120 / 832
19.いざ、リゾートホテルへ(3)
しおりを挟む
ミオが部屋着に着替えている間に、俺はトーストと目玉焼き、そしてコーンポタージュスープを食卓に並べる。
あいにくサラダは切らしていたので、激安だったキュウリの皮をむき、適当にスライスして皿に盛り付けておいた。
「ミオ、ご飯できてるから食べよっか」
「はーい」
現在の時刻は午前七時を少し回ったところだ。
事前連絡で、ホテルへのチェックインはお昼の二時に行うと決めてある。
渡船乗り場への移動や、離島に到着してからホテルに行くまでの時間などを考慮すると、昼食は早めに取り、余裕を持って出かけた方がいいだろう。
「今日のラジオ体操、人は結構来てたかい?」
「うん。いろんな学年の子がいっぱい来てたよ。みんな暑い暑いって言ってたけど」
「はは、そっか。まぁ暑くなったのは太陽がよく照っている証拠だし、晴れになってよかったな」
ミオは笑顔で頷きながら、出来たての目玉焼きをもぐもぐしている。
この朝食が終わったら、昨日のうちに荷物を詰め込んだキャリーバッグの中身を、再度チェックしよう。
今日から宿泊するホテルはかなり遠くにあるため、まず我が家から、車で三十分程の場所にある港の渡船乗り場に行く必要がある。
そこから定期的に出ている渡船に揺られて離島へと渡るのだが、その移動時間はおよそ二十分くらいかかるらしい。
二十分というと結構な時間に思えるんだけど、島がそれだけ離れた場所にある事と、まさか競艇のモーターボートじゃあるまいし、客を乗せたままエンジン全開でぶっ飛ばすわけにもいかないから、これは仕方ないのだろう。
で、島の船舶ターミナルからは、送迎用のマイクロバスに乗って十五分ほど移動して、ようやくホテルにたどり着けるのである。
かような手段でもってようやく行ける場所なため、何か一つ忘れ物をしたからといって、じゃあ車で取りに帰ります、なんて簡単な話にはならない。
なので、持ち込む物の確認は、時間の許す限り、しつこいほどにやっておくべきなのだ。
「ミオ、リュックに忘れ物は無い?」
「うん。着替える服とショーツと、あと水着でしょ。それから日記帳に、ウサちゃんのぬいぐるみも入れたよー」
ミオはウサちゃんパークに行った時、おみやげに買ってあげたぬいぐるみを後生大事にしている。
俺が家にいない時は、ぬいぐるみの事を俺だと思って抱っこして、さみしさを紛らわしているのだ。
それほど大切な存在なので、家に置いていくわけにはいかない。旅行に行くならぬいぐるみも一緒だ。
もはや俺たちにとって、このウサちゃんは家族も同然になっていたのである。
「俺の方はどうかなぁ。身分証明書や渡船のチケットは財布に入れてあるから大丈夫だけど、他は忘れてないよな」
先に朝食を終えた俺は、部屋の片隅に置いてあるキャリーバッグを開け、持ち込む物の確認を行う。
着替えの服と下着、それから濡れた体を拭くためのタオルの収納は抜かりない。
ミオに選んでもらった俺の水着や二人分のビーチサンダル、そして魚釣りをする時に必要な偏光グラスもちゃんと二つある。
それからスマートフォンの充電器と、もしもの時のためにモバイルバッテリーも購入しておいた。
現地で泳ぐ時は二人とも海水パンツ一枚になるため、先日買いだめしておいた日焼け止めも二本ほど持っていく。
あとは、ミオが渡船や送迎バスの揺れで体調を崩さないよう、酔い止めの薬も忍ばせてある。
……まぁこんなもんだろう。
ホテルに各種アメニティが充実している事は分かっているので、ヒゲ剃りやシャンプー、歯磨きセットなどを持ち込む必要は無い。
よし、これで三度目の荷物チェックもオーケーだ。
ホテルのチェックインを済ませた後はできるだけ予定通りに行動したいし、英気を養うためにも、今のうちに少し休んでおくか。
あいにくサラダは切らしていたので、激安だったキュウリの皮をむき、適当にスライスして皿に盛り付けておいた。
「ミオ、ご飯できてるから食べよっか」
「はーい」
現在の時刻は午前七時を少し回ったところだ。
事前連絡で、ホテルへのチェックインはお昼の二時に行うと決めてある。
渡船乗り場への移動や、離島に到着してからホテルに行くまでの時間などを考慮すると、昼食は早めに取り、余裕を持って出かけた方がいいだろう。
「今日のラジオ体操、人は結構来てたかい?」
「うん。いろんな学年の子がいっぱい来てたよ。みんな暑い暑いって言ってたけど」
「はは、そっか。まぁ暑くなったのは太陽がよく照っている証拠だし、晴れになってよかったな」
ミオは笑顔で頷きながら、出来たての目玉焼きをもぐもぐしている。
この朝食が終わったら、昨日のうちに荷物を詰め込んだキャリーバッグの中身を、再度チェックしよう。
今日から宿泊するホテルはかなり遠くにあるため、まず我が家から、車で三十分程の場所にある港の渡船乗り場に行く必要がある。
そこから定期的に出ている渡船に揺られて離島へと渡るのだが、その移動時間はおよそ二十分くらいかかるらしい。
二十分というと結構な時間に思えるんだけど、島がそれだけ離れた場所にある事と、まさか競艇のモーターボートじゃあるまいし、客を乗せたままエンジン全開でぶっ飛ばすわけにもいかないから、これは仕方ないのだろう。
で、島の船舶ターミナルからは、送迎用のマイクロバスに乗って十五分ほど移動して、ようやくホテルにたどり着けるのである。
かような手段でもってようやく行ける場所なため、何か一つ忘れ物をしたからといって、じゃあ車で取りに帰ります、なんて簡単な話にはならない。
なので、持ち込む物の確認は、時間の許す限り、しつこいほどにやっておくべきなのだ。
「ミオ、リュックに忘れ物は無い?」
「うん。着替える服とショーツと、あと水着でしょ。それから日記帳に、ウサちゃんのぬいぐるみも入れたよー」
ミオはウサちゃんパークに行った時、おみやげに買ってあげたぬいぐるみを後生大事にしている。
俺が家にいない時は、ぬいぐるみの事を俺だと思って抱っこして、さみしさを紛らわしているのだ。
それほど大切な存在なので、家に置いていくわけにはいかない。旅行に行くならぬいぐるみも一緒だ。
もはや俺たちにとって、このウサちゃんは家族も同然になっていたのである。
「俺の方はどうかなぁ。身分証明書や渡船のチケットは財布に入れてあるから大丈夫だけど、他は忘れてないよな」
先に朝食を終えた俺は、部屋の片隅に置いてあるキャリーバッグを開け、持ち込む物の確認を行う。
着替えの服と下着、それから濡れた体を拭くためのタオルの収納は抜かりない。
ミオに選んでもらった俺の水着や二人分のビーチサンダル、そして魚釣りをする時に必要な偏光グラスもちゃんと二つある。
それからスマートフォンの充電器と、もしもの時のためにモバイルバッテリーも購入しておいた。
現地で泳ぐ時は二人とも海水パンツ一枚になるため、先日買いだめしておいた日焼け止めも二本ほど持っていく。
あとは、ミオが渡船や送迎バスの揺れで体調を崩さないよう、酔い止めの薬も忍ばせてある。
……まぁこんなもんだろう。
ホテルに各種アメニティが充実している事は分かっているので、ヒゲ剃りやシャンプー、歯磨きセットなどを持ち込む必要は無い。
よし、これで三度目の荷物チェックもオーケーだ。
ホテルのチェックインを済ませた後はできるだけ予定通りに行動したいし、英気を養うためにも、今のうちに少し休んでおくか。
0
お気に入りに追加
92
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
ダンス練習中トイレを言い出せなかったアイドル
こじらせた処女
BL
とある2人組アイドルグループの鮎(アユ)(16)には悩みがあった。それは、グループの中のリーダーである玖宮(クミヤ)(19)と2人きりになるとうまく話せないこと。
若干の尿意を抱えてレッスン室に入ってしまったアユは、開始20分で我慢が苦しくなってしまい…?
男だけど女性Vtuberを演じていたら現実で、メス堕ちしてしまったお話
ボッチなお地蔵さん
BL
中村るいは、今勢いがあるVTuber事務所が2期生を募集しているというツイートを見てすぐに応募をする。無事、合格して気分が上がっている最中に送られてきた自分が使うアバターのイラストを見ると女性のアバターだった。自分は男なのに…
結局、その女性アバターでVTuberを始めるのだが、女性VTuberを演じていたら現実でも影響が出始めて…!?
三限目の国語
理科準備室
BL
昭和の4年生の男の子の「ぼく」は学校で授業中にうんこしたくなります。学校の授業中にこれまで入学以来これまで無事に家までガマンできたのですが、今回ばかりはまだ4限目の国語の授業で、給食もあるのでもう家までガマンできそうもなく、「ぼく」は授業をこっそり抜け出して初めての学校のトイレでうんこすることを決意します。でも初めての学校でのうんこは不安がいっぱい・・・それを一つ一つ乗り越えていてうんこするまでの姿を描いていきます。「けしごむ」さんからいただいたイラスト入り。
風邪ひいた社会人がおねしょする話
こじらせた処女
BL
恋人の咲耶(さくや)が出張に行っている間、日翔(にちか)は風邪をひいてしまう。
一年前に風邪をひいたときには、咲耶にお粥を食べさせてもらったり、寝かしつけてもらったりと甘やかされたことを思い出して、寂しくなってしまう。一緒の気分を味わいたくて咲耶の部屋のベッドで寝るけれど…?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる