雑多に紡いで

ナギ

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空白猟奇

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 自分はいつのまにか、こんなところにいる。 
 目的のためになったのだ。 
 親衛隊の隊長に。 
 そしてこれだ。 
「お前が指示していたんだろうが」 
 頭は良いのだろうが足りてないと思わずにいられない会長。 
「さっさと言いなさい。退学にしてあげますから」 
 腹黒いのが生温い副会長。 
「まったくだよー一緒の部屋にいるなんてうざいし」 
 むしろお前のほうがうざいと思う会計。 
「おい……決め付けるな。そいつじゃないと俺は思うんだが……」 
 この中では話がわかる書記。 
 とゆうか、俺の遊びに一緒に付き合ってくれている幼なじみ。 
「ひ、ひどいですっ!! ぼ、僕は何も……」 
 してない、ことはない。 
 馬鹿なことはやめるように教育はしたからだ。 
「は、お前の家を潰してもいいんだぜ」 
「それもありですね……僕も協力します」 
「俺もー。あの子に仕掛けてるんだから、それ相応の報い、受けてもらうよー」 
 ああ、馬鹿ばっかりだ。 
 あいつは、お前らの気をひき、その身を持って、協力してくれている。 
 書記のあいつだってそうだ。 
 俺も、この学園から膿をだそうとしている。 
 だが頭が馬鹿では駄目だ。 
 親の力で、どうにかなると思っている。 
「鴇丸、やめだ」 
「あ、やめちゃうんだ。わかったよ」 
 一つ、溜息をついて俺は素をだす。 
 溜息ついて瞳を伏せて、長く息を吐いてまっすぐ、目の前の馬鹿どもを見た。
 今までの気持ち悪い演技をみていたやつらは目を丸くしていた。 
 それは、俺と同時に素に戻った書記のせいでもあるんだろう。 
 固く真面目な雰囲気は消え、へらへらと笑っている。 笑いながら連絡する。
 連絡してるのはあいつにだ。 
「来るって」 
「そうか……あんたたち、憶測で物を言う、証拠無しで決めつけ……守りたいと言いながら守れない。そして親のすねかじり……最悪だ」 
「なっ……」 
「つーか、雰囲気違うし……鴇丸も」 
「俺はこっちが素ー、彼は俺のご主人様ー」 
 キモい、と睨み付ければ嬉しそうな顔して。Mめ。 
「松葉! 松葉ー!」 
 ぱあんとドアを蹴り破るみたいにやってきた、協力者は、俺に抱き着いて擦り寄ってくる。 
「寂しかった! 話し掛けるなとか辛かった! 愛してる!」 
「ああ、そう」 
「つれなーい!」 
 ケタケタと嬉しそうに笑いやがって。 
 ちょっと愛しい。
「南! そんなやつに抱き着くな!」 
「そいつが今まで君を……!」 
「南、こっちおいで!」 
 あ、馬鹿が。 
 やっと待てを解かれてご機嫌だったのに。 
 擦り寄る動きがぴたっと止まった。 
「あ? んだよ、うっせーなぁー……いーい気分だったのによー」 
「南、抑えろ」 
「チッ」 
 わけがわからない、とゆう顔のあいつらを、俺はハッと鼻で笑った。 
「種明かし。俺とこいつと鴇丸は、幼なじみ」 
「違う、松葉は恋人、鴇丸は犬」 
「俺は松葉限定で犬だから。南はクソだー」 
「……二人とも黙ってろ。松葉には、わざとあんたらの気を引いてもらって、親衛隊の問題児を洗い出した。鴇丸も探りいれてもらったりしてな。そして証拠も出揃い、吊しあげようと思ったところでこれだ」 
 あんたたちが呼び出した。 
 邪魔された。 
「俺の計画、狂ったし……吊しあげたら学園やめるつもりだったのに頭がこんなに馬鹿だとは予想外だ」 
 学園の行く先に不安を感じる。 
 ほうっておけない。 
「……お前らが裏で繋がっていたのは……わかった。でもな、お前に馬鹿にされる覚えはねぇ」 
 くいかかるか、会長さん。 
 自分は獅子のつもりだろうか。 
 俺にとっては、ウサギだけどな。 
「ちょい待ちー。話し掛ける前に我が身を振り返れー。南に絡んでる間、仕事片付けたのは、俺よー」 
 鴇丸は意地悪く言う。 
 返す言葉も、ないだろう。 
「あー、仕事しろって言ったけど、しなかったよなー」 
 さてさて、この責任をどうとってくれるのか。
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