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45 side エラ
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「中身を入れ替えた……?」
エミリーが驚くのも無理はない、確かにメイドがエミリーに渡した薬瓶の中身は惚れ薬だった。
私が中身を入れ替えさせるまではーー。
マリベルが作っていたのは精神に作用する薬。
世間では惚れ薬と言われる物を作っていた。実際の惚れ薬の効果は、体温を上げ、積極的にさせて少しの勇気を与えるぐらいの効果しかない。
だが、世間一般の認識の惚れ薬は、服用した人物が最初に見た人物に恋に落ちる、と思われている。
おそらくエミリーも惚れ薬には世間一般に思われている効果があると思っているはずだ。
そして、私は思った。メイドから惚れ薬だと渡されて、エミリーはどうするか?
もしも、エミリーが惚れ薬を誰かに飲ませたら?
エミリーが惚れさせたい人物。
思い浮かんだのはステファン・ギャレットただ一人だった。
エミリーは自宅軟禁中で、彼に会うことは出来ない。飲ませる心配はないとは思うけれど、エミリーが誰かに飲ませるかもしれないのを考えて、中身を害のない薬に入れ替えさせた。
効果はほんの少し時間、飲んでも身体に害はないけれど確実に効く、自分の本当の気持ちを話してしまう自白剤にーー。
エミリーがステファン・ギャレットに飲ませないのを願っていたのだけれど……。エミリーは自白剤を彼に飲ませた後、睡眠薬を過剰摂取させ昏睡状態に陥らせた。
早くに発見されたからよかったものの、発見が遅れていたら危険な状態だったらしい。
どうして早く見つかったのか?それはメイドからエミリー達がどこにいるか聞いていた私が、保安官に情報を流したから。
そして、発見された二人はそれぞれ病院と留置所に送られることとなった。
情報ギルドを通して、保安官から捜査の情報を聞いてはいたけれど、エミリーが保安官には話さなかったことで気になることがある。
「中身を入れ替えた話は重要ではありません。私はあなたが何を言われたか知りたいの」
「何を知りたいのですか……?」
詳しく言うと、ステファン・ギャレットが何を言ったのか知りたいのだけれど、彼は病院で療養中だ。いくらマリベルを傷付けた彼でも、病人を気遣う優しさはある。
だから、エミリーに聞くしかない。
幸い、話しが出来る状態のエミリーが目の前にいる、この機会を逃す訳にはいかない。
「惚れ薬だと思って薬を飲ませたステファン・ギャレットに、何を言われたの?」
「………………あっ……」
エミリーは私の言葉に、目を見開いて焦点の合わない目した。その目は私を通して私ではない誰かを見ているようだ。
あぁ、やっぱりこうなってしまうのね。
保安官の話では、エミリーはステファン・ギャレットに何を言われたのか頑なに話そうとしなかったり、錯乱したりしたらしい。
自白剤を飲まされたステファン・ギャレットが、エミリーに何を言ったのかは分からないけれど、彼女にとって思い出したくもない程のことを言われたんだろう。
そうじゃないと、愛する人に睡眠薬を過剰摂取させるなんて危険なことはしないはずだ。
エミリーが驚くのも無理はない、確かにメイドがエミリーに渡した薬瓶の中身は惚れ薬だった。
私が中身を入れ替えさせるまではーー。
マリベルが作っていたのは精神に作用する薬。
世間では惚れ薬と言われる物を作っていた。実際の惚れ薬の効果は、体温を上げ、積極的にさせて少しの勇気を与えるぐらいの効果しかない。
だが、世間一般の認識の惚れ薬は、服用した人物が最初に見た人物に恋に落ちる、と思われている。
おそらくエミリーも惚れ薬には世間一般に思われている効果があると思っているはずだ。
そして、私は思った。メイドから惚れ薬だと渡されて、エミリーはどうするか?
もしも、エミリーが惚れ薬を誰かに飲ませたら?
エミリーが惚れさせたい人物。
思い浮かんだのはステファン・ギャレットただ一人だった。
エミリーは自宅軟禁中で、彼に会うことは出来ない。飲ませる心配はないとは思うけれど、エミリーが誰かに飲ませるかもしれないのを考えて、中身を害のない薬に入れ替えさせた。
効果はほんの少し時間、飲んでも身体に害はないけれど確実に効く、自分の本当の気持ちを話してしまう自白剤にーー。
エミリーがステファン・ギャレットに飲ませないのを願っていたのだけれど……。エミリーは自白剤を彼に飲ませた後、睡眠薬を過剰摂取させ昏睡状態に陥らせた。
早くに発見されたからよかったものの、発見が遅れていたら危険な状態だったらしい。
どうして早く見つかったのか?それはメイドからエミリー達がどこにいるか聞いていた私が、保安官に情報を流したから。
そして、発見された二人はそれぞれ病院と留置所に送られることとなった。
情報ギルドを通して、保安官から捜査の情報を聞いてはいたけれど、エミリーが保安官には話さなかったことで気になることがある。
「中身を入れ替えた話は重要ではありません。私はあなたが何を言われたか知りたいの」
「何を知りたいのですか……?」
詳しく言うと、ステファン・ギャレットが何を言ったのか知りたいのだけれど、彼は病院で療養中だ。いくらマリベルを傷付けた彼でも、病人を気遣う優しさはある。
だから、エミリーに聞くしかない。
幸い、話しが出来る状態のエミリーが目の前にいる、この機会を逃す訳にはいかない。
「惚れ薬だと思って薬を飲ませたステファン・ギャレットに、何を言われたの?」
「………………あっ……」
エミリーは私の言葉に、目を見開いて焦点の合わない目した。その目は私を通して私ではない誰かを見ているようだ。
あぁ、やっぱりこうなってしまうのね。
保安官の話では、エミリーはステファン・ギャレットに何を言われたのか頑なに話そうとしなかったり、錯乱したりしたらしい。
自白剤を飲まされたステファン・ギャレットが、エミリーに何を言ったのかは分からないけれど、彼女にとって思い出したくもない程のことを言われたんだろう。
そうじゃないと、愛する人に睡眠薬を過剰摂取させるなんて危険なことはしないはずだ。
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