朧咲夜-番外編-【完】

桜月真澄

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1 卒業式のあとに

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「確かに言ったけど! あんな公衆の面前で攫わなくたっていいじゃん! ってかなんでキスまでするの!」

初めて絆と逢った日、咲桜が流夜に言ったのだ。「攫ってくださいね……?」と。それが叶えられた。

「もうみんなと顔合わせらんないし! 流夜くんだってばれてるし!」

「そうか?」

大して気にしていない様子の流夜に咲桜が噛み付く。

「先生と付き合ってましたなんてゆるされないでしょう!」

「元先生と結婚しました、でいんじゃないのか?」

「そうだけど! 前提! 前提条件があるでしょ!」

「あんくらいしねえと咲桜に懸想してる輩追い払えねえだろ」

「……はあ?」

流夜を手の隙間から胡乱な瞳で睨んでやった。

それでも焦った様子のひとつもないのが憎たらしい。

自分はこんなに翻弄されてばかりなのに。

流夜が咲桜の、結っていない髪をすくった。

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