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side咲桜23
しおりを挟む母を責められなかった。
自分の命で罪を贖おうとした母を。
死んでしまった理由を、咲桜を殺そうとした理由を、誰も教えてくれなくて。
もう、母が謝ることはない。
だから責めることも出来なかった。泣きつくことすら。
「もっと……いっしょにいたかったよぉ……さおががんばってるの、見ててほしかった……っ、ずっと、父さんといっしょにいてほしかった……っ」
ずっと胸につかえていた思い。悲鳴のように転がり出る。
母さんと父さんが一緒にいるのを見るのがすきだった。
二人とも、いつも優しくて穏やかに笑っていた。
その間にいられた私は、とてもしあわせだった。
「わたし……りゅうやくんまで………いなくなっちゃやだ……っ、母さんのこと、ゆるすし、もう死なないし、ちゃんと……ちゃんと、生きるから……お願いだから、いなくならないで……」
私のお願い。本当は、そう願いたかった。
流夜くんを失えないのは、私も同じだ。
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