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39 ジェレミーの秘密

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「また会えて嬉しいよ」

「ご招待いただき、ありがとうございます。マーティン様」


 マーティン様から、招待の手紙を受け取った次の日、私はマーティン様の屋敷に来ていた。


 以前と同じ部屋にマーティン様と、私。以前と違うのは、副所長がここにはいないということだけ。


「ジェレミーに、君の事を気にかけてくれと言われてね」


 副所長が私のことを気にかけてくれていることが、嬉しいと思う反面、私には連絡がないのを寂しく思う。

 忙しいからかもと思ったけれど、手紙の一通もないなんて……。

 
「そう、なんですね……」


 マーティン様とはやり取りをしていることに、驚きを隠せないでいると。

 マーティン様は、私を心配そうに見た。


「ジェレミーと何かあったのかい?」


 マーティン様の言葉に、私は困ったように笑った。

 心配してくれるマーティン様に、何と言ったらいいか考える。

 マーティン様は、副所長と昔から親しいから、何か知っているかもしれない。

 でも、マーティン様に私的なことを話してもいいのだろうか。


「ジェレミーの事かい?」


 言葉を詰まらせていると、マーティン様の方から聞いてくる。

 マーティン様には、私が何のことで悩んでいるのか、お見通しらしい。


「……はい。ここ何日か連絡が取れないんです」


 マーティン様の言葉に私は、手をギュッと握り話す。


 副所長がラミア国に帰り、会って話したいことがあるから待っていてくれ、と言ったきり、連絡が取れていないことを話した。  


 副所長が私のことを、どう思っているのか、いつまで待っていればいいのか不安だ、と言うと。


 私の話を黙って聞いていたマーティン様は、立ち上がると、机から紙の束を持ってきた。


「これを読むといい」

「なんですか?これは?」


 差し出された紙に、首を傾げる。


「今日、発刊されたラミア国の王室通信だ」


 どうして、マーティン様がラミア国の王室通信を?
 

 不思議に思いながら、受け取って読んでみると、私は目を見開く。


 震える手で王室通信を握り、マーティン様を見ると、マーティン様は真剣な目で私を見ていた。


 王室通信には副所長のことが書かれていた。


「これは……本当、ですか……?」


 嘘だと言って欲しい、という気持ちで聞くけれど、マーティン様は頷く。


 マーティン様が頷くのを見て、再び皇室通信を見ると、『魔塔の副所長 ジェレミー・エルバートが、実は王弟だった!!』の見出しが大きく書かれていた。
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