上 下
63 / 276
三 考えてなかった……!

side総真1

しおりを挟む

僕の家でうーの勉強を見て、そのあとうーを家まで送った。

まとめを中心に勉強に集中し始めると、うーはいつもの様子を取り戻してガシガシ進んだんだけど、沈黙が落ちるとヘンな空気になった……。

うーを送り届けるときも、何を話したか憶えていない……。

……うーに、告白された。

いや、僕もうーのこと大好きだよ? でも何というか……予想していなかったことに驚きが大き過ぎて理解が追いつかない……。

「総真。ちょっと来なさい」

「なに、美結……」

家に戻るなり、僕より先に帰っていたらしい美結が玄関で待ち構えていた。

動揺くらいゆっくりさせてくれ……。

「総真、うーちゃんに告白されたんだって?」

「……ごほっ……! な、なんで美結が知って――」

「咲雪ちゃんから連絡あった」

「……あ、そう」

しまった。咲雪さんと美結の仲の良さを忘れていた……。うーが親に話すだろうことも……。

「座りなさい」

「……なんでだよ」

「私の親友の娘の話だよ?」

「………」

謎の迫力に、僕は黙るしかなかった。

リビングのラグに正座させられて、美結も向かいに座った。

「やーっとうーちゃんが告白したかー。で? なんて返事したの?」

「……なんで美結に話すんだよ。……ん? やっとって、なに?」

「うーちゃんが何故か総真のこと好きなのくらい、見てればわかるよ」

「……! なんで教えてくれなかった!?」

知っていたらうーを困らせなかったのに!

「こういうの、他人の口を借りて知るとややこしくなるから。うーちゃんが告白するか、総真が気づいて知るのが相当なんだよ」

「………」

謎の説得力に、僕はまた黙るしかなかった。

「……で? うーちゃんと付き合うの?」

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

理想の妻とやらと結婚できるといいですね。

ふまさ
恋愛
※以前短編で投稿したものを、長編に書き直したものです。  それは、突然のことだった。少なくともエミリアには、そう思えた。 「手、随分と荒れてるね。ちゃんとケアしてる?」  ある夕食の日。夫のアンガスが、エミリアの手をじっと見ていたかと思うと、そんなことを口にした。心配そうな声音ではなく、不快そうに眉を歪めていたので、エミリアは数秒、固まってしまった。 「えと……そう、ね。家事は水仕事も多いし、どうしたって荒れてしまうから。気をつけないといけないわね」 「なんだいそれ、言い訳? 女としての自覚、少し足りないんじゃない?」  エミリアは目を見張った。こんな嫌味なことを面と向かってアンガスに言われたのははじめてだったから。  どうしたらいいのかわからず、ただ哀しくて、エミリアは、ごめんなさいと謝ることしかできなかった。  それがいけなかったのか。アンガスの嫌味や小言は、日を追うごとに増していった。 「化粧してるの? いくらここが家だからって、ぼくがいること忘れてない?」 「お弁当、手抜きすぎじゃない? あまりに貧相で、みんなの前で食べられなかったよ」 「髪も肌も艶がないし、きみ、いくつ? まだ二十歳前だよね?」  などなど。  あまりに哀しく、腹が立ったので「わたしなりに頑張っているのに、どうしてそんな酷いこと言うの?」と、反論したエミリアに、アンガスは。 「ぼくを愛しているなら、もっと頑張れるはずだろ?」  と、呆れたように言い捨てた。

【完結】試される愛の果て

野村にれ
恋愛
一つの爵位の差も大きいとされるデュラート王国。 スノー・レリリス伯爵令嬢は、恵まれた家庭環境とは言えず、 8歳の頃から家族と離れて、祖父母と暮らしていた。 8年後、学園に入学しなくてはならず、生家に戻ることになった。 その後、思いがけない相手から婚約を申し込まれることになるが、 それは喜ぶべき縁談ではなかった。 断ることなったはずが、相手と関わることによって、 知りたくもない思惑が明らかになっていく。

傷モノ令嬢は冷徹辺境伯に溺愛される

中山紡希
恋愛
傷モノの子爵令嬢アイリーン      × イケメン冷徹辺境伯エドガー 父の再婚後、絶世の美女と名高きアイリーンは意地悪な継母と義妹に虐げられる日々を送っていた。 実は、彼女の目元にはある事件をキッカケに痛々しい傷ができてしまった。 それ以来「傷モノ」として扱われ、屋敷に軟禁されて過ごしてきた。 ある日、ひょんなことから仮面舞踏会に参加することに。 目元の傷を隠して参加するアイリーンだが、義妹のソニアによって仮面が剥がされてしまう。 すると、なぜか冷徹辺境伯と呼ばれているエドガーが跪まずき、アイリーンに「結婚してください」と求婚する。 抜群の容姿の良さで社交界で人気のあるエドガーだが、実はある重要な秘密を抱えていて……? 傷モノになったアイリーンが冷徹辺境伯のエドガーに たっぷり愛され甘やかされるお話。 このお話は書き終えていますので、最後までお楽しみ頂けます。 修正をしながら順次更新していきます。 また、この作品は全年齢ですが、私の他の作品はRシーンありのものがあります。 もし御覧頂けた際にはご注意ください。 ※注意※他サイトにも別名義で投稿しています。

私の心の薬箱~痛む胸を治してくれたのは、鬼畜上司のわかりづらい溺愛でした~

景華
恋愛
顔いっぱいの眼鏡をかけ、地味で自身のない水無瀬海月(みなせみつき)は、部署内でも浮いた存在だった。 そんな中初めてできた彼氏──村上優悟(むらかみゆうご)に、海月は束の間の幸せを感じるも、それは罰ゲームで告白したという残酷なもの。 真実を知り絶望する海月を叱咤激励し支えたのは、部署の鬼主任、和泉雪兎(いずみゆきと)だった。 彼に支えられながら、海月は自分の人生を大切に、自分を変えていこうと決意する。 自己肯定感が低いけれど芯の強い海月と、わかりづらい溺愛で彼女をずっと支えてきた雪兎。 じれながらも二人の恋が動き出す──。

後宮の棘

香月みまり
キャラ文芸
蔑ろにされ婚期をのがした25歳皇女がついに輿入り!相手は敵国の禁軍将軍。冷めた姫vs堅物男のチグハグな夫婦は帝国内の騒乱に巻き込まれていく。 ☆完結しました☆ スピンオフ「孤児が皇后陛下と呼ばれるまで」の進捗と合わせて番外編を不定期に公開していきます。 第13回ファンタジー大賞特別賞受賞! ありがとうございました!!

軽い気持ちで超絶美少年(ヤンデレ)に告白したら

夕立悠理
恋愛
容姿平凡、頭脳平凡、なリノアにはひとつだけ、普通とちがうところがある。  それは極度の面食いということ。  そんなリノアは冷徹と名高い公爵子息(イケメン)に嫁ぐことに。 「初夜放置? ぜーんぜん、問題ないわ! だって旦那さまってば顔がいいもの!!!」  朝食をたまに一緒にとるだけで、満足だ。寝室別でも、他の女の香水の香りがしてもぜーんぜん平気。……なーんて、思っていたら、旦那さまの様子がおかしい? 「他の誰でもない君が! 僕がいいっていったんだ。……そうでしょ?」  あれ、旦那さまってば、どうして手錠をお持ちなのでしょうか?  それをわたしにつける??  じょ、冗談ですよね──!?!?

(完結)妹に病にかかった婚約者をおしつけられました。

青空一夏
恋愛
フランソワーズは母親から理不尽な扱いを受けていた。それは美しいのに醜いと言われ続けられたこと。学園にも通わせてもらえなかったこと。妹ベッツィーを常に優先され、差別されたことだ。 父親はそれを黙認し、兄は人懐っこいベッツィーを可愛がる。フランソワーズは完全に、自分には価値がないと思い込んだ。 妹に婚約者ができた。それは公爵家の嫡男マクシミリアンで、ダイヤモンド鉱山を所有する大金持ちだった。彼は美しい少年だったが、病の為に目はくぼみガリガリに痩せ見る影もない。 そんなマクシミリアンを疎んじたベッツィーはフランソワーズに提案した。 「ねぇ、お姉様! お姉様にはちょうど婚約者がいないわね? マクシミリアン様を譲ってあげるわよ。ね、妹からのプレゼントよ。受け取ってちょうだい」 これはすっかり自信をなくした、実はとても綺麗なヒロインが幸せを掴む物語。異世界。現代的表現ありの現代的商品や機器などでてくる場合あり。貴族世界。全く史実に沿った物語ではありません。 6/23 5:56時点でhot1位になりました。お読みくださった方々のお陰です。ありがとうございます。✨

【完結】前世の因縁は断ち切ります~二度目の人生は幸せに~

らんか
恋愛
 ルーデンベルグ王国の王宮の広間。    ここで、私は婚約者であるライアン・ルーデンベルグ王太子殿下から、鋭い視線を浴びていた。     「ルーシー・ヘルツェビナ!!  お前との婚約は破棄だ! お前のような悪辣な女が王太子妃、ひいては王妃になるなど、この国の損失にしかならない!  私はここにいる心優しいマリーナ嬢を婚約者とする!  そしてお前は、この未来の王妃であるマリーナに対する様々な嫌がらせや、破落戸を雇ってマリーナを襲わせようとした罪により、娼館送りとする!」    有無をも言わせず、質素な立て付けの悪い小さな馬車に無理やり乗せられ、娼館送りとなり、その途中で私は死んだ。      ……はずだったのに、何故また生きてるの?  しかも、今の私は幼い頃に戻っている!?  ならば。  人生の、やり直しが出来るのでは?  今世は、ライアン第一王子殿下の婚約者になりたくない!  ライアン様にもマリーナにも関わらずに、私は幸せに長生きする事を目標として生きていくわ!      

処理中です...