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15.ショタっ娘と妊娠(1)
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妊娠とは、何であるか。
これだけだと一見哲学的な問いのように読めるが、今回の場合はなんて事はない。
まだ性教育を受けていない子供にその単語の意味を問われたので、分かりやすく、かつ、オブラートに包んで解説すればいいのだ。
ただ、その包み方を俺は知らない。
知らないのに軽々しく約束をしてしまったのは、俺の判断ミスとしか言いようがない。
そもそも、どうしてこうなったのかというと、今日の夕方に歯科医院へ検診に行った際、問診票に〝あなたは現在妊娠中ですか?〟という質問があったからだ。
で、その妊娠が何かを知らないミオは、大人の俺によみがなと意味を尋ねてきたのだが、さすがに受付のお姉さんや他の患者さんがいる室内で、その事を説明するのは小っ恥ずかしかった。
なので俺は、家に帰ったら教えると答えたのである。
そして検診を終えて帰宅し、晩ご飯も食べ終わり、現在に至る。
「ニンシンってなーに?」
純真無垢なショタっ娘であるミオの、知的探究心からくる質問。
困ったなぁ、結婚すらした事もない俺が、妊娠について解説する羽目になるとは。
コウノトリが運んできたとか、キャベツ畑から生まれた、などという寓話のような答えは、何ら意味を持たない。
なぜなら、赤ちゃんが生まれる前の状態が妊娠なのであって、もう生まれた後の話をしても、それは答えになっていないからである。
仕方ないな、ここは腹をくくって、俺なりに直接的な表現を避けて解説する事にしよう。
「えー、妊娠ってのはだな。要するに、赤ちゃんができたって事なんだよ」
「赤ちゃんができた?」
「そう」
「それってどういう意味?」
あれ、そこから説明しなきゃいけなかったか。
「赤ちゃんっていうのは、ミオよりもずっとずっと小さい子供のことなんだけど、それは分かる?」
「うん。その『赤ちゃんができた』のが、どういう状態なのかなって思って」
「簡単に言うと、お腹の中に赤ちゃんができる事を妊娠と言うわけだね」
「え。赤ちゃんって、お腹の中にできるんだ?」
「そうだよ。で、待合室にいた時も話したけど、その妊娠をするのは、女の人だけなんだよ」
「ふーん。でも、どうして女の人だけなの?」
どうしてだろうね、とはぐらかす事は可能だが、それでは質問の答えにはならないし、きっとミオも納得してくれないだろう。
「それは、俺たちみたいな男と、女の人では体のつくりが違うからだね」
「体のつくり……」
ミオが首をひねって考え込む。
ここで理解してくれれば説明は終わりなんだけど、何だか、もう一波乱ありそうな気がする。
「でも、クラスメートの女の子たちとボクって、何か違うようには見えないんだけどなぁ」
「まぁそうだな。ミオくらいの小さな子なら、まだそんなに変わらないように見えるかも知れないけどね。実は結構違ってるものなんだよ」
「うーん」
ミオは〝体のつくり〟がどう異なるのか分からない様子なのか、着ているシャツをめくり上げ、自分のお腹をさすってみせた。
これだけだと一見哲学的な問いのように読めるが、今回の場合はなんて事はない。
まだ性教育を受けていない子供にその単語の意味を問われたので、分かりやすく、かつ、オブラートに包んで解説すればいいのだ。
ただ、その包み方を俺は知らない。
知らないのに軽々しく約束をしてしまったのは、俺の判断ミスとしか言いようがない。
そもそも、どうしてこうなったのかというと、今日の夕方に歯科医院へ検診に行った際、問診票に〝あなたは現在妊娠中ですか?〟という質問があったからだ。
で、その妊娠が何かを知らないミオは、大人の俺によみがなと意味を尋ねてきたのだが、さすがに受付のお姉さんや他の患者さんがいる室内で、その事を説明するのは小っ恥ずかしかった。
なので俺は、家に帰ったら教えると答えたのである。
そして検診を終えて帰宅し、晩ご飯も食べ終わり、現在に至る。
「ニンシンってなーに?」
純真無垢なショタっ娘であるミオの、知的探究心からくる質問。
困ったなぁ、結婚すらした事もない俺が、妊娠について解説する羽目になるとは。
コウノトリが運んできたとか、キャベツ畑から生まれた、などという寓話のような答えは、何ら意味を持たない。
なぜなら、赤ちゃんが生まれる前の状態が妊娠なのであって、もう生まれた後の話をしても、それは答えになっていないからである。
仕方ないな、ここは腹をくくって、俺なりに直接的な表現を避けて解説する事にしよう。
「えー、妊娠ってのはだな。要するに、赤ちゃんができたって事なんだよ」
「赤ちゃんができた?」
「そう」
「それってどういう意味?」
あれ、そこから説明しなきゃいけなかったか。
「赤ちゃんっていうのは、ミオよりもずっとずっと小さい子供のことなんだけど、それは分かる?」
「うん。その『赤ちゃんができた』のが、どういう状態なのかなって思って」
「簡単に言うと、お腹の中に赤ちゃんができる事を妊娠と言うわけだね」
「え。赤ちゃんって、お腹の中にできるんだ?」
「そうだよ。で、待合室にいた時も話したけど、その妊娠をするのは、女の人だけなんだよ」
「ふーん。でも、どうして女の人だけなの?」
どうしてだろうね、とはぐらかす事は可能だが、それでは質問の答えにはならないし、きっとミオも納得してくれないだろう。
「それは、俺たちみたいな男と、女の人では体のつくりが違うからだね」
「体のつくり……」
ミオが首をひねって考え込む。
ここで理解してくれれば説明は終わりなんだけど、何だか、もう一波乱ありそうな気がする。
「でも、クラスメートの女の子たちとボクって、何か違うようには見えないんだけどなぁ」
「まぁそうだな。ミオくらいの小さな子なら、まだそんなに変わらないように見えるかも知れないけどね。実は結構違ってるものなんだよ」
「うーん」
ミオは〝体のつくり〟がどう異なるのか分からない様子なのか、着ているシャツをめくり上げ、自分のお腹をさすってみせた。
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