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3 動き出す当主
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しおりを挟む「わかった、そうしよう。うちは基本的にこの牡丹たちがそういうことを請け負ってくれているから、牡丹、任せていいか?」
「承知致しました」
牡丹がうなずく。
「では牡丹、冬湖嬢に怪我などないか確認を。何かあれば呼ぶように。俺は隣の部屋に行って来る」
「はい」
再び牡丹がうなずいたのを見て、白桜は立ち上がった。
隣の部屋に入ると、また土下座かましているものを見てしまった。
『もももも、申し訳ない……! この涙雨、二度も行き倒れなど……!』
鳥の姿だが。鳥ってそんな恰好出来るの? と思うほど人間じみた土下座をしている。
「ええと……あ、白桜様」
白桜が来たことに気づいた華樹が安堵の表情を見せた。
「成功したか?」
白桜は華樹の隣に片膝をつく。
涙雨が目覚めていないと聞いていた白桜は、華樹に霊符(れいふ)を渡していた。
前回涙雨に使ったのと似たようなものだ。
黒藤の文そのものではないが、大きな霊力を秘めた霊符。
普通の人間やあやかしがそんなものを使われたら力の巨大さに器が形を保てなくなってしまうが、涙雨ならば「おやつ」程度だろう。
「その……俺が行使する前に目覚められまして……」
「自力で?」
ということは、外傷などはないということだろうか。
「はい」
「そうか。涙雨殿、何か変わったところはないか?」
『むう。この涙雨、何度も御門殿のお世話になってしまい申し訳ない思いでいっぱいだ。涙雨は何もない。至って元気だ』
と、土下座の姿勢から立ち上がって、翼をはたはたと動かす。
それからラジオ体操のように体をのばしはじめた。
うん、元気なのはわかった。でも鳥としては間違っている気がするんだ。
白桜は眉をしかめる。涙雨の霊力が少なくっているのは、波動からわかる。
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