来る感覚的なものだけど。
魔術使わなくても、その辺に棒立ててお日様と方角で時間を見ればいいけど毎度そんなのやってるのめんどう。方角はどっちがーとか。方位磁石あればいいけどそんなの持ち歩くかというと、っていう。
ということで、魔術を使えばなんかよくわかんないけど方角って感覚でわかる。シリン先生曰く、それぞれに方角にそれぞれの波長みたいなのがあるらしい。
それを体の内ではかり、なおかつ太陽の光を浴びていればいつでも時間がわかるので時わかり。
でもこれって外限定じゃない? 面倒だけど、一度時間を把握してからずっと体の内で秒数刻めたらいつでも時間わかるわよねーと私が言ったので。
テオがなるほどと、身の内で秒を刻んだのが始まり。
それからあとはテオが好き勝手に自分に合うように魔術を造ったみたいだから、私はよくわかんない。
多分説明してもらえば私も使えるようになるんだろうけど、時間に追われる生活なんてー!
と、思ったわけ。
「レティもできるからやればいいのに」
「えー。だってそれ時間わかるからそろそろ寝なきゃとか起きなきゃとか、そういうのが、こう」
「……」
「そ、それに私は! その、ずーっと刻むが上手じゃないのよ!」
「上手っていうより、面倒なんだよね」
そう、その通り!
魔術をずっと、維持するってこと。
私は瞬発的な力はすごく高いけど、継続してやると言うことは苦手だ。
逆にテオは、継続することが上手。
「でも僕も、一日解除しないままだから……さすがにこれが一週間続くとずれるかもしれない」
「お日様の光あびないのがそもそも、健康的にどうなのー」
そうだねと頷きながら、テオがきょろきょろする。
何々どうしたのー! と、勢いのまま尋ねるのはやめておいた。
「……なんだかどたばたしている気が……」
レティもちょっと警戒しておいて、と言ってテオは壁を直した。
おっけい! 大丈夫よ! と壁を直す前に言ったら、ものすごく心配そうな顔をされたのだけど。
私そこまで過保護されなくていいのよ。いざとなったら相手ぶっとばせるし。
と、思ってるのもきっとお見通し。ほどほどにねと言われました。
修復はテオの方が上手なので直すことに。穴開けるのも、テオの方が上手だと思う。
なので、わかりにくーい場所に穴をあけた。すぽっと取り外し可能な感じで。
魔術使って、頭の中でしゃべることもできるけど、疲れるし面倒だし。それに私は伝えなくていい事まで伝えちゃいそうだからやらない。
やらないじゃないわ……やれない。
しばらくおとなしくしてるとドアが少しだけ開いた。ふおっ!? と思っていると食事ぽい。
カートが押し入れられ、そしてドアが閉じる。
人の気配がなくなったのでそーっとカートに近づいた。スープとパン。
この待遇でごはんとかまで出されて毒がはいってるとか、思わない。しかし軽率に口にすると隣にいるテオがまた、と呆れるか怒るかなので声かけてからにしよ。
ちなみにルールとして、話しかけてほしい時は歌ってからにしてる。
これはテオからの提案。隣で何かあるときにかぱーっと開けてやっほーって。
私がしそうだからだ。うん、するわ。
「レティ、どうせこれ食べていい? ですよね」
「うん、そう!」
すぽっと壁の一部を外してテオが声をかけてくる。
変な感じはしないからいいよと言ってくれた。魔力流してみても普通だし、とテオは言う。
毒にあたったらあたったで治してあげるよ、とのこと。
「わぁい! いただきます!」
お腹減ってたからもう何でもおいしいー!
あったかいものを食べて私の気持ちも落ち着く。さらわれて平然としていたわけではないわけだ。
やっぱり多少は、不安もあったと思う。
あとお腹減ってたら気持ち的には良くないと私は思ってるから、ちょっとでも満たされるのは重要。
あー、これで普通にすやぁって寝れそう。
「ねね、テオ。今何時かわかる?」
「夜の10時くらい」
「え、わかるの?」
「はい。僕ずっと、時刻みしてますから」
テオ、なんという面倒な……いや、ありがたいんだけど。
時刻み。
それは領地で時間を知る魔術をシリン先生に教えてもらい、それをさらに私たちがカスタマイズしたようなものだ。もともとは時分かりと呼ばれる魔術。しかもこれは屋外、太陽でてる、という状況じゃないと使えない。多分、似たようなことはできる人はやってるだろうから別段オリジナルの、とかいうわけではない。
時間の感覚は、私の前世と一緒。
一日24時間というやつだ。でも時計は、日時計。懐中時計とかもあるけど、お高いもので一般市民は持ってない。子供の私達も、もちろんだ。
でも町の、公共の場所とかには大きな時計が一個くらいは大体置かれてるから時間はだれでもわかる。
で、そのわかるって言うのを自分だけでやってしまうのが時分かり。それはおおよその時間を知る事が出来る感覚的なものだけど。
魔術使わなくても、その辺に棒立ててお日様と方角で時間を見ればいいけど毎度そんなのやってるのめんどう。方角はどっちがーとか。方位磁石あればいいけどそんなの持ち歩くかというと、っていう。
ということで、魔術を使えばなんかよくわかんないけど方角って感覚でわかる。シリン先生曰く、それぞれに方角にそれぞれの波長みたいなのがあるらしい。
それを体の内ではかり、なおかつ太陽の光を浴びていればいつでも時間がわかるので時わかり。
でもこれって外限定じゃない? 面倒だけど、一度時間を把握してからずっと体の内で秒数刻めたらいつでも時間わかるわよねーと私が言ったので。
テオがなるほどと、身の内で秒を刻んだのが始まり。
それからあとはテオが好き勝手に自分に合うように魔術を造ったみたいだから、私はよくわかんない。
多分説明してもらえば私も使えるようになるんだろうけど、時間に追われる生活なんてー!
と、思ったわけ。
「レティもできるからやればいいのに」
「えー。だってそれ時間わかるからそろそろ寝なきゃとか起きなきゃとか、そういうのが、こう」
「……」
「そ、それに私は! その、ずーっと刻むが上手じゃないのよ!」
「上手っていうより、面倒なんだよね」
そう、その通り!
魔術をずっと、維持するってこと。
私は瞬発的な力はすごく高いけど、継続してやると言うことは苦手だ。
逆にテオは、継続することが上手。
「でも僕も、一日解除しないままだから……さすがにこれが一週間続くとずれるかもしれない」
「お日様の光あびないのがそもそも、健康的にどうなのー」
そうだねと頷きながら、テオがきょろきょろする。
何々どうしたのー! と、勢いのまま尋ねるのはやめておいた。
「……なんだかどたばたしている気が……」
レティもちょっと警戒しておいて、と言ってテオは壁を直した。
おっけい! 大丈夫よ! と壁を直す前に言ったら、ものすごく心配そうな顔をされたのだけど。
私そこまで過保護されなくていいのよ。いざとなったら相手ぶっとばせるし。
と、思ってるのもきっとお見通し。ほどほどにねと言われました。
11
お気に入りに追加
3,169
あなたにおすすめの小説
皇太子の子を妊娠した悪役令嬢は逃げることにした
葉柚
恋愛
皇太子の子を妊娠した悪役令嬢のレイチェルは幸せいっぱいに暮らしていました。
でも、妊娠を切っ掛けに前世の記憶がよみがえり、悪役令嬢だということに気づいたレイチェルは皇太子の前から逃げ出すことにしました。
本編完結済みです。時々番外編を追加します。
【完結】実家に捨てられた私は侯爵邸に拾われ、使用人としてのんびりとスローライフを満喫しています〜なお、実家はどんどん崩壊しているようです〜
よどら文鳥
恋愛
フィアラの父は、再婚してから新たな妻と子供だけの生活を望んでいたため、フィアラは邪魔者だった。
フィアラは毎日毎日、家事だけではなく父の仕事までも強制的にやらされる毎日である。
だがフィアラが十四歳になったとある日、長く奴隷生活を続けていたデジョレーン子爵邸から抹消される運命になる。
侯爵がフィアラを除名したうえで専属使用人として雇いたいという申し出があったからだ。
金銭面で余裕のないデジョレーン子爵にとってはこのうえない案件であったため、フィアラはゴミのように捨てられた。
父の発言では『侯爵一家は非常に悪名高く、さらに過酷な日々になるだろう』と宣言していたため、フィアラは不安なまま侯爵邸へ向かう。
だが侯爵邸で待っていたのは過酷な毎日ではなくむしろ……。
いっぽう、フィアラのいなくなった子爵邸では大金が入ってきて全員が大喜び。
さっそくこの大金を手にして新たな使用人を雇う。
お金にも困らずのびのびとした生活ができるかと思っていたのだが、現実は……。
処刑された人質王女は、自分を殺した国に転生して家族に溺愛される
葵 すみれ
恋愛
人質として嫁がされ、故国が裏切ったことによって処刑された王女ニーナ。
彼女は転生して、今は国王となった、かつての婚約者コーネリアスの娘ロゼッタとなる。
ところが、ロゼッタは側妃の娘で、母は父に相手にされていない。
父の気を引くこともできない役立たずと、ロゼッタは実の母に虐待されている。
あるとき、母から解放されるものの、前世で冷たかったコーネリアスが父なのだ。
この先もずっと自分は愛されないのだと絶望するロゼッタだったが、何故か父も腹違いの兄も溺愛してくる。
さらには正妃からも可愛がられ、やがて前世の真実を知ることになる。
そしてロゼッタは、自分が家族の架け橋となることを決意して──。
愛を求めた少女が愛を得て、やがて愛することを知る物語。
※小説家になろうにも掲載しています
ぽっちゃりな私は妹に婚約者を取られましたが、嫁ぎ先での溺愛がとまりません~冷酷な伯爵様とは誰のこと?~
柊木 ひなき
恋愛
「メリーナ、お前との婚約を破棄する!」夜会の最中に婚約者の第一王子から婚約破棄を告げられ、妹からは馬鹿にされ、貴族達の笑い者になった。
その時、思い出したのだ。(私の前世、美容部員だった!)この体型、ドレス、確かにやばい!
この世界の美の基準は、スリム体型が前提。まずはダイエットを……え、もう次の結婚? お相手は、超絶美形の伯爵様!? からの溺愛!? なんで!?
※シリアス展開もわりとあります。
家出した伯爵令嬢【完結済】
弓立歩
恋愛
薬学に長けた家に生まれた伯爵令嬢のカノン。病弱だった第2王子との7年の婚約の結果は何と婚約破棄だった!これまでの尽力に対して、実家も含めあまりにもつらい仕打ちにとうとうカノンは家を出る決意をする。
番外編において暴力的なシーン等もありますので一応R15が付いています
6/21完結。今後の更新は予定しておりません。また、本編は60000字と少しで柔らかい表現で出来ております
村娘になった悪役令嬢
枝豆@敦騎
恋愛
父が連れてきた妹を名乗る少女に出会った時、公爵令嬢スザンナは自分の前世と妹がヒロインの乙女ゲームの存在を思い出す。
ゲームの知識を得たスザンナは自分が将来妹の殺害を企てる事や自分が父の実子でない事を知り、身分を捨て母の故郷で平民として暮らすことにした。
村娘になった少女が行き倒れを拾ったり、ヒロインに連れ戻されそうになったり、悪役として利用されそうになったりしながら最後には幸せになるお話です。
※他サイトにも掲載しています。(他サイトに投稿したものと異なっている部分があります)
アルファポリスのみ後日談投稿しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる