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第二章
第25話 十二学区撤退戦(4)『絵』
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4.
深夜の十二学区の市街地上空。
ホタルの手を離れた透哉は吸い込まれる勢いで落下していく。
眼下に広がるのは重く冷たいコンクリートの海。点在する街灯が星のような輝きを見せるが、現実は真逆。
高さは五十メートルを超える。
三階建ての校舎くらいなら容易に乗り降り出来る透哉でも、高さが数倍ともなれば多少話は変わる。
周囲の暗さが邪魔をして、急速に近づく地面との相対的な距離が分からない。
『――うおおおぉぉぉ!?』
余り体感しない高所からのダイブに透哉は絶叫する。
落下した程度で死ぬ体ではないし、激突転倒したところで害はないが、体に無駄な負荷はかけたくない。
透哉は『雲切』を振り抜くと逆手に構えて両手で握り、ビルの外壁に突き刺した。
ガギンッとガラスと金属が喧嘩するような擦過音と火花を撒き散らせながら『雲切』の刀身が壁に埋まる。歯を食いしばり、両足を壁に付き、踏ん張りをきかせて落下の勢いを殺す。
ビルの中腹近くで『雲切』を手放し、空中で一回転を挟んで着地する。
久しぶりの地上に安堵すると、ホタルから安否を伺う通信が入る。
『御波!? 無事なのか!』
『ったく、何勝手に絶望してんだ? 俺がそう簡単にくたばるわけねぇだろ』
『そうか、凄い悲鳴だったから心配したぞ』
『そもそも、この程度の高さなら落ちても死なねーよ』
ホタルの指摘に透哉は顔を強ばらせた。
強がってみたが、通話を持続したままだったので叫び声も筒抜けだったのだ。
『慣れないことをしたから驚いた』
『はははっ、気にするな。あの高さだっ――』
透哉の虚勢を看破したホタルの堪えたような笑い声が、唐突に途切れた。
慌てて上空を見上げるとホタル色の輝きが小さく見え、大きく翻った。
十二学区のデバイスを装備したつばさが有する戦力は、飛行能力がずば抜けていることを除けば未知数。
予期せぬ交戦への焦燥が、透哉を早口にした。
『おい、そっちは大丈夫なのか!?』
『終わらせたら降りるから待っていてくれ、このっ!』
『分かった』
奇襲への驚きはあったが、ホタルに一任することへの不安はなかった。
透哉は視線を地上に戻すと意識を切り替える。
(さ、どうすっかな)
いくら体への反動を顧みずに肉体強化を使えるとしても、跳躍できる高さにも限度がある。ホタルが上空のいざこざに片を付けても、垂直方向に五十メートルの跳躍は不可能だ。
悲しいがある程度の高さまでは、ホタルに降りてきて貰わなければならない。
(だったら少しでも高いところで待たせて貰おうか)
透哉が落ちた場所は人気のない路地裏だ。辺りを見回しても空の駐車場と、室外機や大型のゴミ箱が並んでいるだけだ。
どうやら大型商店の裏側らしく、少し視線を上に向けると営業が終わって照明が消された店舗ロゴの看板が見えた。日中は人が集まる場所だが、人気がないだけで雰囲気はガラリと変わり、不気味さを際立たせている。
外壁の非常階段を見上げながら、屋上へのルートを模索する。
上空からの閃光で店舗ロゴが時折照らされる様子を眺めながら、とりあえず大型商店の屋上に上がることにした。
商店は四階建て。
大した高さではないがホタルを待つには適当な建物だ、透哉はそう考えた。
見知らぬ土地でありながら不安や恐怖はなかった。
現状を軽視しているわけではなく、ホタルの存在が支えていた。
ホタルとはちょっとはぐれただけ。
またすぐに再会できる。
小学生同士が「じゃあ、またね」と別れを告げ、翌日再会するように、何の障害もなく、楽観していた。
空中での襲撃も些細なアクシデントとしか考えていなかった。
そんな最中、影が差す。
非常階段に飛び乗ろうとしたところで追手が、透哉の前に姿を現した。
大型商店の角から飛び出した者は、捜し物を見つけて急に止まったみたいに蹈鞴を踏んだ後、透哉の方に向き直った。
動作だけで「見つけたぞ」と暗に告げている。
透哉が目を凝らした先。
明確に人間とは違うシルエットが浮かび上がる。
研究所前でも接触した『戦犬隊』と呼ばれる魔人で構成された警備組織である。
彼らの主な職務は十二学区の警備であるが、実は特殊な事例以外は表面に出てこない水面下の組織なのだ。
所属と管理は第三学区に当たるが、配属箇所は全ての学区に割り振りがなされていて、十二学区に置いて比較的自由に行き来を許された組織であるが、当然これも透哉が知り得ない知識である。
敵に補足されながら、透哉は隠れよう、とは思わなかった。既に発見されているので、今更背を向け弱さを匂わせる行動を晒したくなかった。
逃げずに眼前に立つことを威嚇とし、相手の動きを見ていた。
片時も目を逸らさず、具に。
しかし、慎重に。
(さっき群がってきた連中の一人か?)
透哉の不動の威嚇に相手が怯んだ。
追跡者の足から、飛び出してきたときに存在した勢いが、何かに躓いたみたいに消えた。
魔人の男は気味の悪い感覚を味わっていた。
時間は少し遡り数分前。
(振り回されてばっかりじゃないか)
『戦犬隊』番場は不平を吐露しながらも、稀代の事件に奇妙な高揚感を抱いていた。
第六学区の研究施設の襲撃を聞きつけ現場に来たが、犯人は先に到着していた『戦犬隊』を淘汰し、飛行デバイスも使わずに空を飛んで逃走したと言うのだ。
緊急招集への遅れから無駄骨を折ると予想していた男にとっては朗報だった。
仲間の負傷を喜ぶつもりは毛頭ないが、夜中にかり出されたからには一働きしなければ損である。早い話、少しでもいいから活躍や貢献がしたかった。
少なくとも、数瞬前まではそんな風に思っていた。
商店の建ち並ぶ表通りから路地裏へと入り、角を曲がった先で見た。
淡く揺れる不気味な人影が、何事もなかったように立っている。
探索効率を上げるために手分けをして探していたが、一人で先に見つけたことが間違いだった。
結果、襲撃者にたった一人で対峙する羽目になったのだから。
番場がまず思ったことは「見つけた」ではなく、「何故?」だった。
対象の襲撃者は、ビルの高層階よりも更に上から落下したと他のメンバーから無線で聞いていたからだ。そのため自分たちは転落死したと思われる亡骸を確認するため、この場に急行するように指示を受けたのだ。
負傷した襲撃者の捕縛、最低でも死体の回収。
なのに、その襲撃者は周囲に立ち並ぶビル群、そのいずれよりも高所から落下したにもかかわらず二足で立ち、追いかけてきた自分を正面切って出迎えたのだ。
あり得ないと高らかに叫びたかった。
魔人であれ人魔であれ、こんな狂った高低差をものともしない人型の生物を認めたくなかった。
人違いを疑った。
しかし、営業時間を過ぎた寂れた路地裏に存在する人影を肯定したくなかった。
幽霊を否定する代わりに、狂気的な人間の悪意の受け入れを強要されるみたいに。
この時点で番場のキャパシティは限界を超えていた。
だからこそ番場は、目を逸らすように現状への理解を放棄した。
(常識的に考えてあり得ない! あんな高さから落下して無事なはずがない!)
未知への恐怖を冷静な分析で解き、目前の異常を拒絶するように経験と常識を取った。
見た目には平然と立っているが、実際は落下の衝撃でまともに動くことも出来ないと勝手に結論づける。
規格外の存在、その化けの皮を剥いだ気になっていた。
正体さえ分かれば魔人である自分は人魔に勝てると考えていた。
事実、魔人と人魔は一対一なら十分に分がある点は間違いではない。
番場の判断は驕りでも思い上がりでもない。
一般的に警察が機動隊や軍隊を頼るように、十二学区の警察は『戦犬隊』を頼るのだ。
頼られる物の立場として襲撃者へと挑まなければならなかった。
番場が様々な考えを巡らせているなどつゆ知らず、それが、淡く揺れる不気味な人影がこちらの動向を探るように動く。
番場はそれだけで戦艦に砲身を向けられたように震え上がった。
隊員二人に未確認の武器で大怪我を負わせた襲撃者が、自分に狙いを付けたと、誤認した。
(ビビるなよ、俺! 平気そうに立っているだけで、実は動けないほどの手負いで……だから、今はチャンスだ!)
番場は再度自らに言い聞かせ、その身に宿る身体能力を余すところなく跳躍に変え、一気に距離を詰めた。
己を鼓舞する言葉と、使命感に背中を押されたことを悔いるまで時間はかからなかった。
深夜の十二学区の市街地上空。
ホタルの手を離れた透哉は吸い込まれる勢いで落下していく。
眼下に広がるのは重く冷たいコンクリートの海。点在する街灯が星のような輝きを見せるが、現実は真逆。
高さは五十メートルを超える。
三階建ての校舎くらいなら容易に乗り降り出来る透哉でも、高さが数倍ともなれば多少話は変わる。
周囲の暗さが邪魔をして、急速に近づく地面との相対的な距離が分からない。
『――うおおおぉぉぉ!?』
余り体感しない高所からのダイブに透哉は絶叫する。
落下した程度で死ぬ体ではないし、激突転倒したところで害はないが、体に無駄な負荷はかけたくない。
透哉は『雲切』を振り抜くと逆手に構えて両手で握り、ビルの外壁に突き刺した。
ガギンッとガラスと金属が喧嘩するような擦過音と火花を撒き散らせながら『雲切』の刀身が壁に埋まる。歯を食いしばり、両足を壁に付き、踏ん張りをきかせて落下の勢いを殺す。
ビルの中腹近くで『雲切』を手放し、空中で一回転を挟んで着地する。
久しぶりの地上に安堵すると、ホタルから安否を伺う通信が入る。
『御波!? 無事なのか!』
『ったく、何勝手に絶望してんだ? 俺がそう簡単にくたばるわけねぇだろ』
『そうか、凄い悲鳴だったから心配したぞ』
『そもそも、この程度の高さなら落ちても死なねーよ』
ホタルの指摘に透哉は顔を強ばらせた。
強がってみたが、通話を持続したままだったので叫び声も筒抜けだったのだ。
『慣れないことをしたから驚いた』
『はははっ、気にするな。あの高さだっ――』
透哉の虚勢を看破したホタルの堪えたような笑い声が、唐突に途切れた。
慌てて上空を見上げるとホタル色の輝きが小さく見え、大きく翻った。
十二学区のデバイスを装備したつばさが有する戦力は、飛行能力がずば抜けていることを除けば未知数。
予期せぬ交戦への焦燥が、透哉を早口にした。
『おい、そっちは大丈夫なのか!?』
『終わらせたら降りるから待っていてくれ、このっ!』
『分かった』
奇襲への驚きはあったが、ホタルに一任することへの不安はなかった。
透哉は視線を地上に戻すと意識を切り替える。
(さ、どうすっかな)
いくら体への反動を顧みずに肉体強化を使えるとしても、跳躍できる高さにも限度がある。ホタルが上空のいざこざに片を付けても、垂直方向に五十メートルの跳躍は不可能だ。
悲しいがある程度の高さまでは、ホタルに降りてきて貰わなければならない。
(だったら少しでも高いところで待たせて貰おうか)
透哉が落ちた場所は人気のない路地裏だ。辺りを見回しても空の駐車場と、室外機や大型のゴミ箱が並んでいるだけだ。
どうやら大型商店の裏側らしく、少し視線を上に向けると営業が終わって照明が消された店舗ロゴの看板が見えた。日中は人が集まる場所だが、人気がないだけで雰囲気はガラリと変わり、不気味さを際立たせている。
外壁の非常階段を見上げながら、屋上へのルートを模索する。
上空からの閃光で店舗ロゴが時折照らされる様子を眺めながら、とりあえず大型商店の屋上に上がることにした。
商店は四階建て。
大した高さではないがホタルを待つには適当な建物だ、透哉はそう考えた。
見知らぬ土地でありながら不安や恐怖はなかった。
現状を軽視しているわけではなく、ホタルの存在が支えていた。
ホタルとはちょっとはぐれただけ。
またすぐに再会できる。
小学生同士が「じゃあ、またね」と別れを告げ、翌日再会するように、何の障害もなく、楽観していた。
空中での襲撃も些細なアクシデントとしか考えていなかった。
そんな最中、影が差す。
非常階段に飛び乗ろうとしたところで追手が、透哉の前に姿を現した。
大型商店の角から飛び出した者は、捜し物を見つけて急に止まったみたいに蹈鞴を踏んだ後、透哉の方に向き直った。
動作だけで「見つけたぞ」と暗に告げている。
透哉が目を凝らした先。
明確に人間とは違うシルエットが浮かび上がる。
研究所前でも接触した『戦犬隊』と呼ばれる魔人で構成された警備組織である。
彼らの主な職務は十二学区の警備であるが、実は特殊な事例以外は表面に出てこない水面下の組織なのだ。
所属と管理は第三学区に当たるが、配属箇所は全ての学区に割り振りがなされていて、十二学区に置いて比較的自由に行き来を許された組織であるが、当然これも透哉が知り得ない知識である。
敵に補足されながら、透哉は隠れよう、とは思わなかった。既に発見されているので、今更背を向け弱さを匂わせる行動を晒したくなかった。
逃げずに眼前に立つことを威嚇とし、相手の動きを見ていた。
片時も目を逸らさず、具に。
しかし、慎重に。
(さっき群がってきた連中の一人か?)
透哉の不動の威嚇に相手が怯んだ。
追跡者の足から、飛び出してきたときに存在した勢いが、何かに躓いたみたいに消えた。
魔人の男は気味の悪い感覚を味わっていた。
時間は少し遡り数分前。
(振り回されてばっかりじゃないか)
『戦犬隊』番場は不平を吐露しながらも、稀代の事件に奇妙な高揚感を抱いていた。
第六学区の研究施設の襲撃を聞きつけ現場に来たが、犯人は先に到着していた『戦犬隊』を淘汰し、飛行デバイスも使わずに空を飛んで逃走したと言うのだ。
緊急招集への遅れから無駄骨を折ると予想していた男にとっては朗報だった。
仲間の負傷を喜ぶつもりは毛頭ないが、夜中にかり出されたからには一働きしなければ損である。早い話、少しでもいいから活躍や貢献がしたかった。
少なくとも、数瞬前まではそんな風に思っていた。
商店の建ち並ぶ表通りから路地裏へと入り、角を曲がった先で見た。
淡く揺れる不気味な人影が、何事もなかったように立っている。
探索効率を上げるために手分けをして探していたが、一人で先に見つけたことが間違いだった。
結果、襲撃者にたった一人で対峙する羽目になったのだから。
番場がまず思ったことは「見つけた」ではなく、「何故?」だった。
対象の襲撃者は、ビルの高層階よりも更に上から落下したと他のメンバーから無線で聞いていたからだ。そのため自分たちは転落死したと思われる亡骸を確認するため、この場に急行するように指示を受けたのだ。
負傷した襲撃者の捕縛、最低でも死体の回収。
なのに、その襲撃者は周囲に立ち並ぶビル群、そのいずれよりも高所から落下したにもかかわらず二足で立ち、追いかけてきた自分を正面切って出迎えたのだ。
あり得ないと高らかに叫びたかった。
魔人であれ人魔であれ、こんな狂った高低差をものともしない人型の生物を認めたくなかった。
人違いを疑った。
しかし、営業時間を過ぎた寂れた路地裏に存在する人影を肯定したくなかった。
幽霊を否定する代わりに、狂気的な人間の悪意の受け入れを強要されるみたいに。
この時点で番場のキャパシティは限界を超えていた。
だからこそ番場は、目を逸らすように現状への理解を放棄した。
(常識的に考えてあり得ない! あんな高さから落下して無事なはずがない!)
未知への恐怖を冷静な分析で解き、目前の異常を拒絶するように経験と常識を取った。
見た目には平然と立っているが、実際は落下の衝撃でまともに動くことも出来ないと勝手に結論づける。
規格外の存在、その化けの皮を剥いだ気になっていた。
正体さえ分かれば魔人である自分は人魔に勝てると考えていた。
事実、魔人と人魔は一対一なら十分に分がある点は間違いではない。
番場の判断は驕りでも思い上がりでもない。
一般的に警察が機動隊や軍隊を頼るように、十二学区の警察は『戦犬隊』を頼るのだ。
頼られる物の立場として襲撃者へと挑まなければならなかった。
番場が様々な考えを巡らせているなどつゆ知らず、それが、淡く揺れる不気味な人影がこちらの動向を探るように動く。
番場はそれだけで戦艦に砲身を向けられたように震え上がった。
隊員二人に未確認の武器で大怪我を負わせた襲撃者が、自分に狙いを付けたと、誤認した。
(ビビるなよ、俺! 平気そうに立っているだけで、実は動けないほどの手負いで……だから、今はチャンスだ!)
番場は再度自らに言い聞かせ、その身に宿る身体能力を余すところなく跳躍に変え、一気に距離を詰めた。
己を鼓舞する言葉と、使命感に背中を押されたことを悔いるまで時間はかからなかった。
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