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六 うーに近づくな
side羽咲29
しおりを挟む「あ、いやなんか羽咲が総真に迷惑かけたみたいだから……ああ、そっすか。ですよね。うん……あ、じゃあ総真と羽咲じゃすれ違いがあるんだ。いやそこは全然。総真が羽咲になんかしたとかじゃないんです。だからどっちが悪いとかはないっぽくて……総真のことは怒んないでください。あと総真には気にしないで風邪治せって――言っても無理っすよね。……はい。いやほんとこっちは全然。……とにかく、総真にはさっさと風邪治してもらわないと。羽咲がいつも通りになれないですから。……はい、じゃお大事に」
あう……あう……と戸惑っているうちに、お兄ちゃんが通話を終えていた。
「おい変態」
お兄ちゃんが冷たい目を向けて来る。もう変態という呼び名に反抗できません……。
「総真、お前に嫌われたと思って、さっきまでとは別の意味で寝込んでるってよ」
「!!!!」
そ、んな……! 私のせいで総真くんが落ち込むなんて、そんなことあってすらいいわけがない……! 驚愕する私を見て、お兄ちゃんはふうとため息をついた。
「電話くらいしてやったらどうだ? 総真のが寝言だったとしたら、総真が知ってるのはお前に手を振り払われたってことだけだ。あいつ地の果てまで落ち込むぞ」
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