17 / 249
二 だったらそれは、
side咲桜8
しおりを挟む
+
「咲桜、調子悪い日は来なくていいのに」
「……違いますよ」
「いや、ぶっ倒れるって明らかにおかしいだろう。むしろ俺が看病しに行くから呼べ?」
「………」
まだ目の回っている私はローソファに転がって、必死に流夜くんを見ないように背を向けていた。その様子がやはり癇に障るらしい流夜くんは、傍を離れない。色々言って自分の方を向かせようとするけど、私は意固地になって背もたれにかじりついていた。
「……俺から逃げないって言っただろ」
「……言いました」
「じゃあこっち向け」
「これは逃げてはないです。目を背けてるだけです」
「同じだろう」
「……流夜くんは自覚ないんですよ」
「………」
「流夜くんは劇薬みたいな人なんですよ。だから、今私が流夜くんを見たら致死毒を浴びるのと一緒なんです。だから見れません」
「………」
自分でも意味のわからないことを言っている自覚はある。うーん……なんと言って逃げ切るか……。
「……俺は一般の人間のつもりなんだが」
「一般人ではないです」
「咲桜、いい加減こっち向け。あと敬語使うな」
「せめてもの反抗です」
「……わかった」
その一言で流夜くんが引く――わけがなかった。
「わっ!? 今度はなに!?」
「目を閉じるな」
「咲桜、調子悪い日は来なくていいのに」
「……違いますよ」
「いや、ぶっ倒れるって明らかにおかしいだろう。むしろ俺が看病しに行くから呼べ?」
「………」
まだ目の回っている私はローソファに転がって、必死に流夜くんを見ないように背を向けていた。その様子がやはり癇に障るらしい流夜くんは、傍を離れない。色々言って自分の方を向かせようとするけど、私は意固地になって背もたれにかじりついていた。
「……俺から逃げないって言っただろ」
「……言いました」
「じゃあこっち向け」
「これは逃げてはないです。目を背けてるだけです」
「同じだろう」
「……流夜くんは自覚ないんですよ」
「………」
「流夜くんは劇薬みたいな人なんですよ。だから、今私が流夜くんを見たら致死毒を浴びるのと一緒なんです。だから見れません」
「………」
自分でも意味のわからないことを言っている自覚はある。うーん……なんと言って逃げ切るか……。
「……俺は一般の人間のつもりなんだが」
「一般人ではないです」
「咲桜、いい加減こっち向け。あと敬語使うな」
「せめてもの反抗です」
「……わかった」
その一言で流夜くんが引く――わけがなかった。
「わっ!? 今度はなに!?」
「目を閉じるな」
0
お気に入りに追加
46
あなたにおすすめの小説
逃げて、追われて、捕まって
あみにあ
恋愛
平民に生まれた私には、なぜか生まれる前の記憶があった。
この世界で王妃として生きてきた記憶。
過去の私は貴族社会の頂点に立ち、さながら悪役令嬢のような存在だった。
人を蹴落とし、気に食わない女を断罪し、今思えばひどい令嬢だったと思うわ。
だから今度は平民としての幸せをつかみたい、そう願っていたはずなのに、一体全体どうしてこんな事になってしまたのかしら……。
2020年1月5日より 番外編:続編随時アップ
2020年1月28日より 続編となります第二章スタートです。
**********お知らせ***********
2020年 1月末 レジーナブックス 様より書籍化します。
それに伴い短編で掲載している以外の話をレンタルと致します。
ご理解ご了承の程、宜しくお願い致します。
君の欠片が眠る時、僕の糸が解けていく
雪原華覧
ライト文芸
龍之介は十年前にある人と二人で埋めたタイムカプセルを掘り起こす。開けるとそこには龍之介自身と十年前のたった一年を供に過ごしたあの人の残した手紙が・・・
記憶喪失になった嫌われ悪女は心を入れ替える事にした
結城芙由奈@12/27電子書籍配信中
ファンタジー
池で溺れて死にかけた私は意識を取り戻した時、全ての記憶を失っていた。それと同時に自分が周囲の人々から陰で悪女と呼ばれ、嫌われている事を知る。どうせ記憶喪失になったなら今から心を入れ替えて生きていこう。そして私はさらに衝撃の事実を知る事になる―。
ユメ/うつつ
hana4
ライト文芸
例えばここからが本編だったとしたら、プロローグにも満たない俺らはきっと短く纏められて、誰かの些細な回想シーンの一部でしかないのかもしれない。
もし俺の人生が誰かの創作物だったなら、この記憶も全部、比喩表現なのだろう。
それかこれが夢であるのならば、いつまでも醒めないままでいたかった。
【完結】浄化の花嫁は、お留守番を強いられる~過保護すぎる旦那に家に置いていかれるので、浄化ができません。こっそり、ついていきますか~
うり北 うりこ
ライト文芸
突然、異世界転移した。国を守る花嫁として、神様から選ばれたのだと私の旦那になる白樹さんは言う。
異世界転移なんて中二病!?と思ったのだけど、なんともファンタジーな世界で、私は浄化の力を持っていた。
それなのに、白樹さんは私を家から出したがらない。凶暴化した獣の討伐にも、討伐隊の再編成をするから待つようにと連れていってくれない。 なんなら、浄化の仕事もしなくていいという。
おい!! 呼んだんだから、仕事をさせろ!! 何もせずに優雅な生活なんか、社会人の私には馴染まないのよ。
というか、あなたのことを守らせなさいよ!!!!
超絶美形な過保護旦那と、どこにでもいるOL(27歳)だった浄化の花嫁の、和風ラブファンタジー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる