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16 咲桜と流夜の結婚①
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しおりを挟む「まあ冗談です」
「冗談にしては手が込み過ぎですよ! これホンモノじゃないですか!」
「あ、それはお前にあげますから。いくら隣り合っているとは言っても、お前が家に一人になることもあるでしょう。護身用具があるに越したことはありません」
「それは――……そうかもですが……」
「母さん。照れ隠ししてないでそろそろ見せたら?」
現れたのは、よく眠った流桜子を抱っこした夜々子だった。
「照れ隠し?」
薙刀を手に乗せたままの咲桜は、楽しそうな夜々子を見上げる。
そのまま視線を箏子へずらせば、思いっきりそっぽを向かれた。……これが、照れ隠し?
「母さんから紹介しないのなら、私が見せちゃうわよ?」
「……咲桜、こちらへ来なさい。流夜さんも」
箏子は――初めて――ぶっきらぼうな手つきで咲桜の手を摑んで、隣の部屋の襖を開けた。
そこにあったものに、咲桜はただ目を見開いた。
「―――――」
「……丈は、お前に合っていると思います。好みは訊かずに作ってしまいましたが、流夜さんも在義も、夜々子も、お前にはこの形が良いと言うので――
「師匠! なんでこんなすごいものあるんですかーっ! びっくりし過ぎて心臓止まりました!」
「止まったんですか!? 止まりそうだったのではなく!?」
箏子が仰天していた。
先に咲桜が仰天した理由は――箏子が見せたそこには、純白のウェディングドレスがあったのだ。
「……お前には、嫌な思いもさせてしまいましたからね。わたくしからの贖罪です」
落ち着いた咲桜に、箏子が気恥ずかしそうに言う。
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