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38.義弘お兄ちゃんの懸案事項(10)
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「とにかく、だ。仮に来年結婚するとしても、今の俺たちは親子なんだから、あまり混乱させるような話はしない方がいいと思う」
「じゃあ、付き合ってるって話もしちゃダメ?」
「それこそ驚かれると思うぞ。いいかい? こういうのは段階を踏むのが大切なんだよ」
「ダンカイ?」
「そう。話す順番をすっ飛ばした結果、もし親父たちに反対でもされたら、俺たちの結婚自体が無くなるかも知れないんだからね」
「えー! そんなのやだぁ」
立ち上がったままのミオが、ブンブンと首を横に振る。
かようなリアクションからは、ミオは本気で俺のお嫁さんになるつもりだという事が伺い知れるわけだが、複雑だなぁ。
そこまで慕ってくれているのが嬉しいと思う反面、一体、俺の何がミオを引きつけているのかが分からないのである。
世の中には、俺よりも若くてイケメンな男が綺羅星のごとく存在するのだが、うちのショタっ娘ちゃんは、その誰にも一切の興味を示さず、お兄ちゃん一筋を貫き通している。
以上の事から察するに、ミオは男性が好きというよりも、恋をした相手がたまたま男の俺だった、という解釈が正しいようだ。
だとすると、だぞ。もしも四年前、あの児童養護施設で出逢ったのが俺じゃなくて佐藤だったら、ミオは佐藤に恋していたのだろうか?
……いや、さすがにそれだけは無いか。
佐藤の奴、仕事はできても女にだらしないから、仮に頭を撫でられたとしても、子猫さながらの直感でもって、浮気性なのを見透かして警戒したに違いない。
まぁ、それは裏を返すと、ミオは俺に全く女っ気が無いのを察知していた、という事にもなるわけだが。
そう考えると何だか切なくなってきたな。
「ボク、絶対お兄ちゃんのお嫁さんになりたいよ。でも段階を踏むって、どうすればいいの?」
「段階自体は簡単な事だよ。親父とお袋に反対されないよう、徐々に外堀を埋めていくだけでいいのさ」
「ソトボリ? もうお兄ちゃん、さっきから難しい言葉ばっかり使ってるー」
「悪い悪い。じゃあ分かりやすく説明すると、俺がミオと結婚するのを認めてもらえるよう、少しずつ話をしていくって事だな」
「それ、すごく大変そうだね……」
「じゃあ、付き合ってるって話もしちゃダメ?」
「それこそ驚かれると思うぞ。いいかい? こういうのは段階を踏むのが大切なんだよ」
「ダンカイ?」
「そう。話す順番をすっ飛ばした結果、もし親父たちに反対でもされたら、俺たちの結婚自体が無くなるかも知れないんだからね」
「えー! そんなのやだぁ」
立ち上がったままのミオが、ブンブンと首を横に振る。
かようなリアクションからは、ミオは本気で俺のお嫁さんになるつもりだという事が伺い知れるわけだが、複雑だなぁ。
そこまで慕ってくれているのが嬉しいと思う反面、一体、俺の何がミオを引きつけているのかが分からないのである。
世の中には、俺よりも若くてイケメンな男が綺羅星のごとく存在するのだが、うちのショタっ娘ちゃんは、その誰にも一切の興味を示さず、お兄ちゃん一筋を貫き通している。
以上の事から察するに、ミオは男性が好きというよりも、恋をした相手がたまたま男の俺だった、という解釈が正しいようだ。
だとすると、だぞ。もしも四年前、あの児童養護施設で出逢ったのが俺じゃなくて佐藤だったら、ミオは佐藤に恋していたのだろうか?
……いや、さすがにそれだけは無いか。
佐藤の奴、仕事はできても女にだらしないから、仮に頭を撫でられたとしても、子猫さながらの直感でもって、浮気性なのを見透かして警戒したに違いない。
まぁ、それは裏を返すと、ミオは俺に全く女っ気が無いのを察知していた、という事にもなるわけだが。
そう考えると何だか切なくなってきたな。
「ボク、絶対お兄ちゃんのお嫁さんになりたいよ。でも段階を踏むって、どうすればいいの?」
「段階自体は簡単な事だよ。親父とお袋に反対されないよう、徐々に外堀を埋めていくだけでいいのさ」
「ソトボリ? もうお兄ちゃん、さっきから難しい言葉ばっかり使ってるー」
「悪い悪い。じゃあ分かりやすく説明すると、俺がミオと結婚するのを認めてもらえるよう、少しずつ話をしていくって事だな」
「それ、すごく大変そうだね……」
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