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五 今日はお出かけ! です!

side羽咲33

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「……で、来週だね?」

「うっ……きょ、今日のことで頭を埋め尽くすことでハッピーワード過ぎるそれの破壊力をやり過ごしてきたというに……っ」

総真くんと………デート、という、その単語だけで私をころせるというに……!

来週の土曜日は顧問の先生の都合で部活がお休みで、総真くんもバイトを入れてないから、その日は約束したデート、という振り分けを二人でしたけど……。

「うー、そろそろ慣れて?」

「無理ぃ~片想い長すぎるのに変化が急激でついていけないぃ~」

あぅ、また目から滝が出てきた……。

そんな私の変人発言に呆れもせず、総真くんが訊いてきた。

「じゃあ、うーは今のとこはどこまでなら大丈夫?」

「? 今のとこ?」

なんかあったっけ?

「さっき手ぇ繋いじゃったけど……友達と恋人の境界線って言うか……うーはどこまでならゆるしてくれるのかなって」

あ、そういう……えーとですね……

「……喋る」

私の答えに、総真くんは愕然とした顔になった。

「しゃべる!? 俺、うーと喋ることも出来ない時期とかあったの!?」

「……反抗期?」

「うーの年頃なら肯けるけど、家族にじゃなくて俺に反抗するの?」

「理由なき反抗」

「むしろカッコよく聞こえるよ」

いや、本当に総真くんとは、喋ることしか耐えられない時期はあったよ。

総真くんが大好き過ぎて、私なんかが近寄っていいわけない、って。

だから……うああああ! 今頃ドキドキしてきた! 心臓がさく裂する!

総真くん……私が欲しい答えだと思う、って言ったよね? 言ったよね? 聞き間違えや幻聴じゃないよね!?

「う、うー?」

「なに?」

「あ、喋ってくれるんだ……」

胸を手を当てた総真くんはほっとしたように息をついた。

……喋るしか出来なかったのは事実だけど、そこまで驚かなくても……。

「俺、うーに嫌われたら生きていけなくなるってわかってるから」

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