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33 邪魔する者

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 人が多い通りに、私を呼ぶ声が響き渡る。

 先程までの喧騒が嘘かのように静まり返り、道行く人は足を止め、何事かと周囲を伺う。


 鬼気迫る声で私を呼ぶ声の方向に振り向くと、そこにはここにはいるはずがない人がいた。


 どうして……貴方がここにいるの?


 私が呆然と見つめると、目が合った彼は顔を綻ばせる。


「シャーロット、会いたかった……」


 そう言った彼は、帽子と黒のコートを羽織り、帽子から覗く目は暗く、顔はやつれていた。


「エド、ワード………」


 私が名前を呟くと、笑顔を浮かべたエドワードが一歩踏み出す。


 足を止めていた人達は、知り合いかと私達に興味をなくし、動き出した。


 近づこうとするエドワードに、私がビクッと身体を震わせると、エドワードは動きを止め、悲しそうな顔をした。


 どうして、ここにエドワードがいるの?
 今は謹慎中で家に居るはずじゃ……。


 私が困惑していると、「シャーロットが勘違いをしているみたいだから、誤解を解きたくて会いに来たんだ」そう言って、エドワードは再び近づいてくる。


 私が勘違いをしてる?誤解を解く?エドワードは何を言っているの?


 動揺して状況を飲み込めず、エドワードが近づいてくるのをぼんやりと見る事しか出来ないでいる。
 

 エドワードが近づいてくると、私の前に人影が出来る。


 私の視界からエドワードが消えて、副所長の背中が見える。


 私をエドワードから守るように、副所長が前に出ると、エドワードは「邪魔をするな」と不機嫌さを滲む声色で言った。


「何のようだ」

「シャーロットと話しをしたいだけだ」


 「だから、そこを退け」と言うエドワードに副所長は動こうとしない。


「僕達は話さないといけないんだ。部外者は邪魔をするな」

「話しをする?シャーロットと貴様が?」


 副所長が笑って言うと、「お前……」と言うエドワードの声色を聞いて、不穏な空気を察した私は前に出る。


「二人ともやめて下さい」


 言い争いになりそうなのを止めて、エドワードに向き合うと、エドワードは「シャーロット」と笑顔で私を見た。


「エドワード、私達に話し合う事なんてないわ。だって、私達はもう終わってしまったんだから」


 私がそう告げると、エドワードは絶望の顔をした。
 

 エドワードの顔を見ていられなくなった私は、目を伏せると、エドワードが「………………ない」と小さな声で言った。


 顔を上げると、エドワードは虚な目をしていた。
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