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2 当代最高峰の陰陽師
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「早速訊きたいことなんですけど」
駅までの道を、護衛と案内の天音が人の姿で先を歩き、美也と榊がついていく形で帰る。
榊は天音同様人型を取ってくれたので、美也は何もない空間に話しかける不審な人、と見られなくて済んだ。
人型を取った榊の見た目は、二十歳に見えるくらいだ。
スラックスに半袖のシャツといったごくありふれた洋装をしている。
今まで見てきた榊はいつも着物に年齢不詳だったが、今はその年齢不詳感がなくなっていた。
どこに違いがあるのかはわからなかったけど、美也はそう感じた。
そして、意を決して口を動かした。
「あの鏡……奏さんに盗られたやつ、その……急に水になってて、私が触ったら水も消えちゃったんですけど……」
榊が気を悪くしたらどうしよう。
謝らなくていいと言ってくれたけど、消えてしまったのはどうしてかもわからないのだから。
榊がため息をついたので、美也の肩がびくっと跳ねた。怒らせてしまったか――
「それをやったのは開斗だ」
(え?)
「だってえ! 巫女さまにいじわるする人間が巫女さまの宝物持ってるなんてやなんですもん! 榊さまが取り返さないからぼくが取り返しておいたんですっ」
龍の姿で美也の腕に巻き付いている開斗が叫んだ。
開斗も人の姿になることは出来るけれど、長いこと続ける神気はまだないらしい。
龍の姿では、霊感のない人には見えないとのことだった。
榊と美也の間に開斗がいるので、榊は開斗の頭を掴んで黙らせた。ぶべ、と開斗からつぶれた声がする。
「悪かった、こいつが勝手をして。あれはな、もとはただの水なんだ」
「水?」
「そう、俺の手元にある水鏡(みかがみ)を楔(くさび)に水を形にしたものだから、水鏡の方を壊してしまえば、美也に渡した鏡も力を失ってただの水に戻る。開斗が、美也が鏡を盗られたって知って、俺の方の水鏡を壊したんだ。水が消えたってのは、俺が触れたものに、同様の神気を持つ美也が触れた反応だろう」
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