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3 弟のひみつ
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犯研――犯罪学研究所。来るのは二度目だ。
建物に入って、すぐに所員に出くわした。
朗らかにこちらを見て「室長」と呼んで来た。
「おはようございます、室長。珍しいですね、室長が有給取るなんて」
「おはよう。大事な用だったからな。仕事は大丈夫か?」
「大分大丈夫じゃないです。室長が日頃他人の何倍働いてるか身に沁みました。ごめんなさい」
頭を下げられた。
「それは悪かったな。でもどうしても外せなくて――彼女の卒業式だったんだ」
彼女。誰に躊躇うでもなく、もうそう言えるのだ。
顔をあげた所員と視線がかち合って、咲桜は頭を下げた。
「はじめまして、華取咲桜といいます。流夜さんを休ませてしまってすみませんでした」
「………」
今度は咲桜が頭を下げたが、反応がない。そろりと目線を上向けると、彼は固まっていた。
「かの、じょ……? ですか? 神宮室長の……?」
犯研――犯罪学研究所。来るのは二度目だ。
建物に入って、すぐに所員に出くわした。
朗らかにこちらを見て「室長」と呼んで来た。
「おはようございます、室長。珍しいですね、室長が有給取るなんて」
「おはよう。大事な用だったからな。仕事は大丈夫か?」
「大分大丈夫じゃないです。室長が日頃他人の何倍働いてるか身に沁みました。ごめんなさい」
頭を下げられた。
「それは悪かったな。でもどうしても外せなくて――彼女の卒業式だったんだ」
彼女。誰に躊躇うでもなく、もうそう言えるのだ。
顔をあげた所員と視線がかち合って、咲桜は頭を下げた。
「はじめまして、華取咲桜といいます。流夜さんを休ませてしまってすみませんでした」
「………」
今度は咲桜が頭を下げたが、反応がない。そろりと目線を上向けると、彼は固まっていた。
「かの、じょ……? ですか? 神宮室長の……?」
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