両想いになると死ぬという呪いにかかっていますが、政略結婚なので関係ないはずですが、婚約者の様子がおかしいんですが?

 バレンシア王国は二百年に一度、魔物の活動が非常に活発になる時期がある。

 もちろん、準備は怠りなかった。

 はずだった。

 だが魔物の勢いは収まらず、苦肉の策として魔剣を解放することとなる。

 それはガートラント侯爵家に代々伝えられており、最初は聖剣だったが、数代前の侯爵の代からとある呪いがかけられてしまった。

 ――愛する人と両想いとなるとその持ち主の命が絶たれる。

 アメリアは第2王子と婚約していたが、それは幼いころからの取り決めであり、魔剣の呪いは関係ないハズだった。

 第2王子のトリスタン様は銀の髪に青い瞳をしており、第2騎士団を率いており、実力もあり、そこに驕るところは少しもなかった。

 アメリアは昔からこの銀の王子のことが好きだったが、出会った当初、トリスタンにそっけない態度を取られていたため、気持ちを表に出すことはなかった。

 そして魔物の勃発である。

 ガートラント侯爵家は魔剣を貸しだすことに異論はなかったが、余計な呪いがあるのでどうしようか、と家族会議をしていると、アメリアが、

「でしたら私が持ち主として契約を結べば問題ないでしょう」

 と告げ、すぐに魔剣の持ち主として契約してしまう。

 魔剣の力を引き出すのにアメリアでも支障はなかったが、このことを聞いたトリスタンはかなり狼狽しているようだった。

アメリア(……? どうしたのかしら?)

トリスタン(何てことをしてくれたんだっ!!)



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