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六 桜の命の終わり
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「……! 惣」
蒼い顔で戻ってきた弟を見て、悟が腰を浮かせた。
「惣、湖雪様は……」
惣一郎は戸を閉めると、そのままくずおれるように座り込んだ。
「……悟」
「どうした?」
「駄目だ。もう、俺は保たない……」
「惣? 一体何があったんだ? お前が負っているそれは……」
「……鬼の、呪を受けた。全身が蝕まれれば、俺は滅ぶ。虹琳寺に戻る気なんて欠片もないが、湖雪の許に居ることも出来ない」
「―――!」
悟は息を呑んだ。惣一郎に重なって見えた黒い影。惣一郎より薄いが、悟も鬼の血。異質なものを感知することが出来る。
あの黒い影は――呪いだったのか。
「お前が……死ぬということか……?」
「端的に言えばな。恐らくあと少しだ。湖雪との未来は……俺は望めない。だから悟。虹琳寺を継ぐのはお前だ。俺が死ぬまでこの話は引き伸ばしてほしい。そうすれば母上が何を言おうとお前が当主だ。だから」
「惣! 俺は当主位などいらない。お前がなるべきと思ってきたが……お前は何より湖雪様の許から離れては駄目だ」
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