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3 動き出す当主
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しおりを挟む「……当主になる気が、あるかどうか」
「ええ。黒藤様は当主になる気がないように装っていると見えてしまうときがあります。紅緒(くれお)姫のこともあり、理由は色々と考えられますが……そんな黒藤様と、未知数の真紅嬢。私は今、どちらにも傾けないでいる状態です。ですから心配の芽を摘むために、黒藤様が今口にしている理由をつぶしていこうと、こうして出てきたわけです」
逆仁殿、苦労するなあ。白桜は素直にそう思った。その原因が幼馴染であることは残念だ。
「……俺の許嫁問題は、御門内でどうにかなると思います。すぐにとはいかないかもしれませんが、祖父も気にかけていることです……」
「ああ、白里が気を廻しているのなら大丈夫ですな。じじいが余計な口出しをしてしまいました」
ご勘弁くだされ、と顔を和ませる逆仁。白桜は、いえ、と口元を和ませた。
+
逆仁が辞去した別邸の最奥、終(つい)の堂に座した白桜は、自分の手を見た。
白く細い指。女性とも、華奢な男性とも、どちらも通るだろう。
白桜は男当主だ。ならばいずれ妻を取るのだろう。
だが、表向きにも白桜には許嫁などいない。それは白里の方針だ。
白桜を産んで間もなく亡くなった白桃に代わって、白桜を育てたのは白里だ。
白桜を男として育てていながら、すべては尽くしていない。
御門流当主の白桜には、許嫁がいてもおかしくはない。
むしろいた方が問題は少ないはずだ。
白里が空席としたそれを、今一番にどうこうできるのは白桜自身だ。
白里はあくまで先代当主。今もある程度の力はあるが、御門流においては現当主である白桜の方が決定権はある。
白桜が、己で女性を許嫁とするか、それとも別の道を取るか、試されているような気がする。
……白桜は自分に、性別というものを感じられない。
対面上は男で通しているが、男性の体ではないし、かといって女性の機能もない。
どっちつかずの半端者。結婚の話などの将来の話が出てくると白桜は、自分が御門当主にふさわしくないんじゃないかと思ってしまう。
直系でつないできた御門流。
白桜にはその後継者が必要だ。
だが、自分が子を産むことは出来ないし、子をなすことも出来ない。
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彼らはみな「アルトラ使い」であり、ウツロはアルトラ使いを管理・監督する組織によって保護されていたのだ。
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<作者から>
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