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五 想い
side作之助10
しおりを挟む「……え」
デートとか彼女とか、それはまずいだろ。
俺から手を離して、二歩ほど先に歩いた水都さんがくるりと振り返った。どうしてか泣きそうな笑顔だった。
「誤解とかどうでもいいから、作之助に、ちゃんと振ってほしいの」
「………」
……は? なんでそんな話になるの? しかも振るってなに? 混乱して何も言えないでいると、水都さんは鞄の紐を握りながらまっすぐ俺を見て続けた。
「作之助優しいから、このままいたらわたし、作之助のことすきになってる。だから……わたしが決めたわたしの生き方が変わっちゃう前に、望みは捨てさせてほしいの」
「―――」
そういう意味か。
いや、この際俺がどうのは置いておこう。なんだって水都さんは――
「……その前に訊くけど、水都さんは、水都さんの父様の言ってることどう思ってるの?」
こうも思い込んでいるんだ。
誤解を、解かなければ。
「え……父様は……」
「水都さんの父様、俺に言ったよね? 水都は嫁にやらないし婿も取らないって。それって水都さんが言っているように、家に縛られた結婚する必要ないって言ってない?」
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