上 下
36 / 249
二 だったらそれは、

side流夜13

しおりを挟む

『流夜くん。咲桜は結構鈍いからな。誠実に言葉することを勧めるよ』

「……ありがとうございます」

肯くような気配がして、電話の相手が変わった。

『りゅっ、流夜くん! ごめんね、ごめんねっ』

「謝らなくていい。咲桜に非はない」

『でも――』

「いいから。こちらこそ遅くにすまなかった。もうこんな時間には電話しないから、これからは早めに休めよ」

『え――……う、うん……』

咲桜の返事は歯切れが悪い。どうした。

「咲桜? なにかあるのか?」

『えっ? そんなんじゃない、けど……』

「言いたいことがあるなら、ちゃんと言いな?」

『……もう、電話くれないんですか?』

「ん?」

『電話、は……してくれないのでしょうかっ』

自棄になったように声が早くなる。電話? ……そういうことか?

「するよ。電話する。でも、こんな時間にはかけない。咲桜は成長期なんだから、ちゃんと眠れ」

『……きゅ、急に声が聞きたくなった、とかいうときはどうするのっ?』

「え? ……それは……」

どうするんだろう。

「……咲桜から電話をくれるのは、大丈夫だと思う」

在義さんジャッジ的に。

『りゅ――……』

咲桜の声は詰まった。流夜くんは? と訊きたいことがわかる。

「俺が、のときは、次の日まで待つから」

『………』

「直接逢って、話そう」

しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

朧咲夜-真相-【完】

桜月真澄
ライト文芸
神宮家の事件、咲桜と離れていた流夜の二年の間にあったことです。 流夜と在義パパが主軸です。 +++ 《朧咲夜》キャラ 神宮流夜 Jingu Ryuya 華取在義 Katori Ariyosi 華取咲桜 Katori Sao 春芽愛子 Kasuga Manako 二宮龍生 Ninomiya Ryusei 《十三桜》キャラ 神林蒼 kanbayashi Aoi 榊原衛 Sakakibara Mamoru 霧原(祀木)雅 kirihara(Maturigi) Miyabi 作樹流 Tatsuki Nagare 神林紫 Kanbayashi Yukari 神林翠 Kanbayashi Midori 草賀帝 Kusaka Mikado 草賀尊 Kusaka Mikoto 神林(猫柳)白 kanbayashi(Nekoyanagi) Mashiro 地垣調 Chigaki Sirabe 森崎雪 Morisaki Susuki 茶山和 Sayama Nagomi 咲逆臨 Sakisaka Nozomi 天科全 Amashina Zen 《硝子星》キャラ 天科閃 Amashina Sen 御堂心 Midou Kokoro 遠野龍 Tono Ryo 水瀬光詠 Minase Kouei +++ 2022.6.13 Sakuragi presents

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

不眠症の上司と―― 千夜一夜の物語 ~その後~

菱沼あゆ
ライト文芸
「不眠症の上司と―― 千夜一夜の物語」その後のお話です。

夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました

氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。 ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。 小説家になろう様にも掲載中です

後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~

菱沼あゆ
キャラ文芸
 突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。  洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。  天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。  洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。  中華後宮ラブコメディ。

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

ボイス~常識外れの三人~

Yamato
ライト文芸
29歳の山咲 伸一と30歳の下田 晴美と同級生の尾美 悦子 会社の社員とアルバイト。 北海道の田舎から上京した伸一。 東京生まれで中小企業の社長の娘 晴美。 同じく東京生まれで美人で、スタイルのよい悦子。 伸一は、甲斐性持ち男気溢れる凡庸な風貌。 晴美は、派手で美しい外見で勝気。 悦子はモデルのような顔とスタイルで、遊んでる男は多数いる。 伸一の勤める会社にアルバイトとして入ってきた二人。 晴美は伸一と東京駅でケンカした相手。 最悪な出会いで嫌悪感しかなかった。 しかし、友人の尾美 悦子は伸一に興味を抱く。 それまで遊んでいた悦子は、伸一によって初めて自分が求めていた男性だと知りのめり込む。 一方で、晴美は遊び人である影山 時弘に引っ掛かり、身体だけでなく心もボロボロにされた。 悦子は、晴美をなんとか救おうと試みるが時弘の巧みな話術で挫折する。 伸一の手助けを借りて、なんとか引き離したが晴美は今度は伸一に心を寄せるようになる。 それを知った悦子は晴美と敵対するようになり、伸一の傍を離れないようになった。 絶対に譲らない二人。しかし、どこかで悲しむ心もあった。 どちらかに決めてほしい二人の問い詰めに、伸一は人を愛せない過去の事情により答えられないと話す。 それを知った悦子は驚きの提案を二人にする。 三人の想いはどうなるのか?

ガラスの世代

大西啓太
ライト文芸
日常生活の中で思うがままに書いた詩集。ギタリストがギターのリフやギターソロのフレーズやメロディを思いつくように。

処理中です...