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「……流夜くん」
「お願いします。咲桜を俺にください。咲桜以外には何も望みません。いりません。……咲桜だけ、いてくれればいいんです。お願いします」
「……流夜くん、私は、それには肯けないよ」
「――在義さん!」
「咲桜が……娘が望まなければ、君のところへはやれない。背中を押してやれないよ。流夜くん、今の咲桜が、見えているか?」
「………っ」
父さんが、流夜くんの腕の中から、私の肩を引く。
「せめて……少し、待ってもらえないか。咲桜の……意識がはっきりするくらい、までは……」
+++
誰かに抱きしめられている。それだけはわかった。
いるのは自分の部屋だ。それもわかった。
頭が動かない。現実を――生きることを拒否している。このまま……心臓なんか、止まってしまえば。こんな、血を動かしている心臓なんて。
「咲桜ちゃん……」
「さお……」
耳に馴染んだ声。
今は、遠い。
「お願いします。咲桜を俺にください。咲桜以外には何も望みません。いりません。……咲桜だけ、いてくれればいいんです。お願いします」
「……流夜くん、私は、それには肯けないよ」
「――在義さん!」
「咲桜が……娘が望まなければ、君のところへはやれない。背中を押してやれないよ。流夜くん、今の咲桜が、見えているか?」
「………っ」
父さんが、流夜くんの腕の中から、私の肩を引く。
「せめて……少し、待ってもらえないか。咲桜の……意識がはっきりするくらい、までは……」
+++
誰かに抱きしめられている。それだけはわかった。
いるのは自分の部屋だ。それもわかった。
頭が動かない。現実を――生きることを拒否している。このまま……心臓なんか、止まってしまえば。こんな、血を動かしている心臓なんて。
「咲桜ちゃん……」
「さお……」
耳に馴染んだ声。
今は、遠い。
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