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七 ありがとう

side羽咲3

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「……自分の恋愛、どうして優先しなかった?」

私の誰何(すいか)に、唯浜はバカにしたように笑う。

「優先したよ。これ以上言うと司、だいぶおごり高ぶってる感じになるよ?」

「……だって、私だったら、総真くんに恋人なんて出来たら……唯浜みたいにいられるわけないよ……」

私だったら取り乱すだろう事態にも、唯浜は泰然としている。

「俺は最初っから失恋してるようなもんだからな。でも完全に諦めたのは、総真さんに逢ってから。よく告白のセリフでさ、世界一幸せにします、とかいう宣言、ドラマで聞いたりすることないか? ……司は、総真さんと一緒にいるだけで世界一幸せそうだったから、なんか、ああもうこれでいいやって思った。俺の好きな子はもう十分に幸せだから、俺が割って入るのは好きな子の邪魔するだけだ、って。そのときの一瞬なんだけど、俺の中で、『俺の幸せ』より、『司の幸せ』の方が上回ったって感じかなー。それが俺の、司への感情だったわけだ。な? 自分の恋愛優先してんだろ?」

なにこの人。神だったの? 慈愛に満ち過ぎていない?

「――唯浜!」

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