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六 うーに近づくな
side総真8
しおりを挟む「うん」
論くん。唯浜論くん。
……うーのことを好きな、うーのクラスメイト。
「唯浜くん程度なら眼中にねえよ、って?」
玲が、今度は窓枠によりかかってにやにやしてきた。
「まさか。うーを好きになる奴は全部敵視してる。でも、論くんは例外。論くんは……いい子って言うか、うーにとって、いい存在だと思ってる」
僕の答えに、玲は中空を見つめてから口を開いた。
「羽咲ちゃんにいい影響与えてるから、羽咲ちゃんのことを好きでも排除しないってこと?」
「ちょっと違う。論くんは排除する必要がない。最初から、俺のいる場所まで来ようとか、考えてない感じだった。俺と同じ意味でうーが大事だけど、俺とは違う方法でうーを大事にするんじゃないかな、って」
うまく言い表せないけど、論くんはうーの傍にいていいと思う。
うーの傍にいる人なんて、本来うーが決めることだから、とんだエゴだけど。
「お前、羽咲ちゃんのこととなると盲目だからなあ」
「……見ててわかる?」
「わかるよ。……羽咲ちゃんが生まれて少しした頃かな。うちに、お前の家族と由羽の家族で集まったんだよ。で、お前と由羽の両親が買い出しに出ている間、父さんがいつものごとく母さんとの馴れ初め話はじめたんだ。俺はテキトーに聞き流してて、由羽はぼけーっとしてて、お前は赤ちゃんの羽咲ちゃんにべったり張り付いて離れなかった。母さんがお前の将来心配してた」
………。
玲の記憶は疑えない。なにせ前世の記憶まであるくらいだ。
「……やっぱり俺、そんなんだったんだ」
ちょっと視線が下がってしまう。
自覚したのは最近だったけど、本気でうーが生まれた時から……。
「だよ。由羽とも話してたんだけど、こいつの羽咲ちゃん大事は、本気で兄貴ヅラなのか、惚れてるのに無自覚なのか、って」
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