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番(つがい)

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服をすべて取り上げられ寝台に横たえられたリラは、身体中を優しく撫でていくディランの吐息と手の感触に甘い吐息を零した。
部屋中にふたりのフェロモンが充満し、混ざり合ったその香りに酩酊しそうだ。
解毒薬の副作用のせいで痩せ細ってしまった身体でも、ディランの興味は削がれなかったようで、未だ服の中で張りつめたモノは固く熱を持ち続けている。

「ご、しゅじ……さま……」
「ディランだ」

胸の皮膚を強く吸い上げ、赤い花びらを散らしながら、ディランが吐息交じりに囁く。

「名前を、呼んでほしい……」

懇願され、リラは彼の名前を繰り返した。

「ディ……、ラン……さま……」

彼の名を唇に刻めば、嬉しい、と言うかのように肌に彼の唇が寄せられる。

「リラ……、愛してる……」

その声は、欲情したせいだけではなく、震えていた。
泣きそうになっている彼の頭に細い指を添えると、胸の粒にまるで赤子のように吸い付かれた。
柔らかい髪に指を絡めてゆっくりと撫でると、背中に腕を差し込まれ、強く抱きしめられる。
ディランが唇を離せば、胸の粒は真っ赤に腫れ上がり、固く立ち上がっていた。

「リラ……リラ……」

彼はもう片方も口に含み、チュウチュウと音を立てて吸い上げてくる。
そこからは何も出ないなずなのに、甘い蜜を吸い上げているかのように、彼の表情は徐々に穏やかになっていった。
彼に吸われて真っ赤に腫れ上がった方を指の腹で押し潰され、両方を同時に責められると、身体の奥がズンッと重くなり、両足を擦り合わせて、リラは吐息を吐き出した。

「こっちも、触って良い……?」

胸の粒に舌を這わせたディランに、擦り合わせた太ももの間に手を入れられた。
言葉にするのは恥ずかしくてコクコク、と頷けば、彼は優しく足の間に手を差し込むと、蜜壺の入り口を指でなぞっていく。

「っ……!」

びくっ、と身体を震わせると、彼は動きを止め、リラの顔を覗き込んできた。

「ここは、嫌?」

ふるふる、と頭を左右に振る。

「じゃあ、ここを舐めるのはどう?」
「え……?」
「キミの身体をもっと知りたい……。ねぇリラ。恥ずかしがらないで、足を開いて……?」

顔中にキスをされながら再び懇願され、リラはおずおずと足を開いた。
すると彼は身体をその間に滑り込ませ、リラの腹部に顔を寄せ、徐々にずり下がっていく。

「ディラ……!」

駄目、と言うより早く、ぴんと立ち上がった花芯に舌を寄せられ、甘く吸い上げられた。

「ぁっ! あぁ!!」

一瞬目の前が真っ白に弾け、何かが吹き出した。

「もしかして、吹いちゃった……?」

忙しなく肩で呼吸していると、嬉しそうなディランの声が聞こえた。
だがその意味がわからず、頭の中に「?」のマークが飛ぶ。

「あぁ……そうか。リラは初めてだもんね……」

口の端に滴る透明な蜜を舌で妖艶に舐め取りながら、ディランは蜜壺にチュッとキスをする。

「女の子はね、セックスのとき、ここからお潮を吹くことがあるんだ」

ちゅっ、と花弁を吸い上げられ、透明な蜜を溢れ出させる愛壺に舌を差し込まれた。

「ぁ……! そこ、汚……!」
「汚くないよ。すごく、甘い……」

熱い舌を抽挿され、身体の奥がジンジンと痺れていく。

「リラ……、指、挿れていい……?」

そう尋ねながらも、リラの返事を待たず彼はそこに長い人差し指を挿れ、内壁を擦り始めた。

「っ! ぁ……!」

発情期のせいだろう。
身体が柔らかくなっており、彼の指を感じても痛みは一切なかった。
むしろもっと奥に欲しくて、腰が自然と動いてしまう。

「可愛い……」

ディランが小さく呟く。
だがその声は、ぐじゅぐじゅと鳴り響く淫猥な水音のせいでリラの耳には届いていなかった。

「指、増やすね……?」

一度中から指を引き抜かれ、今度は二本の指が添えられた。
ゆっくりと指が身体の中に挿っていき、中を掻き乱していく。
その手つきはあくまでも優しい。
だからだろうか。
全然足りなかった。

「ゃ……、あ……」

もっと激しく突き上げてほしくて、リラはディランの手に自分のソレを添える。
すると彼はぴたりと動きを止め、不安そうにリラの顔を見上げてきた。

「嫌だった……? やめる……?」

違う、とリラは激しく頭を左右に振り、ディランの手首を掴むと、中に埋まっていた指を自ら引き抜き、三本に増やすとそれをまた蜜壺へと押し当てた。

「も、っと……」

自分が何をしているのか、そして何を言っているのか、もうリラに自覚はない。
ただ本能のまま、もっと欲しいと訴えた。

「奥……、もっと……」

はっ、と息を吐き出して強請ると、彼は喉を鳴らし、そして唇の端を吊り上げる。

「うん。わかった……。でも一回、身体の位置を変えようか」

手首を掴むしなやかな手をやんわりと解き、寝台の上に腰かけるとリラを起して背中越しに抱きしめた。

「いっぱい気持ちよくしてあげるから……」

リラの耳元でそう囁き、真っ赤に腫れ上がった片方の胸の粒を摘まみ、リラの蜜壺に三本の指を挿入すると激しく奥を掻き乱した。

「あぁぁぁぁっ!!」

甲高い悲鳴を上げ、リラの背中が仰け反る。
内壁の一点を集中的に突かれ、胸の粒を引っ張られる。
ぷしゃっ、ぷしゃっ、と何かが断続的に蜜壺から吹き出す様にディランの吐息も荒くなり、無理な態勢でもう片方の胸の粒を強く吸い上げた。
彼の口と指に両方の胸を捕らえられ、身体の奥を激しく揺さぶられ、性急に絶頂へと押し上げられる。

「んんんんっ……!!」

身体中の熱が上へ上へと駆け上り、花弁が大きく膨れ上がり、そしてパンッ、と弾け、リラは全身から力を抜き、カタカタと身体を震わせる。

「上手にイけたね……」

ぺろっ、と胸の粒を舐めながらディランが囁く。
しとどに濡れた指が蜜壺から引きずり出され、ディランは自分のベルトに手をかけ、だが、寛げようとはしなかった。

「ディ、ラ……?」

朦朧とする意識の中、リラは自然と背中に擦りつけられる太い楔に指を添えた。

「やっぱり駄目だ……」

ギリッ、とディランは下唇を歯が食い込むほど噛みしめる。
リラは緩慢に振り返り、彼の唇から滴り落ちる赤い雫をそっと舌で舐め取った。

「い、や……?」

こんな状況でも、彼はリラを抱けないというのだろうか。
だがなぜ。
愛しているというなら、リラを彼のオメガだと決めたのであれば、理性など関係なく本能的に抗えなくなるはずだ。
それなのに……。

「僕は、キミを……、壊したくない……ッ……!」

ディランから、どうしてリラを抱かなかったのか、その詳細も聞いている。
アルファが発情期ラットの状態になると、オメガを孕ませやすくするよう肉棒の形は鋭く反り返り抜けづらくなり、子種をその身体に注ぎ続けたい、という衝動が抑えられなくなるのだと。
そしてディランはその衝動が他のアルファよりも強いらしく、今まで何人ものオメガを傷つけてきたと。
だが、リラはそれを聞いて、激しい嫉妬の感情しかなかった。
今まで彼にそうやって抱いてもらえたオメガら羨ましくて、妬ましくて、怒りにも似たどす黒い何かが沸き上がって、恨みすら抱いてしまう程だ。

「私……、へいき……」
「平気じゃない……! 僕はリラを愛したい……! 愛したい、のに……!!」

ディランはリラの身体に触れている最中も、その衝動を理性だけで食い止めていていたのだろう。
それが彼の火傷しそうなほどの肌の熱で伝わってくる。
そしてそれは、ディランのリラに対する底なし沼よりも深い愛の証拠でもあった。
リラを欲しているのに我慢しているディランの姿が、堪らなく愛おしくなる。
そして彼のすべてを、受け入れたいと思った。それに、リラには彼を受け入れられる、という確証のない自信もあるのだ。

(だって、ずっと身体が疼いている……。ディラン様が欲しい……。全部……私のモノにしたい……)

不意に沸いたその想いに、リラは抗うことなく従うことにした。

「ディラン様……」

そっと身体を反転させ、リラはディランの腰に跨り直し、彼のベルトに手を掛けた。

「リラ……!」
「ダメ」

止めようとするディランの唇に指を添え、リラは優しく微笑んだ。
自分から彼の唇に啄むようなキスをし、それにディランが気を取られている隙にベルトを緩め、張りつめたモノをやんわりと引きずり出す。
はっ、と吐息を零し、リラは彼のソレに視線を落とした。
初めて見る肉棒は他の人間が目にすれば禍々しく、恐怖の大王が持つ凶器に見えることだろう。
だがリラには、その鋭く形を変えた肉棒すら、ただ愛おしい彼の一部にしか見えなかった。

「ディラン……愛してます……」

彼の首に片腕を回し、もう片方の手で肉棒を支えて蜜壺の入り口に尖端を押し付ける。

「リラ……」

ディランは泣きそうな顔をしているが、本気で突き放されることはなかった。
リラの細い腰に両手を添え、支えようとしてくれている。
逞しい首元に額を擦り付け、リラはゆっくり腰を落とした。

「ぁ! あぁっ!!」

太いモノが、身体の奥に挿っていく。
だがそこに苦痛はなく、リラは歓喜で震えた。

「リラ……! っ……、無理、は……」
「ぅうん……。気持ち、いい……」

ゆっくりと息を吐き、彼の根元まで身体の奥に迎え入れると、身体が、心が、満たされて行くのを感じた。

はい……ったぁ……」

ほっと息を吐く。
やっと一つになれて、彼を受け入れることができて、嬉しくて仕方がない。
ぽろぽろと涙を零しながらリラはディランに抱き着き、彼の頬に顔を近づけ犬猫のように頬を摺り寄せる。

「嬉しい……、ディラン……。私……これで、もう、あなたのモノ……」

絶対に、他の誰にもこのアルファは渡さない。
口から出た言葉とは裏腹に、頭の中にそんなどす黒い感情が沸き上がる。

「苦しく、ない……?」

心配そうに尋ねられ、リラは頭を左右に振った。

「嬉しい……、ディラン……、もっと……」

彼のすべてをこの身体で受け止める。
だからもう恐れないでほしい。
そんな思いを込め、リラは自ら腰を動かした。

「くっ、ぁ……!」

ディランが低く唸る。

「ディラン……、ディー……、中……欲しい……。あなたの……全部が、欲しい……」

淫猥な水音を響かせながら抽挿を繰り返すと、ある瞬間から突然、ディランが下から突き上げてきた。

「あぁぁ!」

甘い嬌声を上げて啼けば、ディランは堰を切ったようにリラの腰をがっしりと掴み、激しく腰を打ち付けてくる。
彼の話ではこうする度に他のオメガたちは苦痛の悲鳴を上げ泣き喚いていたというが、全くそんなことはなかった。

「リラ……、リラァ……!」

不意に視界が反転し、寝台の上に押し倒され、胸に付くほど深く足を折り曲げられると、太く長い肉棒で身体の奥を乱暴に突き上げられた。
荒々しく息をし、鋭い眼光で見降ろされても尚、リラには歓喜しかなく、身体が勝手に彼の肉棒をキュッと締め付けてしまう。

「リラ……、リラ……出したい……。中……ここに……」

ぐっ、と腹部を押され、子袋がキュンッと収縮した。

「ここに僕のを突き刺して、孕むまで、出したい……」

フーフー、と獣のように荒い息を吐きながら、ディランは一際強く奥を抉った。

「はっ……!」

奥の窄まった場所を突き上げられ、内臓が押し上げられる息苦しさに呼吸が止まりそうになる。

「ここ……、ここだ……。リラの子袋……」

固く閉ざされた場所を無理やりこじ開けようと、彼の鋭い尖端がそこを突き上げてくる。
そこをこじ開けられたら、そして直接彼の熱い迸りを感じられたら……。
想像しただけで背筋が粟立ち、子宮口がぱくっ、と彼の尖端に吸い付いてしまいそうになる。

「ん……、欲しい、から……。わた、し……」

獣のように歯を食いしばり、最後の理性でそれを思い留まろうとしているディランの頬に、リラは手を伸ばした。

「来て……」

その一言をきっかけに、リラの身体がしなやかに沿った。

「はっ……! ぁ……!!」

一気に子宮口をこじ開けられ、鋭いエラで身体の奥で根を張る。
そして今度は、子宮の中を何度も突き上げられた。内臓が押し上げられ息ができない。

「はっ、ぁ……くっ……うっ……!」

ディランが低く唸ながらパンパンと腰を激しく打ち付け、リラを身体ごと犯していく。
その度、子宮が身体の外に引きずり出されそうになるが、それすら快楽に変わっていく。

「ぁ、ぁあ……! ディー……、ディラ……ぁああっ!」

彼の動きに合わせて愛おしい名を呼び続ける。
すると身体の奥で彼の肉棒が激しく震え、子宮の中に熱い迸りが大量に注ぎ込まれて行く感覚にリラは首を仰け反らせた。
薬の副作用で痩せてしまった身体だからか、彼の大量の精を受け止め、腹部が僅かに盛り上がり、わずかに遅れてリラも絶頂に達するが、ディランは腰を止めようとしない。

「ぁ、あ……! 待……って……」

イきながら突き上げられ、うわ言のようにそう口走ってしまったが、止まってほしくはなかった。
だがもうディランは理性を飛ばしてしまったのか、それともリラの本心に気づいてなのか、抽挿を止めることはなく、むしろさらに激しく奥を突き上げてくる。
その間、リラは何度も意識を飛ばしかけた。
脳を焼き切るような快楽を与え続けられ、何度も絶頂に導かれ、身体の奥に熱を注ぎ込まれる。
体勢を変えて背後から足を抱えるように彼の腰に座らされ、下から突き上げられると、自分の体重も相まってさらに奥まで子宮の天井を貫かんばかりに肉棒で抉られた。
それと同時に、ディランの唇がリラの首筋に寄せられ、うなじに舌が這って行く。

「リラ……、ここ、噛みたい……」

甘く皮膚を噛まれ、リラの喉がひくりと鳴る。

「僕のだ……、リラ……、キミは、僕のモノだ……!」

一際深く奥を突き上げられ、二度目の精を注ぎ込まれるのと、首に鈍い痛みを感じたのはほぼ同時だった。
血が滴る程強くうなじを噛まれたその時、リラは今まで以上の快楽と歓喜の嵐に繋がった場所から勢いよく潮を吹き出した。

「ぁ……、あぁ……」

ぴくぴくと全身が痙攣し、ディランを呑み込んた場所がギュッと収縮する。それはまるで、もう離さない、とでも言うかのような身体の変化で、リラの身体自体が彼とさらに深く長時間繋がるために形を変えているようだった。

「ぅ、ぐ……ッ……!」

ディランが苦しそうに小さく唸る。
だがすぐに熱く官能的な息遣いに変わり、その呼吸が血の滲むうなじにかかると、リラはまた激しく潮を吹いてしまった。
繋がったままふたりは肩で息をして呼吸を整え、自然と口づけを交わす。
そしてそれから三日三晩、激しくお互いを求めあった。
もう二度と離れない。離さない。
そう、伝え合うように――。
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