133 / 166
16 咲桜と流夜の結婚①
13
しおりを挟む「るな」
「そうじゃないよっ! まさか誘拐!?」
笑満が顔を真っ青にして叫ぶ。
「そんなことしないよ。捕まえる側の人がわんさかいるのに」
「じゃあ――まさかお前の――」
顔を紫色にして引き攣る咲桜。
花嫁の表情じゃない。
「るなの年齢考えてよ。俺はずっと咲桜たちと一緒だっただろ」
頼はいつも通りのんたりとしている。遙音が止めに入った。
「頼、どうしたか説明しろよ。肝心なこと言わないから二人が誤解するんだろ」
うん、と、遙音の提言には素直に肯いた頼だった。
「るな、テロ事件に巻き込まれて家族を亡くしたんだ。頼れる身内はもういない。だから、俺が育てるって決めて連れて来た」
「「―――」」
咲桜と笑満が刹那、言葉を失った間に、頼が礼装のスーツのまま素早い動作で土下座した。
「なのでお願いしますっ! 咲桜と笑満とオト、俺と一緒にるなを育ててください!」
「初っ端から他力本願かよお前。つーか、それはほんとなわけ? 勝手に連れて来てはないんだな?」
確認する遙音に、また、うんと肯く。
「だって俺、女の子の接し方なんて知らないし。咲桜と笑満がお母さんになってくれたら絶対いい子に育つから。あと、るなは日系で、本名はルナ・クサナギっていう。現地の警察にはちゃんと交渉して、正規のルートで連れて来た」
「本気なわけか……」
頼の説明に、遙音はため息をついた。
すっと、前に出たのは咲桜だった。
「頼。立ち上がって」
「……はい」
咲桜と頼の目線がかち合う。
咲桜は鋭い視線のまま問いかけた。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
スケートリンクでバイトしてたら大惨事を目撃した件
フルーツパフェ
大衆娯楽
比較的気温の高い今年もようやく冬らしい気候になりました。
寒くなって本格的になるのがスケートリンク場。
プロもアマチュアも関係なしに氷上を滑る女の子達ですが、なぜかスカートを履いた女の子が多い?
そんな格好していたら転んだ時に大変・・・・・・ほら、言わんこっちゃない!
スケートリンクでアルバイトをする男性の些細な日常コメディです。
就職面接の感ドコロ!?
フルーツパフェ
大衆娯楽
今や十年前とは真逆の、売り手市場の就職活動。
学生達は賃金と休暇を貪欲に追い求め、いつ送られてくるかわからない採用辞退メールに怯えながら、それでも優秀な人材を発掘しようとしていた。
その業務ストレスのせいだろうか。
ある面接官は、女子学生達のリクルートスーツに興奮する性癖を備え、仕事のストレスから面接の現場を愉しむことに決めたのだった。
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
校長先生の話が長い、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
学校によっては、毎週聞かされることになる校長先生の挨拶。
学校で一番多忙なはずのトップの話はなぜこんなにも長いのか。
とあるテレビ番組で関連書籍が取り上げられたが、実はそれが理由ではなかった。
寒々とした体育館で長時間体育座りをさせられるのはなぜ?
なぜ女子だけが前列に集められるのか?
そこには生徒が知りえることのない深い闇があった。
新年を迎え各地で始業式が始まるこの季節。
あなたの学校でも、実際に起きていることかもしれない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる