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クリスタルに吸い込まれる
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俺の体が風の塊にぶつかる。いくつもの空気の層をこの身が切る。切断されてバラバラになった空気は、ちぎられ、殺され、風になる。
鱗の上を冷たい感触が滑る。まるで風が手で俺に触れているみたいだ。身体中を空気で包まれている。
「すっげえええええ!」
俺は人生で初めて空を飛んだ。空を壊すように、縦横無尽に駆け回る。雪が降ったときにテンションが上がった犬みたいだ。
人間は次第に、感覚や感情が薄くなってくる。外から得ることができる刺激に慣れてくるからだ。
大人の大半は、雪が降ると煩わしいと感じるだけだ。子供の時はあれだけ喜んでいたのに。
今の俺は、生まれて初めて雪に触れる子供そのものだった。普通の人なら胸の中に子供時代の思い出が溢れかえるだろう。
だが、俺には幼少期の思い出などない。俺は、アリシアに生み出された存在だからだ。
だけど、人生で初めて雪を見るのってこんな感じなのかなって思う。
その感情は、いくら歳を取っても色あせない大切なものなのかもしれない。
俺は空中を走りながら、竜の世界を見渡した。ここはおそらくオオカミ大陸の遥か上空。
ずっと下の方にはオオカミ大陸が見えている。
転移系の能力で、“竜の世界に踏み入れた者”をここにワープさせる仕組みがあるのだろう。
青空には、無数のクリスタルが浮遊している。青くて半透明。俺はそのうちの一つに触れてみた。
「うおっ! これ重力を発生させている!」
翼を近づけると、クリスタルから引力のようなものが発生していることがわかった。
あんまり強くはないが、引っ張られる感覚だけがある。おそらくこれを使って、浮島を作っているんだな。
俺は面白くなってさらに翼でクリスタルを突っつこうとした。
「触るな! 中に引きずり込まれるぞ!」
パスんっ!
誰かに頭を叩かれた。
「いてっ! ん?」
俺のことを叩いたのは、絵で描かれた竜だった。
クレヨンで描かれた竜は、目は赤、翼は黄色、胴体は緑、足は青。ぐにゃぐにゃの線が乱雑に輪郭を生み出している。
「お前アルかっ?」
「そうだ! さっさと竜王のところに向かおう」
「嫌だっ!」
俺はアルも仕事もほっぽらかして、遊ぶことに決めた。
鱗の上を冷たい感触が滑る。まるで風が手で俺に触れているみたいだ。身体中を空気で包まれている。
「すっげえええええ!」
俺は人生で初めて空を飛んだ。空を壊すように、縦横無尽に駆け回る。雪が降ったときにテンションが上がった犬みたいだ。
人間は次第に、感覚や感情が薄くなってくる。外から得ることができる刺激に慣れてくるからだ。
大人の大半は、雪が降ると煩わしいと感じるだけだ。子供の時はあれだけ喜んでいたのに。
今の俺は、生まれて初めて雪に触れる子供そのものだった。普通の人なら胸の中に子供時代の思い出が溢れかえるだろう。
だが、俺には幼少期の思い出などない。俺は、アリシアに生み出された存在だからだ。
だけど、人生で初めて雪を見るのってこんな感じなのかなって思う。
その感情は、いくら歳を取っても色あせない大切なものなのかもしれない。
俺は空中を走りながら、竜の世界を見渡した。ここはおそらくオオカミ大陸の遥か上空。
ずっと下の方にはオオカミ大陸が見えている。
転移系の能力で、“竜の世界に踏み入れた者”をここにワープさせる仕組みがあるのだろう。
青空には、無数のクリスタルが浮遊している。青くて半透明。俺はそのうちの一つに触れてみた。
「うおっ! これ重力を発生させている!」
翼を近づけると、クリスタルから引力のようなものが発生していることがわかった。
あんまり強くはないが、引っ張られる感覚だけがある。おそらくこれを使って、浮島を作っているんだな。
俺は面白くなってさらに翼でクリスタルを突っつこうとした。
「触るな! 中に引きずり込まれるぞ!」
パスんっ!
誰かに頭を叩かれた。
「いてっ! ん?」
俺のことを叩いたのは、絵で描かれた竜だった。
クレヨンで描かれた竜は、目は赤、翼は黄色、胴体は緑、足は青。ぐにゃぐにゃの線が乱雑に輪郭を生み出している。
「お前アルかっ?」
「そうだ! さっさと竜王のところに向かおう」
「嫌だっ!」
俺はアルも仕事もほっぽらかして、遊ぶことに決めた。
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